宮崎大学医学部ロゴマーク宮崎大学医学部内科学講座 消化器内科学分野 宮崎大学医学部ロゴマーク宮崎大学医学部内科学講座 消化器内科学分野

   

教授挨拶

謹んでご挨拶申し上げます。

私、河上洋は2016年4月に宮崎大学医学部医学科 消化器内科学講座の教授を拝命しました。

私は神奈川県出身です。大学卒業後は北海道で過ごしました。赴任して初めて暮らす宮崎では、温暖な気候に恵まれ、温和な人々に囲まれて、宮崎県産の豊かな食材のグルメを堪能しております。

消化器内科について紹介させていただきます。消化器内科が対象とする臓器は、消化管は咽頭から食道、胃、小腸(十二指腸・空腸・回腸)、大腸(結腸・直腸)、また、肝臓や胆管、胆囊(たんのう)、乳頭部、膵臓(すいぞう)と多岐に渡ります。それらの臓器には、癌を始めとして、感染症、自己免疫性疾患、機能性疾患などの多彩な病態が生じます。消化器内科の診断、治療法は常に日進月歩ですが、大学では最新の知見を基に診断、治療を提供しています。

宮崎大学医学部附属病院の役割は、地域の病院や医院、診療所と連携して専門の高い診療を提供し、また、それらを担う医師の育成をすることです。大都市の大学病院と比較して、当院では一般的な疾患から希少疾患まで幅広く受け入れ、患者様の年齢層も超高齢者まで受け入れております。全国的にも超高齢社会を迎えておりますが、私たちが診療させていただく年齢層も高齢の方が非常に多いことも特徴と言えます。南北に広い宮崎県の医療をカバーするため、また、患者さん1人1人の状況に合わせるためには、専門性を発揮できる優れた人材が今以上に多数必要です。今後、ますます消化器内科医に求められ果たすべき役割は大きくなっていきますので、何よりもまずは人材育成に注力していきたいと考えています。

宮崎大学医学部医学科を卒業後、県内で勤務する医師は約20%(例年約20名)と非常に少ないことは由々しき事態です。大学病院だけでも26の診療科が存在する中で、十分な人数の消化器内科医を確保することは困難を極めます。県内医師の偏在化も問題です。医学部として県内入職者を増やすべく、県と協力して地域枠などの独自の取り組みも行われていますが、不十分と言わざるを得ない状況です。私たち自身も消化器内科の魅力や醍醐味を伝えていくことが重要と考えています。県民の皆様に安定かつ安心した診療を提供できるよう、次世代の医師育成に取り組んでまいります。同時に医学研究も実践、発展させ、良医の育成に取り組んでいきます。

2023年4月には開講8年目を迎えました。2016年4月の開講当初は消化器内科学講座として内科学講座から独立していました。2018年には内科学講座 消化器内科学分野として改組され、旧第一内科、旧第二内科の消化管グループの先生方と一緒に仕事をさせていただくことになりました。また、2021年には旧第二内科の肝臓グループの先生方とも1つになり、消化器内科として歩を進めています。現在、講座医局には30名、非常勤5名が所属しています。2019年から本年まで13名の新入局の仲間ができました。現在、女性医師は10名(常勤7名、非常勤3名)が所属しています。ライフステージに応じて柔軟で多様な研修をしていただいており、働きやすい環境作りも行っています。育児中の4名(常勤1名、非常勤3名)の先生方の日常をお聞きになりたい方は医局までお気軽にご連絡ください。

常に新しい研修内容を公表し、情報をアップデートしていくことは重要です。これにより、様々な治療の可能性を共有することで、多くの人命を救うことに繋がると考えています。今後も医療の変革の方向性を見失わないようにしながら、ライフステージに応じてキャリア形成できるよう、内視鏡のテクノロジーを上手に取り入れながらジェネラリストやスペシャリストを育成し、活躍の場を広げられるようにしたいと考えています。また、先進・高度医療に携わる医学部附属病院の医師として、学会報告のみならず、論文化による発信をするべきと考えています。消化器内科として講座が統合されるまでは、消化器内科としての発表論文数は少ない状況でした。若手の先生方にいきなり英文論文の執筆を求めるのは難しいと思いますが、まずは査読ありの和文誌への症例報告の論文化をするべく指導を行っています。論文化の医学教育における重要性はその論文が生み出される過程を経験することです。臨床のトレーニングと医学研究に取り組むことの両輪に関わることに意義があると考えています。

2021年10月より医学部附属病院の副病院長も拝命しております。講座の教授職に求められる役割と異なり、病院執行部の一員としての役割も果たす必要があります。医学部附属病院全体として、診療単価の向上や病床稼働率の向上、入院期間の適正化などを目標として、各診療科と協働していきます。また、大学でしかできない先進・高度医療が可能なように人員配置を行っていきたいと考えています。

医局員が一丸となり、診療を大切にしながら教育の充実と研究の発展を志して消化器内科学診療の発展に全力で取り組んでいきます。

2023年7月吉日
宮崎大学 医学部医学科 内科学講座 消化器内科学分野
教授 河上 洋