JF1/Ms

分類 近交系(inbred strain)
名前 JF1/Ms
説明 デンマークで日本の愛玩用マウスとして売られていたネズミを1987年に三島市の国立遺伝学研究所に導入して育成された系統.白斑(この系統の場合はむしろ白い毛に黒い斑紋)が特徴、この白斑は一つの劣性遺伝子(piebald, 遺伝子記号 s;現在はエンドセリン・レセプターB遺 伝子、遺伝子記号 Ednrb の突然変異であることがしられている、Hosoda et al. 1994)がホモになることによって生ずる.日本では江戸時代から愛玩用にネズミ(ハツカネズミ、マウスだけとは限らないが)を飼育していたが、その中に はこの突然変異遺伝子をもつものが多く、その斑紋のパターンにいろいろあることが、天明7年(1787年)に出版された「珍翫鼠育艸(ちんがんそだてぐ さ)」に記載されている.最近の研究によると形態学的にも遺伝学的にも、日本に広く生息する野生ハツカネズミ(Mus musculus molossinus)の特徴をもっていて、日本の愛玩用マウスに由来していることが推測される.マイクロサテライト・マーカーの多くが欧米由来のC57BLやDBA/2などの近交系と違っていて突然変異遺伝子のマッピングに有用である(Koide, et al. 1998).
形態・毛色の特徴 / 関連する遺伝子座  piebald : s/s
研究となる対象  遺伝学:遺伝子マッピング
維持機関のデータベースへのリンク   国立遺伝学研究所
宮崎医科大学でも亜系(JF1/2.Mz)がF+32で維持されている.
維持研究機関

国立遺伝学研究所系統生物研究センター哺乳動物遺伝研究室

参考文献 1. Hosoda K, Hammer RE, Richardson JA, Baynash AG, Cheung JC, Giaid A, Yanagisawa M (1994) Targeted and natural (piebald-lethal) mutation of endothelin-B receptor gene
produce megacolon associated with spotted coat color in mice. Cell 79: 1267-1276
2. Koide T, Moriwaki K, Uchida K, Mita A, Sagai T, Yonekawa H, Katoh H, Miyashita N. Tsuchiya K, Nielsen TJ, Shiroishi T (1998) A new inbred strain JF1 established from Japanese fancy mouse carrying the classic piebald allele. Mammalian Genome 9: 15-19