教授からのメッセージ

Teaching Message

「皮膚を通して全身を診ることのできる医師を育てる。」「マクロ(臨床)とミクロ(皮膚病理)を診る目を養う。」「ここ宮崎で地域医療に貢献する。」

皮膚科は新生児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんを対象とし、アトピー性皮膚炎や薬疹など薬物療法が主体の疾患から、熱傷や皮膚癌など外科的治療が必要なものまで守備範囲とすることが大きな魅力です。また検査値異常のない早期から皮膚を通して皮膚筋炎など全身性疾患を診断したり、皮膚病変が内臓悪性腫瘍の発見の契機となった経験など皮膚科医の醍醐味のひとつだと思います。

視診、触診は診療手技の重要な柱です。皮膚科では形態学を通しこれらのプライマリーケアの基本手技を修得することができます。数多くの症例を経験することで、患者さんの病巣を的確に表現できるようになり、そしてこの事は臨床診断や病態の把握に役立ちます。また皮膚科ではマクロ(臨床)とミクロ(皮膚病理)を対比できるのが強みです。病理が苦手と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、皮膚病理は確定診断になる事はもちろん、臨床像や病態と密接に関係しています。マクロとミクロを比較しながら診療する皮膚科医の方が、臨床力に磨きがかかるのは自然な流れです。私たちとマクロとミクロを診る目を養って頂きたいと思います。

現在、宮崎県の皮膚科専門医は44名、人口10万人当たり3.5人です。福岡県5.1人に比べまだまだ宮崎県は皮膚科専門医が不足しています。宮崎大学病院は、“最後の砦”としての性格を持ち、宮崎全県から重症薬疹、熱傷、皮膚癌など重症患者さんが紹介されてきます。修練期間中に1次から3次にあたる皮膚疾患をここ宮崎で経験できることは、専攻医にとって魅力であると考えます。また1977年の開講以来、宮崎では一般開業医、県立病院など基幹病院と大学病院との連携がうまく機能しています。この病診連携は地域医療を担う上で重要であり、宮崎大学皮膚科では県立延岡病院や県立日南病院など、県北や県南の基幹病院へ医師を派遣し、地域医療に貢献しています。ここ宮崎で皮膚科を通して地域医療をぜひ学んでください。

私たちとここ宮崎で皮膚科学を極めたい仲間を歓迎いたします。

宮崎大学医学部感覚運動医学講座 皮膚科学分野
教授 天野 正宏