大園先生の論文がBMC GastroenterologyにAcceptされました!!
Title: Tofogliflozin attenuates liver steatosis and fibrosis in non-diabetic non-alcoholic steatohepatitis mice
Authors: Ozono Y, Kawakami H, Hatada H, Uchiyama N, Ogawa S, Uchida K, Tamura H, Komaki Y, Nakamura K, Iwakiri H, Hasuike S, Nagata K
この度、BMC Gastroenterologyに基礎研究の論文がacceptされました。試薬を提供していただいた興和株式会社様、実験計画からリバイス対応にご協力いただいた河上教授に感謝申し上げます。
非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) の患者は世界中で増加傾向であり、2024年の報告では、世界で30.2%の人がNAFLDであると推測されています。NAFLD患者は様々な生活習慣病を合併し、特に糖尿病はNAFLDの線維化進展を加速させるため予後不良因子とされています。しかし、NAFLD患者における糖尿病の合併率は22-47%程度と、糖尿病非合併のNAFLD患者の方が多いのが現状です。糖尿病非合併のNAFLD患者も健常者と比べると予後不良ですが、糖尿病非合併のNAFLDに対しては確立した治療法がありません。そこで、糖尿病を発症しない非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) モデルマウスを作成し、SGLT-2阻害剤であるトホグリフロジンを投与したところ、肝臓の脂肪化と線維化が改善しました。このことから、トホグリフロジンが糖尿病非合併のNAFLDに対して治療薬候補となり得ることを示しました。上記の結果をBMC Gastroenterologyに投稿したのが2025年4月で、1ヶ月後にReviewer 3人から4枚分、EditorからA4ページ10枚分にも及ぶコメントが返ってきました。
ReviewerからはWestern blotting、RT-PCR、FACSなどの追加実験を要求されたため、追加実験を行い、1回目の修正でOKをもらいました。しかし、Editorからは本研究の目的を超えた実験や考察の追加、統計学的内容の追加など多大な要求され、対応に苦慮しました。なぜEditorがこのような多大な要求をしてくるのか納得いかないまま返答文を作成し、修正版を提出しました。その後も、Editorから複数回にわたって細かい要求をされ、最終的に4回の修正版の投稿を経て、2026年1月6日にようやくacceptに至りました。これまでの論文の中で、最も苦労したものになりましたが、消化器内科で初の基礎研究論文ですので、非常に嬉しいです。今回の経験を生かして、今後も研究成果をどんどん発表していきます。
大園 芳範
(河上追記)
大園先生の研究論文は消化器内科から初めてとなる基礎実験の研究論文となりました。大変嬉しく思っています。講座開設から10年目にやっと成果を出すことができました。論文の担当editorについては大園先生のコメントの通り、過大な要求と思われる内容ばかりであり、初めて反論させていただきました。今回の研究ではMASLDモデルを使用しなかったため、タイトルはNAFLDとなりますが、基本的にはMASLDと考えて良いと思います。MASLDに対してはGLP-1受容体作動薬の有用性が報告されていますが、SGLT2阻害薬の有用性も報告されています。SGLT2阻害薬の作用は多様性(血糖コントロール改善や心・腎保護作用など)を示し、本研究結果のようにNAFLDに有用であり、安価であることを考慮いたしますと、今後はNAFLDやMASLDに対して、まず最初に選択するべき薬剤になるのではないかと思います。

