研修案内(病理医をめざす方へ)

病理診断とは

病理診断は航海地図のようなものです。病理診断がないと、地図がない状態で、真っ暗闇の海の中に突き進むことになります。近代医療では病理診断は欠くことのできない事項で、我々病理医が担っています。

臨床の先生方は血液検査や画像をみながら、臨床診断しますが、病理では病気の本体を実際に眼でみて診断していきます。顕微鏡でみる組織や細胞の像は、不思議な世界です。いつも何でこんな像になるのだろうと思います。学生の時には正常の組織も全くわかりませんでしたが、先輩方の指導と経験を積むことで少しずつみえてくるようになり、経験とともにさらにおもしろくなります。現在病理医で活躍されていた先生の中で学生のときから病理診断ができていたひとは一人もいません。学生のときに病理に苦手意識があっても、顕微鏡をみておもしろそうだなと思えれば病理医に向いています。

病理医の利点(ワークライフバランス

病理医の利点は、自分で計画を立てて仕事ができることです。一度家に帰ってからまた病理診断することも可能です。宮崎大学では少しずつ病理専門医が増えてますが、特に女性病理医が増えています。結婚、出産、子育てしながら病理医として腕をみがいていってる医師が多いのは、このような環境にあると思います。趣味を多く持っている先生方もたくさんいらっしゃいます。

研修プログラムの特徴

宮崎大学病理診断科・病理部では全診療科から病理診断のための検体が提出されています。当院では両講座の先生、病理部病理医の指導のもと全ての病理医で協力しながら、年間7000件の病理組織診断、500件の迅速診断、5000件の細胞診診断をおこなっています。病理解剖はやや減少傾向にありますが連携施設の病院へも病理解剖を研修させていただいています。宮崎大学では専門医プログラムに基づき、毎日午後肉眼観察、できあがったガラス標本を、専門医が一緒に顕微鏡で標本を観察し、丁寧に指導しながら病理診断をしていきます。宮崎大学の特徴は、両講座、病理部、さらに宮崎県内の病理医、連携施設とも自由に意見交換ができ、多くの先生から指導してもらえるところだと思います。

臨床とのカンファレンスは、血液骨髄カンファレンス、外科カンファレンス、泌尿器カンファレンス、呼吸器カンファレンス、頭頚部カンファレンス、婦人科カンファレンスなど多数行い、研修医や病理専門医を目指す先生方にも積極的に組織の説明をしてもらいます。また病理解剖ではCPCの発表を通して全身臓器へ精通していきます。病理学会をはじめ、年に6回開催される九州沖縄支部のスライドカンファレンスにも積極的に参加し、発表、論文作製もしていただいています。

 

九州・沖縄地区で一年に一回“病理学校”と称して泊まり込みで勉強会もしています。病理に興味のある学生さんや研修医の先生がたくさん参加しています。病理医に少しでも興味のある方はぜひメールでも、見学でもいらしてください。素敵な出会いがきっと待っています。

研修プログラム概要