BALB/cAnN

分類 近交系(inbred strain)
名前 BALB/cAnN
説明 1940年以前に分岐したBALB/cの亜系統の一つで1935年にAndervontに分与され米国NIHで維持されていた系 統.BALB/c 系統の特徴の一つ、mineral oil によるmyelomaのinducibilityが BALB/cのもう一つの亜系統、BALB/cJに比べて高い(Potter, M., Wax, J. S. and Blankenhorn, E. 1985).一方、BALB/cJに比べて雄の闘争性が弱く、副腎のカテコールアミン合成酵素活性が1/2から1/3程度低いという報告がある (Ciranello et al. 1972).比較的近縁の亜系統にBALB/cByJ、BALB/cHeAn、BALB/cAnPtがある.
形態・毛色の特徴 / 関連する遺伝子座  Albino : Tyrp1b/Tyrp1b Tyrc/Tyrc
研究となる対象  がん研究,特にモノクローナル抗体作成のためのミエローマ(形質細胞種)
維持機関のデータベースへのリンク  NIH / 国立遺伝学研究所
主な亜系統  BALB/cByJ, BALB/cGa, BALB/cGrRk, BALB/cJ, BALB/cWtEi, BALB/cUcsd
形態・毛色の特徴 / 関連する遺伝子座 Albino : Tyrp1b/Tyrp1b Tyrc/Tyrc
研究となる対象 がん研究,特にモノクローナル抗体作成のためのミエローマ(形質細胞種)
BALB/cについて Hasely J. Baggが1913年に導入したアルビノ(albino、メラニン合成系の重要な酵素チロシナーゼを遺伝的に欠くため、白毛、赤目)マウスを祖先とする. 名前はBaggのalbinoに由来すると思われる.1932年にG. Snell(1980年ノーベル医学・生理学賞受賞者)に分与され、彼が/cを付け加えてBALB/cという系統名となる.もっとも古い近交系の一つで、 またもっともよく動物実験に使われている近交系の一つである.一般的に繁殖力が高く、繁殖寿命も長い.乳がんの発生率は正常では低いが乳がんウイルスに感 受性である.ミネラル・オイルを腹腔内に注射すると形質細胞腫が多発するが、この形質細胞種はモノクローナル抗体の産生に有用でいろいろな分野で使われて いる.1940年以前に枝分かれした三つの亜系統があり、遺伝的に相互に違っていることが知られている.この系統の歴史と特徴、亜系統の間の違いについて は、長年、形質細胞腫の発症機構を研究しているPotterによる総説(1986)がある.なお、BALB/cという、表記は現在の近交系マウス命名規約 に決められている一般的な命名法にはしたがっていないが、古くから世界的に慣用されているという理由で認められている特殊なものである.
維持機関のデータベースへのリンク  Jaxon Lab. / 国立遺伝学研究所
維持研究機関 国立遺伝学研究所系統生物研究センター哺乳動物遺伝研究室
参考文献 1. Potter M, Wax JS, and Blankenhorn E,(1985) BALB/c subline differences in susceptibility to plasmacytoma induction. Current Topics in Microbiology and Immunology 122: 234-241
2. Ciranello RD, Barchas R, Kessler S, Barchas JD (1972)
Catecholamines: strain differences in biosynthetic enzyeme activity in mice. Life Sci. 11: 565-572
3. Potter M (1986)(ed.) The BALB/c mouse. Current Topics in Microbiol. Immunol. 122. Springer-Verlag, Berlin, New York, Tokyo