接着性培養細胞包埋法
Embedding of Adhesive Cultured Cells
0.1M リン酸緩衝液でオスミウムを洗浄した後、エタノールの濃度を段階的に上げながら脱水処理を加えます。この脱水が不完全な場合、樹脂が浸透せずに切片作製が不可能になるため、とくに100%エタノール処理には念を入れます。
エタノール濃度を段階的に置き換えながら脱水処理を加える
十分に脱水処理を加えた後、樹脂に包埋しますが、従来、包埋する際に樹脂包埋カプセルとカバーガラスの間から重合・硬化前の樹脂が漏出してしまったり、樹脂包埋カプセルが移動してカバーガラスから外れて硬化してしまうトラブル発生が少なくありませんでした。
そこで、当研究室では独自の樹脂包埋補助ツールを利用して包埋しております。
これは片面に接着シールが貼付されたスポンジ状のリングで、孔の内径と樹脂包埋カプセルの外径が丁度、8 mmでピッタリはまりますので、予め樹脂包埋カプセルに装着したところへ樹脂を流し込みます。
次にカバーガラスの細胞接着面を樹脂包埋カプセル側にして、カバーガラスの中心を樹脂包埋カプセルの中心に合わせて接着させます。
これで上下を反転して60℃で一晩(10〜12時間)または100℃で1時間30分加温し、樹脂を重合・硬化させます。接着シールの働きによって樹脂が漏れ出たり、位置がずれる恐れがなくなり、作業効率が格段に向上します。
重合・硬化した後、100℃前後に加熱したホットプレートで15秒から20秒加熱すると、細胞が包埋された樹脂を含むカプセルをカバーガラスから容易に離脱させることが出来ます(火傷しないように厚めの軍手をはめて作業して下さい)。
離脱後、カッターで樹脂包埋カプセルを切開して樹脂を取り出します。
樹脂を光学顕微鏡にセットすると、包埋された細胞を透見することが出来るため、超薄切片を作製する最適な部分をマークしてトリミングします(「試料トリミング法」を参照)。
包埋された細胞の透見像(光学顕微鏡)
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