センター長挨拶

臨床研究支援センター長 片岡 寛章「根拠(エビデンス)に基づく医療」という言葉があります。これは、科学的なデータ(エビデンス)に基づいて、その時点で最善と思われる治療や予防法を医療に取り入れようという考え方です。医療に必要とされる新たなエビデンスを最終的に生み出すのに必要な作業は、客観的で科学的な臨床研究と疫学研究,そしてそれらを統計的に統合する解析であり、これらを合わせてより広い意味での臨床研究、あるいは臨床試験とも呼ばれます。無論、これらの臨床試験のスタートにつながる基盤的知識を得るための医学基礎研究と、基礎研究の成果を臨床研究につなげていく研究(前臨床研究)が必要であることは言うまでもありません。わが国の医学基礎研究は、領域によっては欧米と三極をなすといえる高いレベルにあります。しかし一方で、臨床研究の基盤整備に関しては大きく遅れをとってしまったと言わざるを得ません。その結果、近年の報道でも明らかなように、わが国における臨床研究の信頼性を失墜させる不正事例も続出しました。

こういった状況を打開するため、臨床研究を適切に支援し、質の高い研究が実行できる十分な態勢作りが、研究機関と先進医療機関に求められています。また、平成27年4月からは「臨床研究に関する倫理指針」と「疫学研究に関する倫理指針」が統合改訂され、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」として周知されました。ここでは倫理性をしっかりと考慮した臨床研究の計画立案と実行、そしてそれに対する適切なモニタリングと監査が強く要求されています。

これらの社会的要請をうけ、宮崎大学医学部においても、従来の状況から脱却し、多忙な医師が積極的に質の高い臨床研究に参加できるよう、根本的に組織を見直すこととなりました。そして平成26年4月、宮崎大学医学部附属病院臨床研究支援センターが新たに誕生いたしました。

臨床研究や新薬の治験は,倫理性と科学性を担保した計画・プロトコル作り・データ管理とコーディネーション・統計解析・報告書作成、そして第三者によるこれらの過程の適切な監査・モニタリングという、専門知識と経験を要する多くのプロセスからなります。宮崎大学医学部附属病院臨床研究支援センターには、これらのプロセスに対応し、適切で質の高い臨床研究と新薬の治験に対応するために、五つの部門(研究倫理支援部門、データマネジメント部門、監査・モニタリング部門、治験部門、教育・研修部門)を設置しております。このセンターの使命は、病気で苦しんでいる多くの患者さんへ最新の医薬と医療技術を、すこしでも早く届けるための良質な臨床研究と治験を推進することです。支援のプロフェッショナルとしてさらなる研鑽とスタッフの充実を目指し、地域から世界に発信することが可能な臨床研究の支援と最新の医療の早期実現に役立つよう、今後とも努力していきます。