2005年度 ソンクラ大学留学報告記

医学科6年 A.Y

ちょうど2年前、ドイツで臨床実習を受けてみたいと思い、フライブルグ大での実習に申し込みました。そこで過ごした4週間の間に、外傷外科の3人の先生方や病棟の患者さんから本当に多くのことを学びました。この時の経験が忘れられず、昨年から始まったソンクラ大学での臨床実習に参加しようと思い立ったのです。

私にとってはこれまでに経験したことを生かせる良い機会であったと同時に、実習を通じてタイとう国の医療サービスについて色々学ぶこともでき、参加して本当に良かったと思っています。

私から新しくEMPに参加される後輩の皆さんに伝えたいことは、「どんどん新しいことに挑戦してください」ということです。新しく踏み出す一歩がどんなに些細なものであっても、その一歩が必ず次の一歩につながります。どうか皆さんの目標に向かって前へ歩き続けてください。きっと楽しいですよ!

最後に、私達4人に貴重な機会を与えてくださった皆様にお礼を申し上げます。



医学科6年 S.I

 今回、ソンクラ大学のクリニカル・クラークシップに参加させて頂いて、貴重な経験をさせて頂きました。最も印象に残っているのは、タイと日本の医学教育の違いを体験できたことです。特に、最後の一週間に訪れた、地域の診療所での医師達の姿です。その診療所では、GP(General Practitioner:総合診察医)とよばれる医師達が、地域の患者の診療の中心を担っており、一人の医師が内科的疾患から、外科、産科など、あらゆる疾患を診ていました。

近年、日本でも家庭医の重要性が、叫ばれています。日本ではGP制を取り入れていないために、プライマリーケアにおいて患者が自分で診療科を選び診察してもらっています。そこにGPがいたなら、専門の診療科に見せるべきか、GPレベルで治療できる範囲なのかの判断をつけることができます。タイでのクリニカル・クラークシップを終えて、プライマリーケアにおいては、GPが地域に果たす役割は大きいことを実感しました。

日本では、医師過剰と言われる一方で、過疎地域での医師不足は今もなお深刻です。この制度を取り入れ、家庭医としての専門家であるGPを育成していけば、都市部、過疎地域に関係なく、プライマリーケアにおいて医療の充実を図ることができる、一つの手がかりになるのではないかと考えます。

このような、体験をさせて頂き、ありがとうございました。また、これから後輩の一人でも多くが、海外の医学制度を体験して、今後に生かしていくことを願っています。



医学科6年 K.N

単語は知っているが、聞けない、喋れない。日本人の特徴なのだろうか、医学についても同じではないか、ソンクラでそんな事を考えた。見て、聞いて、考える学問としての医学、大容量の短期記憶と反射神経で乗り切る試験勉強としての医学。そして私達は後者に溺れる。制度も環境も大きく異なり一概には言えないが、タイの学生達は少なくとも私達より、「医学」を「人」を通して学んでいた。1ヶ月ソンクラで過ごした事は何事にも変えられない貴重な体験で、今後の人生の大きな糧となると信じている。




ソンクラにいっての感想

  医学科6年 Y.H

 『タイでは医師といったら、なんでもできるもの』ソンクラでの実習はまさしく、この言葉につきます。医学教育のシステムは、医師が足りないという状況もあるため全てが実践的です。5年になると、病棟実習が開始され、担当患者の事はまず学生が問診し、所見をとり、検査、治療方針をたて、それをレジデントが毎朝のラウンドでチェックするといった状況です。グラム染色や、便検査などは学生がやってしまいます。こういう状況では何の検査をし、どのような薬をどれくらい使うかといったことまでやっています。Community hospitalでの実習になると、一人で虫垂炎などのオペはやってしまう。ですから、タイでは何科の医師でも虫垂炎のオペはできるそうです。このように、学生は実習そして帰ってからの勉強を通して、全てを学んでいきます。

日本で卒後にやることをそのまま5年、レジデントがやっている。何もできない自分が非常に恥ずかしく思えました。ソンクラでとても親切にご指導いただいた先生方、仲良くなった学生達に心から感謝しています。そして、このようなチャンスを与えて頂いた関係者の皆様に感謝いたします。最後にCommunity medicineの教授からの言葉を・・・。