病理診断科長あいさつ

ご挨拶

宮崎大学での病理診断は、宮崎医科大学開学当時から、病理室と病理学講座と協力しておこなってきましたが、1998年に附属病院病理部が設置、鍋島一樹先生(現福岡大学教授)が副部長として就任されスタートしました。2013年に病理診断科が標榜診療科として設置され、現在も両講座(病理学講座構造機能病態学分野、病理学講座腫瘍形態病態学分野)の先生方、病理部医師、病理部検査技師とが協力し、病理診断をおこなっています。宮崎県の病理医は決して多くはありませんが、少しずつ若手病理医、特に女性医師が増えています。今後も皆様に信頼される病理医を増やすことが目標の一つです。

病理診断科・病理部では、患者様から採取・切除された体の一部(細胞・組織)を顕微鏡で観察して病気の診断を行っています。例えば、胃の内視鏡検査では一部採取された組織(生検)を、検査技師がガラス標本を作製、さらに病理医が顕微鏡で観察し、”癌”か、”癌でない”かを診断しています。私たちは直接患者様とは接しませんが、病理診断の向こう側に患者様がいるという思いで日々仕事しています。生検診断の他、手術検体の診断、術中病理を行い、細胞診では技師が中心となり診断を行っています。不幸にして亡くなられた患者様に対しては、病理解剖をさせていただき、生前わからなかった病気が見つかることもあります。近年では病理検体を用いて遺伝子検査が行われ、さらに広く患者様の診療を支えています。

病理学は、病気のしくみ、原因を探索する学問です。病理診断学は、病理学から派生し病理診断に軸足を置いた学問ですが、顕微鏡をみるたびに、”なぜこのような形や病気になるのだろう”と考えます。病理診断科・病理部では、両講座、さらに臨床科の先生方と協力して、様々な臨床研究も行っています。人体病理の不思議な世界について興味のある方はぜひ病理診断科・病理部を訪ねていただければと思います。

病理診断科長
佐藤 勇一郎