宮崎大学 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野(第3内科)

医局員ブログ

Myanmar道中記

2016年09月05日

8月20日から27日まで、JICA草の根技術協力事業の一環として、エーヤワディー州タバン周辺の村において慢性砒素中毒症に対する住民検診に参加してきました。

 

21日夕方首都ヤンゴンに到着。いかにも仏教国らしい風景が広がっていました。疲れもあり、夕食後はすぐに就寝。

 

22日は、DMR(ミャンマー医科学局; Department of Medical Research)にて、23日のセミナーと24日からの検診の準備と打ち合わせです。国際連携センターの矢野靖典先生による調整のおかげでスムーズに進行しました。うまく行きそうな予感です。

DMRは大都会の中にありながら、とても自然豊かな環境の中にありました。

 

 

23日午前中は、セミナーです。私も「慢性砒素中毒の神経学的見地から」というテーマで発表させていただきました。宮崎県土呂久地区での高濃度砒素暴露の長期予後とミャンマーを含めた全世界に広がる低濃度長期暴露の影響について、中枢神経と末梢神経を分類しながら説明しました。日本とミャンマーの皮膚科、神経内科、公衆衛生などの専門家が一堂に勢ぞろいしてミャンマーの砒素対策を討論するという有意義なセミナーとなりました。

 

 

 

同日午後はパテインまでの移動です。バスで6時間の旅です。のどかな田舎道をゆられ、ようやくパテイン大学に到着し、大学のドミトリーに3泊します。朝からセミナー、長距離移動とこの日はかなり疲れました。

 

 

24日と25日は、この事業のメインである住民検診です。早朝AM5:30出発し、バスで80分ゆられタバンの街に到着、その後船で40分かけて電気も水道もない村に向かいます。

タバンの街並みです。川ですが、港町のような雰囲気です。

 

矢野靖典先生facebookより引用。

今回の日本とミャンマーの参加者(全員ではありません)です。

 

船旅の途中では・・・

少し前に洪水があり、水位は通常よりもかなり高めという話です。

検診場所(現地学校)到着の前には、泥水の中をジャポジャポと・・・。

 

シュイ先生とミュッ先生。共にミャンマー神経内科医の若手ホープです。私のミャンマーでの同志です。

診察方法を伝授して、2人に実際に診察してもらいました。とても働きものです。

 

村での食事風景です。とっても美味しいです。全体として少し脂が多く、お腹を壊しやすいかも・・・。

 

 

トイレにはもちろん水洗はありません。終わったあとは、雨水で流します。

 

 

2日で500人以上の検診お疲れさまでした!!!

ミュッ先生は普段はにこやかですが、疲れ過ぎて笑顔になれない・・・。

 

検診の結果は、詳細な検討が必要ですが、軽度の神経障害が一部の方には存在するという印象です。問診結果、皮膚所見と毛髪砒素濃度とのマッチングの結果が待たれます。

 

後ろ髪をひかれながら、撤収です。

 

 

その後は、パテインにて宿泊後、ヤンゴンにてパテイン大学学長のニュンペイ先生と食事するなど楽しい時間を過ごしてから帰国の途につきました。

 

 

とても楽しく有意義な旅でした(ヤンゴン―パテイン間の長距離バスの時間が少し大変でしたが)。自分だけでなく、ミャンマーの人々にも少しは役に立てたのが更なる喜びでもあります。

 

今回の事業は、医学部長の丸山先生、解剖学の菱川先生とミャンマーからの留学生ピュー先生とミャー先生、国際交流の矢野先生の人脈と苦労の積み重ねでいろいろなことが実施できたのではないかと思いました。夜の食事会ではいくつかの苦労話を伺いました。お疲れ様でしたと同時にこのような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。今回の企画の学術的な面をリードしていただいた公衆衛生の黒田先生、楽しい旅にしていただいた皮膚科の古結先生にも感謝いたします。そして1週間にわたる業務の留守をご快諾いただいた塩見先生と神経内科の先生方ありがとうございました。

 

神経内科グループ 望月 仁志