Author Archives: miyaph

当研究グループがデザイン・解析を手掛けた重症外傷性脳損傷の気切管理に関する論文が、『Critical Care Medicine』誌のEditorialで紹介されました

このたび、私たちが研究デザインの策定およびデータ解析に深く携わった、重症外傷性脳損傷(TBI)患者における気管切開のタイミングと治療実態に関する論文が、集中治療医学の国際的トップジャーナルである『Critical Care Medicine』誌のEditorial(巻頭言・論説)において取り上げられ、高く評価されました。本研究では、大規模なナショナルデータベースを活用し、施設ごとの早期気管切開(Early Tracheostomy)の施行傾向のばらつきや、生命維持治療の中止(WLST)との関連性について詳細な解析を行いました。

Editorialを執筆したSarah Wahlster氏ら(ワシントン大学など)からは、気管切開の時期そのものだけでなく、予後予測の不確実性が高い早期段階における意思決定のプロセスや、患者中心のケアの重要性について深く考察されています。今回に紹介は、私たちが手掛けた研究デザインや解析アプローチが、臨床現場における重要な課題を浮き彫りにし、学術界に大きなインパクトを与えたものと受け止めております。今後も厳格な研究デザインと高度な解析を通じて、臨床現場の意思決定に資するエビデンスを発信し、患者さんにとってより良い医療の提供に貢献できるよう邁進してまいります。

 

【掲載論文およびEditorialの詳細】
掲載誌: Critical Care Medicine (Publish Ahead of Print, June 17, 2026)
Editorialタイトル:
Much Ado About Timing—Are There Patient-Centered Benefits of Early Tracheostomy After Traumatic Brain Injury?
著者: Sarah Wahlster, Shaurya Taran, Claire J. Creutzfeldt
DOI: 10.1097/CCM.0000000000007258

【採択報告】令和8年度 AI for Science  萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)に採択されました。

この度、当教室にて申請しておりました研究課題が、国立研究開発法人科学技術振興機構

(JST)の「令和8年度AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」に採択されました。

[研究課題名]

研究課題名:胸部X線写真における吸気位連動型心胸郭比補正AIモデルの概念実証

[臨床とデータサイエンスの融合]

私はこれまで、臨床医および研究者として、ヘルスケアデータと統計・AI手法を橋渡しする

「臨床データサイエンス」の領域で研究を行ってまいりました。臨床の現場で生じる

「心胸郭比(CTR)が呼吸相により変動し診断精度を低下させる」という切実な課題に対し、単なる

統計処理に留まらず、物理シミュレーションと深層学習を融合させることで解決を試みる本研究は、まさに臨床とデータサイエンスの融合によるイノベーションの試みです。

[研究の概要]

胸部X線検査におけるCTRの吸気位変動という課題を解決するため、立位CTデータを用いた物理シミュレーション(dDRR:動態仮想X線画像)を生成します。この仮想データを教師データとして活用し、胸部X線写真1枚から高精度に吸気位を推定するモデルを構築します。実臨床の制約をAI技術で補完し、診断の標準化を目指します。

[AI利活用の意義]

本研究の核となるのは、物理シミュレーションとAIの高度な連携です。実撮影で収集困難な教師データをAIで生成することで、従来手法では不可能だった診断指標の安定化を実現します。

このアプローチは、胸部領域のみならず、生体信号や動態の影響を強く受ける他の医用画像診断全般へ拡張可能な、汎用性の高いモデルになると確信しています。

[今後の展望]

本事業での研究を通じて、臨床知見を数理モデルに落とし込み、AIという強力なツールを実社会へ

実装するための知見を蓄積していきます。また、SPReADコミュニティを通じて、

他の研究分野の研究者とも知見を共有し、科学的発見を加速させるためのAI利活用プラットフォームの構築に貢献してまいる所存です。

池之上教授着任のお知らせ

2026年1月1日付けで、池之上辰義が社会医学講座公衆衛生学分野の教授に着任いたしましたので、お知らせいたします。

【教授プロフィール】

氏名:池之上 辰義(いけのうえ たつよし)

専門分野:

・臨床疫学

・医療データサイエンス

・公衆衛生学

・腎臓内科学

・透析医学

研究・教育の方針:

臨床・行政の現場で生じる疑問に真摯に向き合い、大規模医療データベースや機械学習などの最新手法を活用した臨床疫学・公衆衛生学研究を展開してまいります。臨床疫学の立場から、臨床医の皆様の日々の診療における疑問を研究テーマとして取り上げ、エビデンスの創出を通じて、より良い医療の実践に貢献することを目指します。同時に、公衆衛生学の立場から、地域住民の健康増進と疾病予防、健康格差の是正に取り組み、エビデンスに基づく公衆衛生政策の推進を通じて、地域社会全体の健康水準の向上に寄与してまいります。現場との密接な連携のもと、実践的な研究と教育活動を推進し、地域社会の健康増進と医学の発展に尽力してまいります。

 

何卒よろしくお願い申し上げます。

宮崎大学医学部

社会医学講座公衆衛生学分野