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眼科検査のご案内

眼科を受診すると、眼科医の診察前もしくは診察の途中に多くの検査が入ります。特に大学病院では難症例が多いこともあり、検査項目が多岐にわたることもしばしばです。以下で眼科の主要な各検査にはどのような意味合いがあるのか、簡単にご説明いたします。

  • 視力検査

    視力とは物体の形を認識する力のことをいいます。
    通常の視力検査では、アルファベットのCの様な形の視標(ランドルト環)を用いて、認識できる最小の大きさまで答えていただき視力を評価します。視力には裸眼視力と矯正視力がありますが、主に評価に用いるのは矯正視力です。当院には乳幼児からご高齢の方まで幅広い年齢の患者様が来院されますので、患者様の年齢、疾患、目的に応じて適切な検査法・検査機器を用いて検査しています。

  • 屈折検査

    屈折とは近視、遠視、乱視のことをいいます。
    視力検査では、適切な屈折度数のレンズを選択することにより、矯正視力を評価しています。屈折は、角膜・水晶体、網膜と様々な要因に影響され変化します。また、眼が十分に発達していない乳幼児においては、強い屈折異常は斜視・弱視の原因となるので、調節麻痺薬(眼のピント合わせを弱らせる目薬)を使用し、本来の屈折度数を測定した後、適切な度数の眼鏡を用いた治療を行う事が大切です。屈折検査機器は様々なものがありますので、それぞれの患者様の年齢、疾患、目的に応じて適切な検査機器を用いて検査しています。

  • 眼圧検査

    眼圧とは眼の硬さのことをいいます。
    眼圧は特に緑内障において重要な因子として知られています。一般的に用いられる眼圧検査は、眼に風を当てて測定する非接触式の眼圧検査です。眼圧が重要な因子となる疾患などでは、眼圧を測定する機器を眼に直接当てて検査する接触式の検査法もあります。眼圧値が日や時間帯によって変わることがありますので、定期的な測定が重要となります。

  • 視野検査

    視野とは一点を見ている時の、見えている広さのことをいいます。
    正常な視野は、片眼で上方60°、下方75°、鼻側60°、耳側100°程度とされています。視野検査では、見えている広さと共に、見えている視野の中で見えない(見えにくくなっている)部分がないかも検査します。そのため、少々時間のかかる検査です。疾患毎に特徴的な視野変化を生じる事が知られています。それぞれの患者様の年齢、疾患、目的に応じて適切な検査法・検査機器を用いて検査しています。

  • 色覚検査

    色覚とは色に対する感覚のことをいいます。
    色の区別がつかない(つきにくい)ことを色覚異常と呼び、色覚異常には遺伝的要因による先天性のものと他の疾患に伴って生じる後天性のものがあります。また色覚検査の種類は大きく分けてスクリーニングテスト、程度の判定、色覚異常の型を確定診断するものがあります。幼児では検査が難しい場合がありますが、当院では目的に応じてスクリーニングから診断確定までの検査が可能となっています。

  • 眼位検査

    眼位とは左右の眼の視線方向のことをいいます。
    通常目標物を見る際には、左右の眼の視線は目標物に向かいます。しかし、何らかの原因により、左右の視線が目標物に向かわず片眼のみ上下や左右、斜め方向に視線がずれることがあります。この状態を眼位異常といい、眼位検査では片眼の視線がどの方向にどれくらいの角度ずれているかを検査します。また、眼位検査は複視(物が2つに見える状態)を補うプリズムの選定や、斜視手術に必要なデータになってきますので、適切な検査法・機器で行っています。

  • 眼球運動検査

    眼球運動とは眼の動きのことをいいます。
    眼には、それぞれ6つの筋がついていて、それぞれの筋が収縮・弛緩する事により上下・左右・斜め方向に眼を円滑に動かすことができます。6つの筋またはその筋を制御する神経に何らかの異常が生じると、眼球運動に異常が生じます。眼球運動検査では、眼が正常に動くか、また異常があった場合にはどの筋またはどの神経に異常があるのかを検査します。

  • 対光反射検査

    対光反射とは、光の刺激によって瞳孔(眼の黒目の中心にある部分)の大きさが変化し、眼の中に入ってくる光の量を調節する反応のことをいいます。
    眼に入った光を感じる神経線維は、眼球の後方に抜けて頭蓋内を通り、最終的に瞳孔を制御する神経へと辿り着きます。頭蓋内や途中の神経線維に何らかの異常が生じると、瞳孔の大きさや、光刺激に対する瞳孔の反応に異常が生じます。そのため、対光反射検査では光刺激を与えた際の瞳孔の様子を観察・測定することにより、頭蓋内や途中の神経線維に異常がないかを検査しています。

  • OCT検査

    OCTとはOptical coherence tomography(光干渉断層計)の略で、光の干渉現象を利用してものの立体構造を知る技術です。
    眼の奥には網膜という光を感じる膜があり、厚みは0.5mm程度ととても薄い膜ですが、10層構造になっています。眼科のOCT機器を利用しますと、この網膜の断面図などを撮影することができます。また、撮影時間は数秒と極短時間です。これにより、加齢黄斑変性や緑内障など様々な疾患の病態を侵襲なく観察することができます。それぞれの患者様の年齢、疾患、目的に応じて適切な検査法・検査機器を用いて検査しています。

  • 眼底写真検査

    眼底写真検査とは通常のカメラの様に、フラッシュをたいて、眼の奥の写真を撮影する検査です。網膜の血管は、生体内で唯一透見できる血管であり、網膜の血管を見ることで全身の血管の様子を伺うことができます。そのため、高血圧や糖尿病等の内科的な疾患の様子も観察することができ、検診等でもよく用いられる検査です。従来の眼底写真はやや画角が狭いため、眼底全体を撮影するには複数枚撮影が必要でしたが、近年、一度の撮影で広範囲の眼底を撮影できる高画角眼底撮影機器が登場し、患者様の負担の軽減に繋がっています。

  • 蛍光眼底造影検査

    蛍光眼底造影検査は、蛍光剤を点滴しながら眼底(網膜や脈絡膜)血管を観察する検査です。蛍光剤を用いることで、異常な血管(新生血管)の有無や、血管の炎症、網膜・脈絡膜の血液循環の状態を評価することができます。糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、ぶどう膜炎など種々の疾患が疑われる場合、本検査の対象となります。稀に蛍光剤に対するアレルギー反応を生じる場合がありますが、適切に対応できる環境を整えて検査を行っています。

  • 細隙灯顕微鏡(スリット)検査

    細隙灯顕微鏡写真検査では、目の表面(眼瞼、結膜、角膜、強膜)や虹彩、水晶体を高倍率で観察・撮影することができます。また、特殊な蛍光染色液と観察光を用いることにより、角膜表面の傷等も詳細に観察することができます。観察には光が必要ですので、眩しさを感じることがあります。

  • 角膜内皮細胞検査

    角膜内皮細胞は、角膜の最も内側に存在します。角膜内皮細胞は、角膜を透明に保つための重要な細胞です。角膜内皮細胞の数は、再生・増加することはなく出生直後をピークに加齢とともに減少していきます。加齢の他には、不適切なコンタクトレンズ使用や、外傷、手術等によっても減少することが知られています。角膜内皮細胞の数が少なくなりすぎると、角膜が混濁し痛みが生じるため、白内障等の手術を受けられなくなります。そのため、手術前後には重要な検査です。

  • レーザースペックルフローグラフィー検査

    レーザースペックルフローグラフィーとは、眼内の血流をリアルタイムで観察・測定可能な検査機器です。様々な疾患で網膜の血流量と病態との関連が知られています。

  • 超音波検査

    超音波を用いて眼内を観察する検査です。特に、硝子体出血により眼底検査が困難な場合や、網膜剥離等の疾患で有用な検査です。

  • 眼軸長測定検査

    眼軸長測定とは、角膜から眼底の網膜までの長さ(眼の軸方向の長さ)を測定する検査です。白内障手術で用いる眼内レンズ度数の決定には、この眼軸長と、角膜の屈折力の値が必須となります。測定機器には、接触式と非接触式がありますが、それぞれの患者様の年齢、疾患、目的に応じて適切な検査機器を用いて検査しています。

  • 前眼部OCT検査

    前眼部(結膜、角膜、強膜、隅角、虹彩)の断面図をOCTの技術を用いて取得する検査です。特に透明な組織で細隙灯顕微鏡だけは観察が困難である角膜疾患や、眼内の水の流れ道の状態が重要な緑内障の患者様に有効です。

  • 網膜電図(ERG)検査

    ERGとはElectroretinogram(網膜電図)の略です。ERG検査では、光刺激に対する網膜の反応を観察することが可能です。また、網膜には様々な細胞が存在しますが、とくに視細胞には明所で働く錐体細胞と、暗所で働く杆体細胞が存在します。これらを光の強さと時間を調節することによって分別して評価することが可能です。網膜全体の反応を評価する全視野ERGの他にも、局所的な反応を評価する多局所ERG、局所ERGも行うことができます。それぞれの患者様の年齢、疾患、目的に応じて適切な検査機器を用いて検査しています。

  • 視覚誘発電図(VEP)検査

    VEPとはVisual Evoked Potentials(視覚誘発電図)の略です。VEP検査では、視覚的な刺激を与えた際の大脳皮質の反応を観察することができます。視覚刺激は、眼球から頭蓋内を通り後頭部(第一次視覚野)に入ります。この視覚刺激を伝える経路のどこかに異常がないか調べることができます。

  • 涙道通水検査

    涙は、眉尻の下辺りにある涙腺から放出され、内眼角の上下の涙点に吸収され、涙道を経て鼻腔へ流れていきます。涙点から鼻腔までの経路で閉塞がある場合、涙が流れ出ず流涙の症状を生じます。涙道通水検査では涙点から鼻腔まで正常に水が通るかの検査です。