2025年4月
から脳神経内科の診療科長を拝命いたしました。宮崎県内の脳神経内科医は着実に増えているものの、まだ十分とは言えない状況です。そのような中でも、少数精鋭のチームとして、診療、教育、研究に一丸となって取り組んでいきたいと考えています。
今回、診療科長を引き継ぐにあたり、長年にわたり宮崎県の脳神経内科医療を牽引し、患者さんに寄り添う医療を実践してこられた塩見先生から、「真の脳神経内科医として真髄を求める集団であってほしい」という熱い言葉をいただきました。脳神経内科医の「真髄」は、人それぞれ異なるのかもしれません。しかし、私自身が大切にしているのは、「患者さんに真摯に向き合うこと」です。
私は医師としての駆け出しの時期を、静岡県浜松市の急性期病院で過ごしました。そこでは、「患者さんのための医療」という姿勢を徹底的に学びました。日々の診療の中で、患者さんに向き合い、最善と考えられる治療を行う一方、治療が難しい神経難病に対しても、日常生活や心理面を少しでも支えられるよう努めてきました。その中で、どれほど努力しても治療につながらない場面や、原因がまだ分からないと説明せざるを得ない場面に、無力さを感じるようになりました。そして、難病の病態解明につながる研究を、自分自身でも行いたいと思うようになりました。大学院では宮崎に戻り、生化学の基礎研究に没頭しました。基礎研究者に囲まれながら研究を進める中で、分子生物学的な考え方を学ぶと同時に、臨床医としての自分の役割について改めて考えるようになりました。詳細な分子メカニズムや実験技術では、基礎研究者には及びません。しかし、「患者さんの治療につながる問題を見つけ、それを患者さんに還元する」という視点は、臨床医にとって大切な強みであることを再認識し、再び臨床の現場に戻ってきました。
おそらく、私と塩見先生が共有している脳神経内科の真髄も、患者さんに真摯に向き合うことなのだと思います。そして大学病院には、その診療の中から生まれた課題に対し、臨床医学的あるいは基礎医学的なアプローチを通じて、次世代の医療の発展につなげていく役割があります。患者さんに真摯に向き合うことは、言葉で言うほど簡単なことではありません。しかし、塩見先生が築いてこられた宮崎県の脳神経内科医療には、「丁寧に診療する」という確かな土台があります。私自身の役割は、その土台を大切に守りながら、県内で脳神経内科医療に携わる医師が、それぞれの興味や問題意識を自由に深く探究できる環境を整えていくことだと考えています。
宮崎には、脳神経内科診療を丁寧に探究し、自分の好きなことを突き詰めることができる環境があります。南国宮崎の温かい気候の中で、熱い脳神経内科医療に取り組みたいと思う方は、ぜひ一度宮崎に遊びに来てください。
