
ご挨拶
私は、前任である河南洋教授の後任として、平成21年3月1日より、宮崎大学医学部機能制御学講座統合生理学分野を担当しております宮考悟です。長崎県佐世保市に生まれ長崎青雲高校を卒業後、長崎大学医学部に入学致しました。大学を昭和62年に卒業後、同大学脳神経外科に入局し、脳神経外科医としての訓練を4年間受けた後、同大学大学院へと進み病理学教室へ入学致しました。基礎医学に対する興味が強く大学院卒業後も基礎教室に残り研究を続けました。その後、大阪大学医学部で勤務した後、1998年より留学の機会を得て、米国ジョンズ ホプキンス大学医学部神経科学部門の Huganir教授のもとで研究員として研鑽を積みました。ここでグルタミン酸レセプターの機能修飾による記憶や学習などの高次脳神経機能に及ぼす影響に興味を持ち、遺伝子改変マウスを用いた研究を行って参りました。その後11年間、同大学にて講師、助教授を勤めた後、この宮崎大学医学部において再度日本での研究生活を送っています。
米国留学当初より、日本と米国の神経科学教育の大きな違いを痛感致しました。特に米国の大学における系統的な講義の重要性と学生のそれによる基礎から臨床における幅広い知識に驚きを感じました。 現在、日本では神経科学は、神経生化学、生理学、発生学等と、神経に関連する神経内科学、脳神経外科学、精神医学といった臨床科学が各々の分野を分担して受け持ち学生教育を行っています。 私は、他の神経科学分野の先生方と共同し、これらの領域をできるだけ一貫した系統的な神経科学として学生教育を行いたいと考えています。また現在行われている学生教育のひとつである生理学という分野のあり方を、他の学問分野とシームレスに脳神経系の機能としてとらえるように医学教育ができないかと努力しています。
研究面については、私は長年神経科学の分野で仕事を行って参りました。米国の頃より研究を始めた、「学習・記憶といった高次脳神経機能の分子メカニズムの解明と、私たちの脳のなかで起こっている現象の解りやすい究明」を推し進めたいと思っています。さらに、こうした基礎医学研究を臨床医学へ広く応用する事にも努めていきたいと考えています。 技術的にも常に最新のものを取り入れ、新たな発見を目指したいと思います。
以上、私のこれまでの経歴と宮崎大学における教育・研究の方向性を述べさせていただきました。私自身、脳神経外科医としての臨床経験と長年の日本と米国における基礎研究の経験は自らも非常に独特な経歴を経てきたと思います。このような私の知識と経験が基礎医学のみならず臨床医学の発展の一助となれば幸いです。
私どもの仕事に興味をもって下さり、一緒に研究をやってみたいという方は、大学院生・研究員といったいろいろな方法があります。直接に私へ気軽にご相談下さい。おおいに歓迎致します。
令和3年6月
機能制御学講座 統合生理学分野 教授
宮 考悟(たかみや こうご)
経歴
学歴
- 1987年3月
- 長崎大学医学部卒業
- 1995年3月
- 長崎大学大学院医学研究科博士課程修了、博士(医学)
職歴
- 1987年6月〜1988年5月
- 長崎大学医学部附属病院研修医(脳神経外科)
- 1988年6月〜1989年5月
- 北九州市立八幡病院医師(脳神経外科)
- 1989年6月〜1990年7月
- 国立長崎中央病院(現長崎医療センター)医師(脳神経外科)
- 1990年8月〜1991年2月
- 長崎大学医学部附属病院医員(脳神経外科)
- 1995年4月〜1995年12月
- 杠葉病院医師
- 1996年1月〜2001年3月
- 大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター神経生化学助手
- 1998年4月〜2001年3月
- 米国ジョンズホプキンス大学医学部神経科学部門ポスドク研究員
- 2001年4月〜2002年5月
- 米国ジョンズホプキンス大学 医学部 神経科学部門リサーチアソシエイト
- 2002年6月〜2006年10月
- ハワードヒューズ医学研究所リサーチスペシャリスト
- 2002年6月〜2006年10月
- 米国ジョンズホプキンス大学医学部神経科学部門 Instructor(講師)
- 2006年11月〜2009年2月
- 米国ジョンズホプキンス大学医学部脳神経外科・神経科学部門 Assistant Professor(助教授)米国ジョンズホプキンス大学医学部脳神経外科・神経科学部門 Assistant Professor(助教授)
- 2009年3月〜
- 宮崎大学医学部機能制御学講座統合生理学分野教授