SM/J

 

分類 セグリゲイティング近交系 (segregating inbred strain)
名前 SM/J
説明 MacArthurによって1939年に7系統を交雑して育成した基礎集団から体重の少ない個体を選抜した系統を祖先とする、 1948年に近親交配(兄妹交配)が開始された.毛色は腹側が白く、背側がアグーチ(野生色)の個体と全身が黒色の個体が同じ系統にある.これはアグーチ 遺伝子座の遺伝子Awとその劣性の対立遺伝子aをヘテロに持つ個体とa遺伝子をホモにもつ個体を意識的に交配して近交した結果である.このように特定の遺 伝子座をヘテロにして育成した近交系を分離型(segregating)近交系という(Aw遺伝子をホモにした亜系統,SM/JHがあ る).ホモザイガスが致死や、不妊となる遺伝子ではその遺伝子を残すように近交するとヘテロザイガスな個体だけが子孫を残すことになって、必然的にこのよ うな状態になる.小体重への選抜の効果によって出生時から離乳時まで相対的に体重が小さいが、成熟個体ではそれほどの体重差は認められないという.系統の 特徴としては腫瘍の発生頻度が低いこと、他の一般的な近交系にはまれな遺伝子(対立遺伝子)をもっていることがあげられる.この二つの特徴を生かして、腫 瘍の発生頻度の高い、A/J との間にリコンビナント近交系群(SMXA recombinant inbred strains) が日本で育成され、腫瘍発生機構の遺伝解析などに使われている(Nishimura et al. 1995). 形態・毛色の特徴 / 関連する遺伝子座 黒色:a/a 腹白毛野生色:Aw/a white-bellied agouti or nonagouti (black) 研究となる対象 心臓血管研究:食餌誘導性アテローム血栓症(高感受性) 発生生物学研究:成長異常 維持機関のデータベースへのリンク Jaxon Lab. / 国立遺伝学研究所 主な亜系統 SM/JH
維持研究機関 浜松医科大学医学部附属動物実験施設
参考文献 1. Nishimura M, Hirayama N, Serikawa T, Kanehira K, Matsushima Y, Katoh H, Wakana S, Kojima A, and Hiai H (1995) The SMXA: a new set of recombinant inbred strain of mice consisting of 26 ubstrains and their genetic profile. Mamm. Genome 6: 850-857.