皮膚科 指導医インタビュー🎤

2021.06.30

(左:専攻医 久保先生、右:指導医 持田先生)

  持田 耕介(もちだ こうすけ)先生 プロフィール

職歴経歴 群馬県出身。
2002年 宮崎医科大学(現:宮崎大学医学部)卒業
2002年 自治医科大学大宮医療センターに内科ローテーション
2003年 宮崎医科大学附属病院(現:宮崎大学医学部附属病院)皮膚科へ入局
県立宮崎病院、県立日南病院などの県内施設、さらには静岡県立静岡がんセンターへの国内留学などを経て皮膚科専門医、皮膚悪性腫瘍指導専門医の資格を取得し現在に至る。

宮崎大学医学部附属病院の特徴をお聞かせ下さい。

宮崎大学附属病院の特徴は、他科との垣根が非常に低くて、相談しやすい事が特徴の一つかと思います。ちょっとしたことでも例えば廊下ですれ違った時に「こうしたことはどうしらたいい?」って感じで気軽に話ができるっていうのが非常にありがたいところだと思います。

― 良く相談されている診療科はありますか?
皮膚科は「皮膚を通して全身を診る」科ですので、特にこの科に、といったことはないと思います。様々な科の先生方と協力しながら治療にあたっています。一方で、相談をいただいた時は、皮膚科のスペシャリストとして誠意をもって返答しようと努力しています。

― 宮崎は人材は少ない、とういう点についてはどのように考えていますか?
人が少ないということは、それぞれの人の活躍の場がしっかりあり、必要とされ、人が少ない分相手の顔が見えるので、お互いが繋がりやすく、協力しやすいことがメリットかと思います。多数の人が関わりすぎてしまうと、誰がイニシアティブをとるのか、どこに相談をすればいいのか、非常に混乱しやすく、責任の所在が曖昧になりやすいです。そういった点から考えると都会の大きな大学病院よりも、患者さんを診て、また医師として学んでいく上で宮崎大学附属病院は良い環境だと感じています。

先生が所属されている皮膚科の特徴をお聞かせ下さい。

「皮膚を通して全身を診る」が、基本的な理念です。
皮膚のみでなく、そこから全身の疾患を診て、全人的に治療に臨むことです。
宮崎県自体が陸の孤島と呼ばれてます。多数の大学や専門病院がある大都市圏と違い、患者さんがいろんな病院に分散せずに、宮崎大学附属病院に集まってきます。ですので例えば、私の専門は皮膚悪性腫瘍ですけれども、もちろんそれ以外の様々な皮膚疾患を抱えた患者さんを診ることになります。皮膚科のことはもちろん、医師としての総合力が問われ、また、自然と「皮膚を通して全身を診る」といった臨床力が付く体制になっていなす。

先生が皮膚科に進まれたきっかけをお聞かせ下さい。

私がちょうど入局した頃、とにかく一生懸命、患者さんを診ている先生方が多く、「それは患者さんのためになるのか?」という言葉が、頻回にカンファレンスで飛び交っていました。医学的な事を検討することは当たり前で、さらにそれを加味してこの方針が患者さんのためになるのかを考えよ、といったことが議論されていました。
皮膚科の特徴的なところですが、「患者という漢字を書きなさい。患者というのは心に串が刺さっている。その串を抜くのがあなたたちの仕事ですよ。」と、もう一つ言われていたことが、「臨床という漢字を書きなさい。ベッドサイドに常に居続けるんだ。」と、そして主治医として皮膚のみならず、「皮膚をきっかけに主治医になったんだから、皮膚だけにとらわれずに医者として、トータル的な患者さん全体を診なさい。」というような先輩たちのイズムのようなものを脈々と受け継がれていて、そういったところがきっかけですね。
えー、と。あとは、あまり研究をしたくなかったのもありますね(笑)。 当時はですよ。現在は、大学院に入ってATLLの研究をしています。研究は苦痛ではなく、医師の特権である、と思えるようになったのは、私が40歳を過ぎて、臨床にある程度の自信がついてから研究を始めたからでしょう。

 

先生が患者さんとの対応で特に気をつけていること・意識していることをお聞かせ下さい。

皮膚疾患は、「見える疾患」です。よって、多くの患者さんは、「他人に見られてしまっている。」をいった精神的苦痛を抱えていることも多いです。疾患だけでなく、患者さん個々の気持ちにそって、対応しようと努力しています。

日々の中でやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか。

シンプルに、患者さんが来院しなくなることです。
どの疾患も、軽快や治癒すれば患者さんは病院に来なくて済むわけですから。
私自身は皮膚悪性腫瘍なので、例えば手術から5年経過したら終診となります。一方、外来で多臓器転移を抱えながら、毎週のように抗がん剤治療に通われている方や、経過観察期間が終わらない方は、再診が続きます。
ある日、患者さんの再診期間が終わり、よかったですね、もう大学で会わなくて済みますね、と、お互い笑顔で、少し寂しいながらも別れを告げられる瞬間が、一番ほっとし、やりがいを感じる瞬間ですね。

これまでの後期研修と新しく専門医制度になってからとで変わった点などありますか。

新制度になって、システマティックに理路整然とし、学びやすくなってきたと思います。

先生は研修時代どのようにお過ごしでしたか?今の研修医を見ていて「ここが違うな、変わったな」という点があれば教えて下さい。

私が研修医だった頃は、まだ義務化も無く、ストレート入局の時代でしたので、とにかく先輩のいうことをひたすらこなすような日々でしたね。納得できないことも沢山ありました。ただ、若い頃に何が今後に大切で、何が無駄なのかは分からないので、ただガムシャラに勉強していた事を覚えています。以下の研修医の先生は、しっかりとしたシステムが整っているので、その流れに乗っていけば、あるレベルまでは成長できるのでその点は恵まれていると思います。ただ、無駄だとか、価値がない、と思ってやらされていたことが後になって自分を成長させてくれたことも沢山あるので、基本システムにのって、さらに、無駄そうに思うことにもチャレンジしていくことで、自分の未知の領域を広げることができると思います。

初期研修医や専攻医に指導をされる際にどのようなことに気をつけていますか。

初期研修の先生には、たとえば顔面の手術であれば、顔面神経の走行とメスを入れてあけない部位のこと、であるとか、重症薬疹のサインであるとか、、、。すぐに使える知識をできるだけかみ砕いて指導しています。また、専攻医には、外病院で外来を始めれば、助けてくれる人はいない状況になるので、いかにして「自分の力で問題を解決するか?」といった、自らで問題を解決する能力を身につけさせるようにしています。

◆ 病院を巣立っていく初期研修医や専攻医をご覧になってどう思われますか。また、どんな医師になってほしいと思われますか。

求められていることに応えられるような医者になってほしいですね。研修医の先生方を見ていると、私は○○をしたい、私は○○が好きという、自分がどうか、といった視点が強いですね。私も若かったことは、俺が、俺がでしたが、確かにそれは大事ですけれども、世の中に求められていることは、やりたいとは思っていないことがはるかに多くて、以外に、やりたくないことが自分の幅を広げたり、存在意義になったりします。
私は若いころ、手術は好きではなく病理をじっくり見て診断することが好きでした。ただ、宮崎大学皮膚科は悪性腫瘍の患者さんが多く、手術ができないと前に進めないので手術を頑張るようになり、その関係で、静岡がんセンターに行くことになりました。また、宮崎はATLLの患者さんが多く、皮膚科で多剤併用化学療法をすることもあったので、同僚からも敬遠されがちの疾患でした。しかし、避けて通ってばかりでは問題解決はできないので自分なりに、抗がん剤について学んだり、東京に講義を受けに自費参加してみたり、静岡がんセンターで講義を受けたりしていくうちに、その奥深さが興味深く感じるようになりました。ATLLは現在、私の研究テーマになっています。この疾患は非常に多面的であり、未だに解決できていない問題も多くやりがいを感じています。

これから専門研修先を選ぶ初期研修医に向けてメッセージをお願いします。病院のPRをお願い致します。

宮崎大学医学部付属病院は、大都市圏と違い、県内外から多種多様な患者さんが集まってきます。専門性も身に着ける前に、総合的な臨床力をつけるには適していると思います。また、「手技が先か、頭脳戦が先か」といった議論が若い先生方でなされることがあります。つまり、一般市中病院で多数の手技を学ぶことが実力を手っ取り早くあげることになるのではないか、といったことでしょうか。実は「手技も手術は頭脳戦」です。小手先で学んだ手術は、結局応用が利かず、本当に難しい手術はできません。有能な先輩方の手技や手術をじっくり観察し、なぜあの時、あのような方法をとったのか、といった考察を重ねることは、平均的な手技や手術を何百回くりかえすことよりも重要です。これは、私が確信をもっていえることです。ですので、じっくり考え、その上で、様々な実践に臨める宮崎大学医学部付属病院の研修が魅力的であると思っています。

宮崎県のPRもお願いします。

私は出身が海無し県、群馬県なので何より、美しい海があるのがうれしかったですね。大学時代はヨット部に入っていました。友達にサーフィンを楽しんでいる先生も結構いますね。また、海だけでなく、山の自然も豊かで、結構広いキャンプ場や有名な渓流釣りスポットもあります。
食べ物も美味しい、焼酎はやすくて上手い、住宅事情もよい、宮崎空港は大学から車で15分ですので、東京や大阪、福岡などへの出張も楽です。ちょっとどころか、いいところばかりですね。