医学部内科学講座
血液・糖尿病・内分泌内科学分野 教授
下田 和哉
Kazuya Shimoda
血液・糖尿病・内分泌内科は、2021年4月の内科学講座再編時に第2内科の血液グループと、第3内科の内分泌・代謝グループが統合し誕生しました。現在まで培ってきたそれぞれのグループの伝統と経験を大切にしつつ、一つの内科教室として新たに、血液病学、糖尿病学、内分泌病学の診療と研究、そして人材育成に邁進したいと考えています。
血液内科と糖尿病・内分泌内科は、一見全く異なった2つの専門領域に見えますが、どちらも全身疾患を対象とする内科学です。医学の進歩とともに内科は臓器別診療(縦割り化)が進み、専門治療のレベルは格段に向上してきました。しかし、高齢化社会の進行もあり複数の問題点を有する患者数は増加しており、一つの臓器、疾患のみを対象とするのではなく、患者さんを臓器横断的に評価、診断し、全人的な対応、総合的な内科診療ができる内科医が今まで以上に熱望されています。私たち血液・糖尿病・内分泌内科は、内科学全体の知識と技量を有する総合内科医であると同時に、専門とする血液内科、糖尿病内科、内分泌内科に関しては高度な医療を実践する医師、医学研究者を育成することを目標としています。教室では、血液、糖尿病、内分泌の専門医が一つの講座内で連携しあいながら医療を行っており、その中で診断と治療を体系だて効率よく学ぶことが可能です。
臨床と並び、研究との両立を重視しています。私たちが目指し行っている研究とは、「基礎研究者になるための」研究ではなく、「より良き臨床医になるための」研究です。臨床医にとって論理的・客観的に患者さんの病態を把握し、治療法を選択することは極めて重要なことです。基礎研究を通じてのトレーニングは、的確な「病態の把握」に貢献しますし、あふれる情報のなかから目の前にいる患者さんに最適の治療を選択する「EBMに基づいた治療の実践」のためにも必要です。そして、将来の医療を支える「新たな治療法の開発」に少しでも貢献することを目指しています。そのために、ベッドサイドで生じた疑問を基礎研究により解決し、その成果を「臨床」の場に還元できるよう、遺伝子、細胞レベルでの疾患の原因の解明と、それに基づく新規治療法の開発を進めています。臨床研究は、宮崎県内すべての施設と共同で県全体をカバーする研究グループを構築し、population based studyを展開しています。すでに確立されている標準的治療を行うことはもちろん、新たな「世界標準」となり得るような宮崎発のエビデンスを発信できるよう、質の高い臨床研究を推進しています。
高い臨床能力と研究能力の両方を兼ね備えた「良医」の育成に関して、大学の講座・医局が果たす役割は、今の時代にあっても大きいものであると考えています。私は、医局というものは、構成員が各自の目標をかなえ、医師として成長し、幸せになるための場だと思っています。そのため、当教室は個々人が目指す医師像を大切にし、多様な価値観を等しく大切にできる集団でありたいと考えています。臨床医として地域中核病院の中心として活躍する医師、子育てをしながら可能な時間に診療する医師、開業医として全人的な診療を展開し地域医療を支える医師、最先端の医療技術の習得とその実践を目指す医師、明日の医療を夢見て基礎研究に励む医師、あるいは海外で活躍する医師など、先輩医師の「生き方」も様々ですし、各人の夢が達成できるよう最大限の機会を教室として提供しています。総合的な内科診療、専門診療トレーニング、基礎・臨床研究、大学病院・関連教育病院における臨床などからなる「血液・糖尿病・内分泌内科ネットワーク」に参加することは、自らが理想とする医師像に向かっての成長を強力に推し進めるはずです。
出身大学や年度を問わず、一緒に臨床医学を志す仲間を歓迎します。関心のある先生は、是非お知らせください。