【トピックス】ウイルス分離に適したブタ細胞の樹立に成功

大学院医学獣医学総合研究科3年生・Maya Shofaさん、農学部獣医学科・齊藤暁准教授の研究チームは、ブタ由来細胞を遺伝子編集することで、ウイルス分離効率の低下につながる遺伝子をノックアウトした細胞を樹立することに世界で初めて成功しました。

本研究成果は、2023年11月8日にPublic Library of Science社が発行する国際学術誌『PLOS ONE』で公開されます。

本研究により、豚ウイルス感染症からの効率良い分離につながり、ウイルス感染症の制御や家畜の健康増進につながることが強く期待されます。また、今後、ブタ以外の動物種についても同様の検討を進めることで、国内有数の畜産県である宮崎県はもちろんのこと、国内外における家畜の健康増進や農業分野における画期的なイノベーションにつながる可能性を秘めています。

発表のポイント

● 豚には口蹄疫、豚熱、アフリカ豚熱など、畜産に重大な被害をもたらすウイルス感染症がある
● これらウイルス感染症の制御のためには、病気を起こしている動物からのウイルス分離が重要である
● 分離されたウイルスはワクチンの材料としても利用できる可能性がある
● ウイルスの増殖を阻害するインターフェロンはウイルス分離効率を低下させる
● 今回、インターフェロン応答に関わる遺伝子をノックアウトしたブタ由来細胞を作製した
● ノックアウト細胞ではインターフェロンによってウイルス増殖が阻害されないことを示した
● 今後、同細胞をウイルス感染症制御に応用にすることが期待される

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・プレスリリース 2023/11/9
URL: https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20231109_01_press.pdf                                                                     

【原論文情報】
雑誌名:「PLOS ONE」オンライン版
論文タイトル:Generation of porcine PK-15 cells lacking the Ifnar1 or Stat2 gene to optimize the efficiency of viral isolation
著者:Maya Shofa, Akatsuki Saito*
(*Corresponding author)
DOI: https://doi.org/10.1371/journal.pone.0289863
URL: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0289863