杉山です。

「お知らせ」には記載されていましたが、少し前に、Neurodegenerative diseases associated with the disruption of proteostasis and their therapeutic strategies using chemical chaperonesというタイトルで、シャペロン療法のまとめと新しい考え方について神経疾患の治療という観点を入れて総説を書きました。シャペロンとは、若い女性が初めて社交界にデビューする際に付き添う年上の女性を意味していましたが、分子生物学的にはタンパク質が正しく折りたたまれて機能を獲得するのを手助けする物質の総称です。シャペロンは、分子シャペロン、薬理学的シャペロン、ケミカルシャペロンの3つに分類されますが、薬理学的シャペロンとケミカルシャペロンは低分子化合物なので、血液脳関門を通過するので神経疾患への応用にも着目されています。私もこれまでの基礎研究でケミカルシャペロンの一つである4フェニル酪酸(4-PBA)を扱っていました。4-PBAは、タウルルソジオールとの合剤がALSの治療薬としてアメリカで開発されたものの、今年の3月に第3相で有意な差を示せず撤退となりました。しかし、4-PBAの作用起用機序は興味深く、新しい治療ターゲットを探索するツールとしては、まだ有用であると思っています。このあたりは総説に詳しく書きました。シャペロン療法をまとめた新しい総説はあまりないので、良かったら参考にしてください。