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医学生/研修医/入局希望者向け Q & A #2 「全身を診ることができる内科医になりたいのですが、消化器内科でそれは可能ですか?」

医局員ブログ

Answer

可能です。手前味噌ですが、その目的に最も適した科の一つだと思います。

新専門医制度において、専門に特化する前に、体系的な内科診療や総合内科的な思考を習得するための一般内科専修があります(実際には、各サブスペシャルティの専修を同時並行で行っていることが多いです)。ですので、内科であればどこの科に入っても内科医として最低限の「全身を診る」ことはできるようになるプログラムになっています。しかし、実臨床でさらに「全身を診る」ということの質を上げていくには、やはり多臓器・多分野での豊富な診療経験が必要だと思われます。消化器内科はその意味ではとても利点が多いです。理由は2点あります。

1つめは、消化器内科の疾患の多様性です。食道、胃、小腸、大腸、肝、胆嚢、膵臓と(胸)腹部の多くの対象臓器に対して、悪性腫瘍、自己免疫性疾患、感染症、出血などさまざまな分野の疾患が生じます(教授の挨拶に紹介されていますのご参照ください)。悪性腫瘍は肺・骨・脳などへ転移することがありますし、自己免疫性疾患は内分泌系疾患などを合併することがあります。また、重症感染症から血液凝固障害を合併することや、敗血症性ショックで呼吸循環動態に異常を生じることもあります。消化器を中心に、まさに全ての臓器と分野が私たちの対象疾患です。

2つめは、悪性腫瘍、つまり、癌診療です。総合内科的には多々ある分野の一つという位置付けですが、現在は2人に1人が癌に罹患する時代です。癌診療をなくして「全身を診る」のは難しいと思います。悪性新生物という呼び名もあるように、体の中に新たな生物を宿すがごとく、その診療は、一筋縄・教科書通りにはいきません。様々な思いで癌と闘う患者さんとの診療経験は、「全身を診る」ひいては「全人的医療」に近づく道であると確信しています。

執筆 消化器内科 7年目医師 (宮崎大学医学部卒)