薬物動態解析室
薬物動態解析室では、それぞれの患者さんに応じた安全かつ有効な薬物治療を行うために、血液中の薬物濃度を測定し、投与設計を行っています。 一般的に薬の効果・副作用には個人差があることが知られています。その判断の指標として、薬物血中濃度が使用されることがあります。薬物血中濃度の測定はすべての薬物に行うものではなく、治療域の狭い薬物や血中濃度に相関して重篤な副作用を引き起こす薬物が対象です。このような薬物では血中濃度を参考に、それぞれの患者さんに適した投与量や投与スケジュールを決めなければなりません。薬物間相互作用や薬物動態などを考慮し、安全かつ有効な薬物治療が行えるように担当医師や看護師へ情報提供を行っています。このような業務は治療薬物モニタリング(TDM;Therapeutic Drug Monitoring)と呼ばれており、薬物治療をサポートする上で非常に重要です。 その他、抗MRSA薬に関して感染制御部や病棟薬剤師と連携し、初期投与設計の段階からTDMを行うことも業務の1つです。抗菌薬の適正使用および院内感染対策に貢献することで、患者さんのQOLの向上に努めています。
血中濃度院内測定の対象薬剤
- 抗てんかん薬:フェノバルビタール、フェニトイン、バルプロ酸、カルバマゼピン
- 免疫抑制剤:シクロスポリン、タクロリムス
- 抗MRSA薬:バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシン
- アミノグリコシド系抗生物質:ゲンタマイシン
- 葉酸代謝拮抗剤:メトトレキサート
- 強心配糖体:ジゴキシン
- キサンチン系気管支拡張剤:テオフィリン
測定機器
- ARCHITECT® アナライザー i1000SR(Abbott Japan)
- TDx FLx(Abbott Japan)
- Viva-Eシステム(SIEMENS)