第51回組織細胞化学講習会

講習会

1日目:8月8日(土)

講演1
組織の固定と包埋について
~組織細胞化学の王道を極めるはじめの一歩~

【演者】 宮崎 龍彦 先生(岐阜大学医学部附属病院病理部)


組織・細胞の観察、組織細胞化学には適切な組織の処理と固定、包埋が必要不可欠である。固定の理想は形態保持と機能解析の両立であり、一方、包埋の理想は、正確な薄切の出来る均一な包埋である。本講演では、まず組織の取扱いの基礎を概説、固定の原理と固定剤、条件とプロトコールについて詳細に述べ、その後、理想的な包埋について実例とともに解説する。

講演2
顕微鏡技術の基礎


【演者】 川上 良介 先生(愛媛大学大学院医学系研究科分子病態医学講座)


医療や基礎研究の様々な場所や状況で手にする機会も多い精密機器である顕微鏡に関して、本講演では基本原理から蛍光を用いたイメージング、多光子顕微鏡、超解像顕微鏡等の概論を扱う。そして特にマウスを用いた基礎研究に欠かせないin vivoイメージングのポテンシャルについて、様々な実施例を基に紹介したい。

講演3
二光子顕微鏡を用いた新規三次元イメージング方法の臨床応用

【演者】 村上 正基 先生(宮崎大学医学部解剖学講座組織細胞化学分野)


二光子励起顕微鏡と組織透明化技術、溶媒感受性蛍光色素を組み合わせることで、皮膚を三次元かつ深部まで高解像度に可視化できる。本講演では、汗管・汗腺、腫瘍細胞、炎症病変を対象とした最新の臨床応用例を示し、病態理解と診断・治療への展開可能性を概説する。

講演4
免疫組織化学:酵素抗体法の基本原理と染色条件の検討


【演者】 石井 寛高 先生(日本医科大学大学院医学研究科解剖学・神経生物学分野)


免疫組織化学染色法は、抗体を用いて組織内の標的分子の発現と局在を可視化する手法である。酵素抗体法では、酵素標識抗体とその反応産物を利用することで高い特異性と感度を実現する。本講演では、酵素抗体法の基本原理を概説し、再現性の高い染色を得るために不可欠な条件検討の要点について解説する。

講演5
免疫組織化学:蛍光抗体法


【演者】 松﨑 利行 先生(群馬大学大学院医学系研究科生体構造学分野)


免疫組織化学染色法は、抗体を用いて組織内の標的分子の発現と局在を可視化する手法である。酵素抗体法では、酵素標識抗体とその反応産物を利用することで高い特異性と感度を実現する。本講演では、酵素抗体法の基本原理を概説し、再現性の高い染色を得るために不可欠な条件検討の要点について解説する。

講演6
抗原賦活化法


【演者】 柴田 恭明 先生(長崎大学医学部組織細胞生物学)


抗原賦活化法はアルデヒド系固定剤によって失活したエピトープの抗原性を回復する方法であり、特にホルマリン固定パラフィン包埋切片を試料とした免疫組織化学では必須の前処理である。本稿では、加熱による抗原賦活化法を主体として、酵素による賦活化法を織り交ぜながら、その歴史、基礎、そして実際について解説する。

講演7
Immunoblottingの基礎と実際


【演者】 多胡 憲治 先生(群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学)


Immunoblottingは、ゲル電気泳動で分離したタンパク質を膜に転写し、抗体によって特定のタンパク質を検出する手法である。その基本原理は変わらないが、免疫沈降などのサンプル調製法を工夫することで、細胞内シグナル伝達経路における多様なタンパク質の動態を解析できるようになってきた。本講義では、基本原理から実際の実験結果を用いた実践的なコツまでを紹介する。

講演8
In situ hybridization法:必須な知識と基本操作


【演者】 小路 武彦 先生(長崎大学名誉教授)


In situ hybridization (ISH)法は、細胞単位で特異的塩基配列を持つ核酸分子を検出する組織細胞化学的方法論である。特に特異的mRNAの発現解析では免疫組織化学を補完すると共に、non-coding RNAの発現解析にも威力を発揮する。本講習会では、高解像力で定性・定量評価が可能な免疫組織化学的ISHに関して詳述する。




2日目:8月9日(日)

講演9
理論に基づいた電子顕微鏡試料作製法


【演者】 髙木 孝士 先生(昭和医科大学電子顕微鏡室)


電子顕微鏡は、組織の細切・固定から始まる試料作製で最終像(良い写真)が決まると言っても過言ではありません。TEM/SEMで異なる脱水と各工程を理論に沿って整理し、共通ポイントを軸に、初心者でも実践できる“きれいに観察する”コツを解説します。失敗例の見分け方と対処、再現性を上げる勘所も紹介します。

講演10
免疫電顕法における包埋前染色法・包埋後染色法の実際


【演者】 寺田 信生 先生(信州大学大学院医学系専攻保健学分野医療生命科学ユニット)


免疫電顕法は、特異的な抗体を用いて、電子顕微鏡下で細胞や組織中に存在するタンパク質などの物質の分布を観察する方法です。本解説では、化学固定から始まり、包埋前染色法および包埋後染色法、抗原性を高める賦活化処理を含めた基本的な手順を、わかりやすく説明します。

講演11
走査型電子顕微鏡による3次元超微形態解析の原理と組織細胞化学の応用

【演者】 大野 伸彦 先生(自治医科大学医学部解剖学講座組織学部門)


走査型電子顕微鏡による微細構造の3次元解析が近年注目されており、その組織細胞化学との組み合わせは、ナノレベルで特定の分子や構造を観察できる強力な手法として活用されています。本講演では、こうした3次元微細構造解析と組織細胞化学を組み合わせる研究手法について、その基本や注意点などの実践的内容を紹介します。

講演12
組織透明化技術RAPおよびCLAP法の紹介


【演者】 八田 稔久 先生(金沢医科大学解剖学1)


組織透明化技術は深部観察顕微鏡の登場により有用性が再認識され、多様なプロトコルが開発されている。本講演では、古典的手法から最新技術までを概説し、我々が開発した迅速かつ簡便な組織透明化法RAPとその応用(骨染色、免疫染色、in situ hybridization等)を紹介する。さらに、ハイコンテント・イメージングとの組み合わせによる広範囲高速深部撮影から定量解析に至るワークフローを提示する。

講演13
腸管オルガノイドの作製と応用


【演者】 馬場 良子 先生(産業医科大学医学部第2解剖学)


オルガノイドは『ミニ臓器』とも呼ばれる三次元の構造体です。近年、様々な臓器オルガノイドが作製され、基礎研究のみならず、疾患研究や医療応用に向けた研究が進められています。今回はマウス正常腸管上皮オルガノイドについて、その樹立と継代を中心に、最近の研究例などを紹介します。

講演14
レーザーマイクロダイセクション法


【演者】 中西 陽子 先生(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野)


レーザーマイクロダイセクション法は、スライドガラス上の組織切片や細胞の塗沫標本を顕微鏡画像として観察しながら、解析対象となる組織や細胞を同定して、高精細に回収できる方法です。LMD法は、どのような研究に有用なのか、また様々な解析を成功させるためにはどのようなコツがあるのか、実例とともに解説いたします。

講演15
ImageJを用いた画像解析の基礎と応用


【演者】 宮東 昭彦 先生(杏林大学医学部顕微解剖学教室)


画像解析の手法を用いると、画像の特徴を数値化して定量的に評価したり、多数の画像を対象として統計学的に検討したりすることが可能となります。無料ソフトImageJを利用した画像解析の考え方、基本的な作業の流れ、よく使われるテクニックや注意点、深層学習やAI活用法などについて解説します。



ランチョンセミナー

1日目:8月8日(土)12:30~13:10

医療実務は何が違う?
―日米間の比較から見る病理・ゲノム・デジタル病理―


【演者】 柳田 絵美衣 先生(群馬パース大学医療技術学部検査技術学科)


日米医療の違いが検査・診断実務にどのような影響を与えるのかについて、病理検査、品質管理、ゲノム医療、デジタル病理導入の観点から整理する。制度差にとどまらず、文化的背景を含め実務的視点から考察する。


共催 東屋医科器械

2日目:8月9日(日)12:00~12:40

多重免疫蛍光染色のプロトコール作成に必要な検討事項とそのポイント


【演者】 廣谷 ゆかり 先生(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野)


組織細胞化学における酵素抗体法は、基本的研究手技として現在も重要な役割を担っている。組織や細胞に発現する抗原タンパク質を特異的に染色、検出できる本法を応用することで、同一の動物種抗体を用いた多重染色を行うことも可能である。当教室では五重染色による様々な解析に取り組んできているが、同一切片上での多重染色を成功させるためには、様々なピットフォールが存在する。本講演では自験例をもとに、多重免疫蛍光染色の適切なプロトコール作成に必要な検討事項とそのポイントを紹介する。


共催 トキワサイエンス