皆さんは、どんなお医者さんに診てもらいたいでしょうか?
患者さんや一般市民の方のアンケートでは、話を良く聞いてもらえて、患者さんに思いやりのある気持ちを持った先生に診てもらいたいという意見が寄せられています。
では、そのような思いやりのあるお医者さんを育てるには、どのような教育が必要でしょうか?
私は、コミュニケーション能力を向上させる教育が一番重要と考えます。患者さんとのコミュニケーションのことを、「医療面接」と言いますが、これまでの医学部での教育には、医療面接のトレーニングがありませんでした。私の友人に、テニスが大好きな人がいます。彼は、テニスが上達するために、3時間の猛練習をしています。このように、医療面接も教科書を見るだけではダメで、練習をしないと上達しません。
では、どうやって練習すれば良いのでしょうか?
本物の患者さんを相手にして練習するわけにはいきません。
医療面接をするには、3つの方法があります。
1)教員相手の練習
2)学生同士のロールプレイ(役割演技)
*ロールプレイ(役割演技)とは?
現実に起こる場面を想定して、複数の人がそれぞれ役を演じ、疑似体験を通じて、ある事柄が実際に起こったときに適切に対応できるようにする学習方法の一つである。
3)模擬患者(SP:simulated patients)相手の練習があります。
医療面接は、単に喋るだけの技術ではなく、患者さんを受け入れ、共感し、病気を持った患者さんの不安や悩みを分かり合うための技術も必要です。そのためには、SP参加型教育が適していますが、ボランティアとして参加していただくSPさんが必要となるのです。