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研究紹介

リウマチ性疾患とHTLV-1感染症(難病プラットホーム)

HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)はATL(成人T細胞白血病)やHAM(HTLV-1関連脊髄炎)の原因ウイルスです。九州・沖縄地方に感染者が多いのですが、近年では大都市圏でも感染者数が増加傾向であることがわかっています。これまで、HTLV-1感染が関節リウマチの炎症病態を増悪させる可能性を見出しましたが、その機序は不明です。HTLV-1感染と炎症の関連を明らかにし、多くの患者さんに貢献するため、基礎研究・臨床研究に取り組んでいます。

基礎研究では2020年に「HTLV-1陽性関節リウマチの炎症病態におけるIFNシグネチャーの解明」が科研費に採択されました。2020年からは、AMEDが推進する難病プラットフォームに、2012年から運営してきたHTLV-1陽性関節リウマチコホート研究が連結され、全国の医療機関と連携した他施設共同レジストリ研究がスタートしています。

またHTLV-1陽性の関節リウマチでは、生物学的製剤など導入の際に実施される潜在性結核感染症(LTBI)のスクリーニング検査の判定不能例が多く、注意が必要であることを論文で発表し、適切なLTBIスクリーニング検査ついて研究を進めています。

 主な論文: Hashiba Y, et al. Mod Rheumatol. 2021 (in press)
Umekita K, et al. PLoS One. 2020;15 (5): e0233159.
Umekita K, et al. Front Microbiol. 2020; 11: 152.
Iwao C, et al. Intern Med. 2020; 59(15): 1891-1897.
Umekita K, et al. Mod Rheumatol. 2019; 29(5): 795-801.
Suzuki T, et al. Arthritis Rheumatol. 2018; 70(7): 1014-1021.
Takajo I, et al. Intern Med. 2018; 57(14): 2071-2075.
Hashiba Y, et al. Mod Rheumatol Case Rep. 2018; 2: 9-13.
Umekita K, et al. Mod Rheumatol. 2015; 25(5): 794-7.
Umekita K, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2014; 66: 788-792.

SFTSの早期診断と予後改善に資する研究

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、マダニによってSFTSウイルスが媒介されることで発症し、致死率の非常に高い疾患です。国内での患者報告数は宮崎県が最多となっています。SFTSの重症化の機序も不明な点が多く、病態を解明し適切かつ迅速な診断・治療につなげることが急務と考えています。これまでに簡易迅速診断検査法の開発を進めていますが、より臨床現場で使い勝手の良い検査試薬の改良を重ねています。また、臨床研究にも力を入れており、同じくマダニ媒介感染症である日本紅斑熱との比較や死亡予測因子の検討、ステロイド投与の影響について論文で発表した他、宮崎県内でのレジストリも立ち上げています。

 主な論文: Kawaguchi T, et al. Viruses. 2021; 13(5): 78.
Iwao K, et al. Viruses. 2021; 13(6): 1086.
Kawaguchi T, et al. Open Forum Infect Dis. 2020; 7(11): ofaa473.
Umeki K, et al. J Virol Methods. 2020; 285: 113942.
Kawaguchi T, et al. J Infect Chemother. 2016; 22(9): 633-7.

HTLV-1総合対策への貢献

AMED採択課題である「HTLV-1陽性関節リウマチの総合的な感染対策に資する研究」へ参加し、HTLV-1感染症の迅速診断や診断技術の開発に協力しています。世界中で500-1000万人の人々がHTLV-1に感染していると推定されており、WHOが近年早期診断や感染予防に力を入れている分野であり重要な課題と考えられます。

 主な論文: Umeki K, et al. Clin Lab. 2017; 63(2): 227-233.

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