1 医  学  部

(2) 学生生活への配慮

(ア) 学生組織・学生活動
【過去5年間の概況】
 昭和50年2月、 本学学生による学生会が組織されている。 この中には、 常任学生委員会・学生委員会・クラス会・大学祭実行委員会が設置されており、 それぞれが活動を行っている。 常任学生委員会は毎年6月頃に学生会を開催し、 大学における教育及び課外活動等に関する要望、 或いは改善事項を取りまとめて要望書を提出している。 大学祭実行委員会は、 第1回の大学祭 (すずかけ祭) を昭和50年に実施して以来、 今年で26回を迎えている。 新入生歓迎実行委員会は、 毎年入学式の翌日から大学が主催している新入生合宿研修に先輩学生として参加し、 新入生の歓迎及び入学後の学生生活についての支援・相談に応じている。 国試対策委員会は、 6年生の医師国家試験における宿泊先や試験会場への交通手段の確保など、 5年生が後方支援としての活動を行っている。

【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 学生会は学生でもって構成される組織であるが、 社会の要求に応えられる良き医師となりたいとの思いから、 カリキュラム、 進級問題など医学教育の改善に関する事項や講義室、 課外活動施設などの環境に関する事項等についても具体的な要望を取りまとめて大学側に提出しており、 これを受けた大学側は関係する部署で検討の上、 対応を行っている。 また、 今年で26回を数える大学祭は、 毎年実施する目的を明示し、 地域との連携をも視野に入れた内容により開催しており、 地域のみならず、 県内でも好評を得た大学祭となっている。 一方、 学生会は大学の正式な構成員としての権利の主張のみならず、 「誇れる母校」 とするため具体的な活動についても模索しており、 平成12年度はモラルの改善のための各種施設使用のマナー、 交通安全などについて、 自らの啓蒙活動にも努めている。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 これまで、 学生会からの要望は一方通行的に行われてきている。 今後、 学生の意見を大学運営に反映することが望まれることから、 大学と学生間の定期的な意見交換の場を設ける必要がある。

(イ) 課外活動、 課外活動指導体制 (顧問教官制を含む)
【過去5年間の概況】
 課外活動として、 体育系25グループと文科系16グループの41サークルが、 活発に活動を行っており、 体育系サークルでは、 平成9年度に西日本医科学生総合体育大会の主管校として、 44大学、 競技種目20種類、 参加人員延べ15,000人規模の大会運営を行うとともに、 総合優勝を成し遂げている。 また、 平成12年度に、 九州山口医科学生体育大会を本学主管で開催し、 優秀な成績を納めている。
 一方、 文化系サークルでは、 日頃の練習成果をそれぞれに発表している。 特に、 室内楽部が年末に附属病院入院患者へ院内コンサートを、 情緒障害児ボランティアサークルが、 サマーキャンプ等地域に密着した活動を行っている。
又、 本学には、 勉学や学生生活上の諸問題について、 相談、 指導、 助言等を受ける場としてグループ担当教官制度を設けている。これは全学生を38グループ (1グループ約17名1年生から6年生まで、 各3名程度で構成される。) に分け、 教授、 助教授、 講師からなる3名1組の教官が担当する制度で、 教官の指導助言は言うまでもなく、 先輩、 後輩相互の相談や交友を深めるものとなっている。

【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 課外活動は、 各人の適正や趣味にあったグループ活動を通じ、 自主的・創造的能力を養い、 また、 大学での責任ある一員として、 共同生活の体験を蓄積することによって、 豊かな教養と社会性を身につけることを目的としており、 本学では、 現在約80%と近くの学生が加入しており、 加入率はかなり高いものとなっている。また、 サークルの設立・更新についてのルール等を設けており、 サークルの活動に際しては、 当該サークルの顧問教官が指導・助言を行っており、 活動の適正化に関する役割も担っている。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 課外活動を支える施設として、 体育系では、 多目的グラウンド、 球技コート、 テニスコート、 体育館、 プール、 武道場、 弓道場等がある。 これらの施設は設置以来25年を経過しているため、 補修を行っているが老朽化が著しく、 早急な改修等が必要となっている。 文科系では、 室内楽部等が活動拠点としてあるが、 体育系同様、 部室の絶対数が不足していることから、 学生から部室要求が出されている。
 他方、 課外活動は、 団体行動を通じて、 豊かな教養と社会性を身につけることを目的にしているにも関わらず、 問題行動を起こすサークルもあり、 毎年9月に、 体育系及び文科系サークルの主将等を対象に、 サークル活動を行う上での諸問題、 課外活動の活性化とリーダーとしての心構え等についての研修を行っているが、 さらに、 今後もきめ細かい指導をしていく必要がある。
九州・山口医科学生体育大会結果 西日本医科学生体育大会結果 】(表示)

(ウ) 課外教育
【過去5年間の概況】
 課外教育として、 毎年、 新入生合宿研修、 在来生合宿研修を実施している。 新入生合宿研修は入学式の翌日から1泊2日の日程で、 学生生活における助言・指導と学生相互及び教職員との親睦を図るために、 また、 在来生合宿研修は1泊2日の日程で地域医療に関する現状と今後の問題点を考え、 併せて、 在学中及び卒後の諸問題について在来生相互間での意見交換及び本学教官やへき地医療に携わっている医師による指導・助言が行われている。
 また、 大学内の行事、 諸活動、 講座・教官紹介など、 学生に対する情報提供をするための広報誌として、 年4回、 「学園だより」 を発行している。

【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 入学式の翌日から行っている新入生合宿研修には、 学長、 教育担当副学長、 教務・厚生委員会委員 (教授クラス)、 学内教官、 在来生、 保健婦など、 約41名が参加し、 大学での授業や学生生活の心構え等について指導助言を行っており、 高校生活から大学生活へと大きく変化した環境の中で、 戸惑っている新入生とって僅か2日間と短い期間であるが、 入学したことの目的や意義を認識させる機会として新入学生にも好評である。 同じく、 1泊2日の日程で行っている在来生合宿研修にも、 学長、 教育担当副学長、 教官等が参加しており、 地域医療に関する現状と今後の問題を考え、 在学中及び卒後の諸問題について在来生相互の意見を交換し、 県内のへき地で活躍している医師やコ・メディカルスタッフなどの医療施設での実態に直接触れさせることにより、 将来医師となるため意義等を再認識させる上で、 非常に有益なものとなっている
 なお、 この新入生合宿研修・在来生合宿研修については、 研修の意義を考えさせるために研修終了後、 各々にレポート提出を義務付け、 単なる参加に終わることがないように配慮している。 さらに、 提出のレポートには、 学長自らが一人一人にコメントをし、 当該学生にフィードバックをしている。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 新入生合宿研修は、 現在、 大学から離れた場所で実施しており、 移動時間が係りすぎる面があるが、 大学周辺に廉価で、 しかも120数名を一同に収容できる施設がないことが課題となっている。
 又、 医師となるための意義等を再認識させる目的で実施している在来生合宿研修は、 5年生を対象としているが、 丁度この時期が、 学外の関連教育病院での臨床実習とも重なり、 学生にとって負担になっているのも事実である。 一年間の中で都合の付く時期であり、 別に設けることにも問題があり、 今後は、 学生からのレポートの意見を踏まえながら、 可能な限り見直しを図る必要がある。

(エ) 授業料免除等及び奨学事務関係
【過去5年間の概況】
 入学料免除に関しては、 例年数人程度の申請者にとどまっている。 授業料免除に関しては、 例年70人前後の申請があり、 学業成績、 家計状況等の資料に基づき、 教務・厚生委員会で審査し、 教授会で決定している。 奨学金に関して、 日本育英会の募集については、 毎年説明会を開催し本人の申請に基づき、 日本育英会の選考基準に定める学力及び家計に該当する学生を授業料と同様の手順により選考し、 日本育英会に推薦している。 また、 平成11年度から今までの第二種奨学金に変わる制度として、 「きぼう21プラン」 奨学金制度が設けられたことにより、 基準枠が広がり申請者も増加した。 その他の各種奨学団体については、 掲示等により学生に周知し、 申請させている。
入学年度別入学料免除実施状況】【入学年度別授業料免除実施状況
年度別日本育英会奨学生数】【年度別地方・民間奨学生数 (学部)
(表示)
【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 授業料免除或いは日本育英会奨学金を希望する学生には、 出願要領等を配布して申請についての指導を行っているが、 例年、 提出書類の不備・不足により、 免除等の機会を失している学生が数人いる。

【今後の改善方策】
 申請を希望する学生に対しては、 毎回説明会等を開催し書類不備・不足のないように周知徹底を図る必要がある。

(オ) 健康管理
【過去5年間の概況】
 学生の心身の健康保持増進を図るため、 定期健康診断等の実施、 また、 学生が健康の意義や認識を深め、 心身共に健康な学生生活を送る上での参考に資するため、 広報誌 「Hygeia」 を年3回発行し、 学生に配布している。
年度別定期健康診断実施状況 (学部・大学院)(表示)
【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 定期健康診断の受診率はほぼ100%を維持しているが、 実際の健康診断の設定日には、 カリキュラム上受診できない年次の学生もあり、 後日、 保健婦が日程等調整の上受診させている者も多数おり、 保健婦及び学生に負担を強いる部分も見受けられる。

【今後の改善方策】
 今後は、 健康診断の実施期間延長や休講措置等の方策を検討する必要がある。 また、 年々増加する学生相談、 特にメンタルヘルス面についての相談が多くなる傾向にあり、 保健管理センターのカウンセラーだけでの対応では限界があることから、 教官や学生課職員なども含めた全学的な取り組みが必要となっている。

(カ)授業・課外活動中のけが・事故への配慮
【過去5年間の概況】
 学生の正課中及び課外活動中等の災害を補償する制度として、 学生教育研究災害障害保険があり入学当初に学部学生は6年間を、 大学院生は4年間の加入を義務付け、 その期間を超えて在学している学生には個別に保険期間の延長をさせるように指導している。
 このことから、 学部学生・院生の大多数が加入し、 年間10人程度の学生が保険金の支払いを受けている。

【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 学生が、 ほぼ全員加入している状況である。 安心して学生生活を送れるように指導等を続けており、 評価できるものである。

【今後の改善方策】
本保険は医療活動中の針刺し等の感染事故は対象としていないこと、 また、 通学中及び学外実習先への移動中等の事故も対象としていないことから、 補償範囲の広い総合保険への加入の検討が必要である。
 将来的には、 クリニカル・クリニカルクラークシップの導入が進んだ場合、 学生の医行為による事故 (加害者側) に対する保険の検討も必要である。

(キ)アルバイトの斡旋
【過去5年間の概況】
 一般家庭からの家庭教師の募集及び学習塾の講師募集等の案内をファイルし、 希望学生へ紹介している。

【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 学生の希望職種としては家庭教師が多いが、 求人は極めて少ないのが実状である。 また、 学習塾の講師については、 本学のカリキュラムが実習等により不規則な部分があり、 学生と求人側双方に支障を来たさぬよう募集案内の時点で考慮している。

【今後の改善方策】
 インターネットで求人案内等の受付を行い、 学生が自由に閲覧・応募できるようなシステム作りが必要である。

(ク)アパート等の紹介業務
【過去5年間の概況】
 新入生が入学手続きの際にアパート・下宿のリストを閲覧できるように、 近辺の不動産業者に依頼し、 冊子を作成している。 希望の物件があれば不動産業者に連絡し、 案内してもらうようにしている。【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 近年、 大学周辺に多くのアパートが建築されたことより、 戸数は増加し十分に希望を満たしていると考えられるが、 入学手続き期間が短期間のため、 希望者が一時期に集中することから、 リスト閲覧場所が混み合うことなどから、 入学生への満足なサービスができない状況にある。

【今後の改善方策】
 平成13年度に看護学科が設置された場合、 学生数 (60名) の増加により、 物件の不足も予想されるため、 より多くの物件を確保できるよう大学周辺の不動産業者等への情報提供が必要である。 また、 看護学科という性質上、 女子学生が増えることが予想されるので、 出来るだけ大学近辺の物件確保も必要と考える。
 また、 今後は学生が自宅からでも閲覧できるように、 インターネットでの情報提供サービスも考える必要がある。

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