献体の最大の意義は「自らの遺体を提供することによって医学教育に参加し、学識・人格ともに優れた医師・歯科医師を養成するための礎となり、医療を通じて次の世代の人たちのために役立とうとすること」にあります。

 今日ほど「医の倫理」が強調され、「良医」の育成が強く要望されている時はありません。「よりよい医師・歯科医師になる為に、自分の身体をつかって十分に勉強してください」という願いを込めて献体されたご遺体によって学ぶことにより、 医師・歯科医師を志す学生は医学の基礎をなす解剖学の知識を習得すると同時に、献体に対する感謝の気持ちと、故人の期待に応える責任と自覚を持つなど、大きな精神的教育を受けています。

 さらに、現代の医療は医師・歯科医師によるばかりではなく、看護師・理学療法士・作業療法士をはじめ、コ・メディカルと呼ばれる多くの専門職によって支えられる「チーム」医療です。近年、コ・メディカルの教育にも解剖学実習が必要だとの意見・要望が出されるなど、日本の医療水準を更に高める期待に応える献体の意義は高まっております。