宮崎大学医学部附属病院感染制御部部長 髙城 一郎
当院は、1977年に開設された地上7階の建物に総病床数604床を有する宮崎県内唯一の医育機関および特定機能病院です。2002年に感染制御チームが組織化され、2011年に感染制御部(Center for Infection Control:CIC)が設置され、岡山昭彦が初代部長に就任されました。2021年4月より私が二代目の感染制御部部長を拝命しております。これまでにも様々な危機があり、その都度チーム一丸となって対応し乗り越えてきました。特に2020年以降は、COVID-19と闘い、大きな困難を乗り越えようと病院全体で取り組んできました。COVID-19は5類に移行しましたが、医療機関での感染対策の緩和はクラスター発生の誘因となり得るため、感染対策の基本は変わりません。社会全体が感染対策を緩和する中でも、医療機関として一定レベルの感染対策を継続し、重要なポイントを抑えつつ、効果的な対策を進めていきます。
CICは、医師3名、看護師2名、薬剤師2名、臨床検査技師1名、事務1名で構成されています。ICTとして、病院全体で取り組むべきマニュアルの作成、日常の感染症サーベイランス、院内ラウンド、アウトブレイクの兆候の発見・働きかけ、感染対策に関する教育・研究活動などを通じ、本院の感染対策の実働部隊として、各診療科や部門の感染対策活動を支援・指導しています。また、ASTとして抗菌薬適正使用の推進をはかるため、血液培養陽性患者、広域抗菌薬使用患者、免疫不全患者の状況を確認するとともに、多くの診療科からコンサルテーションを受けて共同診療や診療支援に取り組んでいます。
2024年度の感染制御部の目標は、「手指消毒剤の年間平均使用量を昨年度より増加させる」ことでした。その達成に向けて、各部署・部門で使用量向上を促進するためのポスターを作成し、手指消毒剤の使用を促す取り組みを行いました。皆様の多大なご協力とご支持のおかげで目標を達成し、院内感染の多発やアウトブレイクの発生を防ぐことができました。
2024年度診療報酬改定では、介護保険施設等との連携の推進、Access抗菌薬の使用比率の低さを考慮した評価体系の見直し、特定感染症入院医療管理加算などが追加されました。今後も、県内の病院や診療所、保健所、医師会等と連携し、宮崎県全体で抗菌薬の適正使用と感染対策を強化し、地域社会への貢献を目指してまいります。