医学生/研修医/入局希望者向け Q & A #15 「胆膵疾患診療のやりがいと大変だと思うことを教えてください」
Answer
胆膵疾患には総胆管結石や膵炎,IgG4関連疾患などの良性疾患から,膵癌,胆管癌などの悪性疾患まで幅広く含まれており,診療内容も多岐にわたります.診断から治療まで一貫して行うことが可能ですし,根治的治療が困難な状況でも症状緩和目的の内視鏡治療を提案できます.患者さんに対して最初から最後まで寄り添うことのできる診療グループだと考えています.
対象としている疾患の特性上,ERCP関連処置は内視鏡処置の中でも緊急治療が多いことや重篤な合併症が生じるリスクもある分野ではあります.しかし,治療した際の症状の改善が目に見えてわかるとてもやりがいのある分野でもあります.また,処置具の種類も多く,日々新たな処置具が登場しており,症例毎にどの処置具が適しているのか考えることも胆膵領域の面白さのひとつです .私の場合は入局2年目以降,胆膵処置の指導を受け,早い段階から胆膵疾患診療に携わらせていただいておりますし,当科で開発を行っている新規処置具にも開発の早い段階で触れることもできており,大変勉強になっています.
胆膵疾患診療は膵癌や胆管癌の早期診断や,ERCP後膵炎を根絶することなど現時点では到達できていない目標もあり,今後の課題も多いと考えます.学会や勉強会の場で常に知識をアップデートしながら,よりよい診療につなげる努力は常にすべきです.私見ではありますが,胆膵領域の先生方は魅力的な人が多い(胆膵領域の診療をしている先生方で内視鏡処置やその合併症で苦しんだ症例を経験されていない先生はおらず,懐が深く,人情味のある先生が多い印象です.)と感じており,学会や内視鏡ライブなどに参加することでモチベーションも向上します.宮崎 という地で1人1人の患者さんと向き合いながら,チームで診療レベルを向上してゆきながら,全国の尊敬する先生や仲間とよりよい診療を目指していくのが私の理想でありやりがいです.
執筆 消化器内科 医師(宮崎大学医学部 2017年卒)