TAVI

経カテーテル大動脈弁留置術
TAVI ( TRANSCATHETER AORTIC VALVE IMPLANTATION )

TAVIとは?

これまで重度の大動脈弁狭窄症の治療は開胸手術によって大動脈弁を人工弁に置き換える方法(大動脈弁置換術)しかありませんでしたが、TAVIとは高齢のために体力が低下している患者さんや、その他の疾患のリスクを持つなど、手術が困難な患者さんを対象にカテーテルを使って人工弁を心臓に留置する治療法です。
  

- 特 徴 -

・開胸することなく、また心臓も止めることなく、カテーテルを使って人工弁を心臓に留置。
・低侵襲(治療のために患者さんの体を傷つける度合いが少ないこと)なため、患者さんの体への負担が少なく入院期間も短くてすむことが期待できます。

TAVI人工弁

バルーン拡張型・X線不透過性コバルトニッケルクロム製フレーム、ウシ心のう膜弁による三葉生体弁で構成されており、折りたたんだ人工心臓弁をバルーンで膨らませて新しい大動脈弁として留置します。

TAVI治療アニメーション

TAVIには、大きく2つのアプローチ方法があります。
太ももの付け根の血管から挿入する「経大腿アプローチ」、肋間の間を小さく切開し、心臓の先端(心尖部)から挿入する「経心尖アプローチ」です。
デバイスの進歩により、ほとんどの方が足からのアプローチで治療を完遂できています。

アニメーション 大腿動脈アプローチ
提供:エドワーズライフサイエンス株式会社

対象疾病:大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症とは心臓弁膜症のひとつで、大動脈弁の開きが悪くなり、血液の流れが妨げられてしまう疾患です。
軽度のうちはほとんど自覚症状はありませんが、病状が進むと動悸や息切れ、疲れやすさなどの症状が現れ、重度になると失神や突然死に至る可能性もあります。

外科手術が困難な方

外科手術が困難な症例とは下記に該当する症例。

●ご高齢の患者さま(概ね80歳以上)
●過去にバイパス手術などの開胸手術の既往のある方
●胸部の放射線治療の既往のある方
●肺気腫などの呼吸器疾患合併のある方
●肝硬変などの肝疾患合併のある方
●1年以上の予後が期待できる悪性疾患合併のある方

重度大動脈弁狭窄症の治療としてTAVIは選択肢の1つです。
※但し、上記に項目に該当していても、TAVI治療に適さない場合があります。
重度大動脈弁狭窄症の診断の目安として心エコーでの評価が一般的です。


【心エコー診断】
弁口面積≦1.0?(AVAi≦0.6?/㎡)
圧較差≧40mmHg 又は最高血流速度≧4.0m/s
※ただし、これらの基準を満たさなくても重度と判定される例(Low-flow Low-gradient AS)もあります。

TAVIのメリット

  • ①選択肢の拡大

    ご高齢のため体力が低下している、もしくはその他の疾患などのリスクを持っているなど、開胸手術ができなかった患者さんにとって、大動脈弁狭窄症治療の選択肢の1つです。

  • ②体への負担が少ない

    開胸することなく、また心臓も止めることなく、カテーテルを使って人工弁を患者さんの心臓に留置しますので、患者さんの体への負担が少ないのが特徴です。

  • ③QOL(生活の質)が向上

    手技時間と入院時間が短いため、患者さんの比較的早い社会復帰が期待できます。

よくある質問

Q.治療による痛みはありますか?
治療は麻酔をかけて行われますので痛みを感じることはありません。

治療後にカテーテルを挿入した太ももの付け根に不快感があったり、経心尖アプローチの場合には傷口の痛みが残ることがあります。また、全身麻酔の場合は術後にのどに違和感をおぼえたりすることがあります。

これらはは数日から一週間でおさまります。
Q.年齢が若くてもTAVIを受けられるの?
TAVIが開始されてからまだ10年程度しか経っておらず、それ以上の長期成績がまだ明らかではありません。
そのため、現在では60~70歳程度までの患者さんであれば通常、長期成績も担保されている開胸手術が標準治療となります。

しかし、これまで何度か開胸手術を受けたり、手術の危険性が高い方などはTAVIの適応が検討されます。
Q.どんな人がTAVIに適応しますか?
一般的には、ご高齢のため体力が低下している、もしくはその他の疾患などのリスクを持っているなど、開胸手術ができない重度の大動脈弁狭窄症患者にとって、TAVIが治療の選択肢の一つになります。気になる症状がありましたら、ご相談下さい。

当医院の体制

手術室/機器
ハートチーム

TAVI治療は循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医や看護師はもちろん、生理検査技師、放射線技師、臨床工学技士などのコメディカルなども集まって治療方針を検討しています。これらの「ハートチーム」は30名程度からなり、週に1回のカンファレンスで患者様各々の最適な治療を決定していきます。

ハイブリッド手術室

当院では、2015年11月に県内初の本格的ハイブリッド手術室を稼働しました。この最新の手術室で、これまで数百例の血管内カテーテル治療及び数十例のTAVI治療を行い、多くの患者様にそのメリットを享受してきました。

メンバー
心臓血管外科、ハートセンター長

教授 
古川貢之(ふるかわ こうじ)

循環器内科

教授 
海北幸一(かいきた こういち)

循環器内科

病院准教授 
石川哲憲(いしかわ てつのり)

心臓血管外科

TAVI実施責任者 
石井廣人(いしい ひろひと)

お問い合わせ

  • TAVI外来 (担当:心臓血管外科・循環器内科)

    月曜日 8:30~11:00
    水曜日 8:30~15:00
    TEL:0985-85-9885(外科外来)

  • 宮崎大学医学部附属病院 新患予約センター
    (総合予約室)

    TEL:0985-85-1225
    FAX:0985-85-9186