ウラン・鉛染色液調製法
Heavy metal solutions
透過型電子顕微鏡観察を前に、超薄切片のコントラストを増強するためウラン・鉛染色を施します。
【 ウラン染色液 】
ウラン染色液は飽和酢酸ウラン水溶液をはじめ幾つかの変法もありますが、当研究室では染色性が高い2%酢酸ウラン/70%メタノール溶液を使用しています。
15 ml の試験管チューブに0.2 gの酢酸ウラン(粉末)を入れ、70%メタノール10 mlに溶解させます。完全に溶解するには、振盪器に約20分間かける必要があり、念のためシリンジフィルター(Sartorius社製Minisart:孔径=0.20 µm)を通して使用します。
数日間経つと再び酢酸ウランが析出してくることがありますが、その際はフィルターを通すことで使用可能です。
【 鉛染色液】
鉛染色液には幾つかのレシピがあり、当研究室では一般的なレイノルド鉛染色液を使用しています。
はじめに約60 mlの蒸留水に2.66 gの硝酸鉛を加え、パラフィルムで覆いながら溶解させます(鉛染色液が二酸化炭素と反応して白濁することを防止)。
次にクエン酸三ナトリウム二水和物(MW 294.10)3.52 gを加えて白濁した後、パラフィルムで覆いながら約30分間攪拌します。
ここへ1N NaOH 16 mlを加えると白濁が消えて無色透明になります。約1分間攪拌した後、蒸留水で100 mlにメスアップして出来上がりです。蓋付きのガラスビンに入れて、冷蔵保存します(白濁しない限り使用可能です)。