学部・大学院案内

医学部長挨拶

宮崎大学医学部医学科は1974年に設立された宮崎医科大学が前身であり、2001年には看護学科が併設されました。2003年10月に旧宮崎大学と統合して、宮崎大学医学部の医学科および看護学科として、現在まで多くの優秀な医療人・医学研究者を世に送り出しています。わたしたちは、日頃から統合後の新生宮崎大学のスローガンである『世界を視野に地域から始めよう』のもと、卒前・卒後の一貫教育と宮崎の地域医療に貢献できる優秀な医療人の輩出に全力を尽くすと共に、広く世界に通用する医療人、医学研究者の育成を目指しています。

医学科の卒業生は、臨床医、医学研究者、あるいは医学教育者として幅広い分野で活躍し医学の発展と福祉の向上に寄与しています。また、看護学科の卒業生は、人間性豊かな看護師、保健師、助産師、看護学研究者あるいは看護学教育者として人々の健康への援助を実践し、看護学の発展ならびに社会福祉に貢献しています。

医学科は、2018年度に日本医学教育評価機構による医学教育分野別認証を受審し、国際医学教育連盟グローバルスタンダードに準拠した医学教育機関として認定されました。近年、我が国における医学教育は「スチューデント・ドクターの公的制度化」や「卒前・卒後のシームレスな医学教育制度化」をはじめ、医師法改正もあわせた改革が進められています。本学でもカリキュラムを改編しながら診療参加型臨床実習の充実をはかり、地域包括ケア実習では約三ヶ月間に及ぶ長期滞在型の地域医療実習も導入され、今後の成果に大きな期待が寄せられています。また、宮崎県と連携した地域医療の充実に向けた取り組みでは、2018年度改正医療法に基づいた「キャリア形成プログラム」を早期に確立し、2022年度入試からは、学校推薦型選抜(地域枠)の定員を15名増員の40名に拡充し、全国の高等学校卒業生を対象とした「地域枠C:日本のひなた枠」を創設し、地域医療の将来を担う人材の育成に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

看護学科は、1年生では基礎教育の科目の履修と同時に専門基礎科目および専門科目の講義が始まり、進級するにしたがって専門基礎科目や専門科目の講義が増えていくことで、経年的に専門的な知識・技術が積み重ねられるカリキュラムになっています。臨地実習は、1年生の後期からスタートしますが、附属病院や関連する病院・施設を活用することで、学年が進むごとに、より深くより幅広い学びが得られるプログラムとなっています。

さらに、医学科と看護学科共に、世界を視野に入れた国際感覚を持った医療従事者の育成のため、医学科研究室配属(3年生)、医学科クリニカル・クラークシップ、看護学科臨地実習(4年次)等における海外関連施設への学生派遣や海外学生の受け入れに積極的に取り組んでおり、そのための充実した英語教育カリキュラムも整備されています。また、大学卒業後、専門的な分野をより深く学問的に追究したい、あるいは研究者の道を歩きたいなどの希望者のために、医学獣医学総合研究科(修士課程及び博士課程)および看護学研究科(修士課程)を設置しており、意欲に満ちた研究者を広く募集しています。とくに、医学と獣医学が融合した医学獣医学総合研究科は全国でも初めての試みであり、新興・再興感染症をはじめとする生命科学分野での学際的・先端的な特色ある研究を推進しています。

地域での先進的な取り組みとして、宮崎県内を一つの周産期医療ネットワークとして万全な周産期医療体制を確立し、このシステムに沿った形で新たに発達期脳障害研究を開始しています。また温暖な気候をいかして、宮崎スポーツメディカルサポートシステムによる全県的なスポーツ医学の啓発と医療支援を行い、スポーツ立県の目標を支えています。さらに、超高齢社会での健康寿命延伸に向けたロコモティブシンドロームの病態解明・対策(地方創生・ロコモザワールド宮崎の構築)や、寄附講座として「血液・血管先端医療学講座」を中心とした東九州メディカルバレー構想における血液や血管に関する医療・機器開発、地域医療・総合診療・家庭医療領域の県内唯一のアカデミックセンターとしての「地域医療・総合診療医学講座」等、宮崎県地域に根ざした特徴的な臨床・研究活動も盛んに行われています。

宮崎大学医学部は、多様な価値観を理解し尊重する創造意欲に満ちた学生諸君の入学を歓迎し、将来、社会から信頼される優れた医療人として、また、世界のさまざまな分野で活躍できる人材としての飛躍を期待しています。

宮崎大学医学部長 菱川 善隆