産婦人科 専攻医インタビュー🎤

2021.04.08

(左:東先生、中央:指導医 山田先生、右:都築先生)

  東 真理恵 先生 プロフィール

宮崎県日南市出身。2018年3月に宮崎大学卒業後、2018年4月から県立日南病院で初期研修を行い、2020年4月に宮崎大学医学部附属病院産婦人科へ入局。

  都築 康恵 先生 プロフィール

宮崎県宮崎市出身。2018年3月に高知大学卒業後、2018年4月から県立日南病院で初期研修を行い、2020年4月に宮崎大学医学部附属病院産婦人科へ入局。

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

東先生:私が中学生、高校生の時に医者不足と言われていて、ちょうど小児科が地元の病院から撤退しそうになったりして署名活動もしていました。そういう時期だったからお医者さんになろうと思っていました。そういった周りの環境の影響もあって、私がやろうという気持ちがありました。

都築先生:父が産婦人科医で、家での会話も患者さんや手術の話などを小さい頃から聞いていて、自然と医師という仕事に憧れて、将来の夢が医師になっていました。

初期研修はどちらで研修されたのでしょうか。また振り返ってみていかがでしたか。

東先生:研修先は、どちらとも県立日南病院で、私たちがやりたいと思ったことは何でも自由にやらせてもらえる環境で、愉快に楽しく研修をしていました。回りたい診療科は全部回らせてもらって、やりたいことが多くて、それが逆に大変でした。幅広くたくさんの診療科を選ばせてもらえたので、萎縮せずにのびのびとできました。

都築先生:研修は診療科の垣根を越えて、例えば内科を回っていても外科の先生から人が足りないからオペに入ってくれないかとか、勉強になるような症例があると声をかけてくれる2年間でした。また医師だけでなく、看護師さんや検査技師さんとかに分からないことを聞くと、すごく親身になって教えくれて、研修医を育てようという雰囲気が病院全体にありました。研修医の数が少ないからこそ、一人ひとりのカリキュラムの融通が利いて、2年目の途中で興味のある診療科が変わったとしてもカリキュラムの修正が可能で、自分の興味のあることがしっかり学べる濃い研修病院でした。

専門研修で産婦人科を選んだ理由をお聞かせください。

東先生:もともと女性医学に興味があり、学生時から学会などに同行させてもらい、病院実習でも熱心にご指導いただいていました。さらに研修医で実際に回って、手術や手技をさせてもらって惹かれました。特に赤ちゃんの経過を診て、最後に生まれるところまで見られたところが1番の魅力で産婦人科を選びました。
研修時には産婦人科に入ろうと思っていたので、産婦人科は2ヶ月しか回っていません。病理や小児科など関係する科を勉強しておくように意識していました。

都築先生:父の姿を見て、産婦人科がハードだなとなんとなく分かっていました。研修医時代もすごく迷っていましたが、実際、産婦人科を回って、お産の時に妊婦さんをはじめ、ご家族、助産師、多職種がチーム一丸となって、安全なお産を目指すという目標に向かって、チーム一丸となる雰囲気が好きで、産婦人科医になろうと決めました。産婦人科は感動の瞬間をみんなで分かち合えるのが魅力です。

専門研修先として宮崎大学医学部附属病院を選んだ一番の決め手は何ですか。

東先生:宮崎で働くつもりだったことと、卒業した大学でもあるので宮崎大学医学部附属病院を選びました。迷ったり、他の病院と比較しなかったので今後入局する方に特にアドバイスできることはありません。すみません。

都築先生:大学では宮崎を離れましたが、やはり宮崎の雰囲気、暖かい人柄が好きで、地元で働きたいと思い、宮崎大学産婦人科を選びました。

宮崎大学医学部附属病院の産婦人科の特徴を教えてください。

東先生:県立日南病院も大学病院も診療内容は同じですが、大学病院の方がハイリスクな症例が多いです。

都築先生:宮崎大学の産婦人科は、悩んでいる人、落ち込んでいる人がいたら誰かが必ず気づいてくれる、察してくれるような暖かい雰囲気の医局です。また毎年、若い人たちが入ってくるので、活気のある医局だと思います。

実際に宮﨑大学医学部附属病院の研修はいかがですか。1年間通して。

東先生:4ヶ月ごとに「婦人科」、「新生児」、「産科」のグループをローテーションして回って、毎日、新しいことの連続で覚えることが多かったですけれども、毎日が新鮮でした。

都築先生:4ヶ月一括りで回るので1年間があっという間でした。私は「産科」、「婦人科」、「新生児」の順番でまわって、最後の新生児のグループの時には、産科のこういう情報を新生児に渡せば、困らないなとか、上手く連携できるなと思い、点と点だったのが少しずつ線になっていく実感があります。

産婦人科でやりがいを感じるのはどういった点でしょうか。

東先生:毎日感じているのですが、特にやりがいを感じたこととしては、新生児のローテーション時に蘇生の外回りの仕事を徐々にやらせてもらっていて、夜間に超低出生体重児の蘇生があった際に、指導医の助手として入らせてもらいました。緊張したんですけれども、それまで勉強してきたことが活かせたと感じ、一連の流れに参加できたことがすごくやりがいを感じました。1つステップアップしたなと充実感と達成感がありました。

都築先生:当直中に陣痛発来で来た患者さんのモニターをハラハラしながら一晩中、見ていたけれど実際、母子ともに無事に退院できたときとか、小さく生まれた子が酸素とかデバイスを必要とせずに両親に抱っこされて無事に自宅退院する姿を見ると良かったなと思います。

専門研修で1番勉強になっているのはどんなことですか。

東先生:産婦人科は主治医制ではなくて、グループ制で動いてます。自分一人の判断で動くことはなくて、カンファレンスをして疑問に思ったことはすぐに上の先生に聞けて、すぐにフィードバックが戻ってきて勉強になります。これ読んだ方がいいよと資料とか教えてもらっています。また、良い意味ですごく気をつかわれているなと思います。初めてすることは、すごいバックアップがされてて、2重になって囲まれているので安心です。今やらなきゃダメだとおいこまれますが(苦笑)。

都築先生:医局にはいろんな先生がいて、点滴をとったり、超音波検査をしたり、手技が上手い先生や、カンファレンスの発表や患者さんへの説明がすごく分かりやすい先生や、遅くまで勉強している先生など理想とする先生が多くいて、そんな後ろ姿を見るのが勉強になります。

研修をされる中で、苦労された事、難しいと感じるところはどういったところでしょうか。

東先生:3グループを4ヵ月ごとに回っていて、自分のことでずっと必死で、でも研修医の先生や学生さんが回ってきて、自分が学んだことは下の子にちゃんと教えなさいと言われてたんですけれども、それが上手くできなかったのが心残りで、もっと産婦人科の面白さを教えたかったです。2年目は、産婦人科の良さ伝えられるように励みます。

都築先生:色んな手術や手技をさせてもらっていますが、私たちにとっては全体の1回かもしれませんが、患者さんにとっては一生に1回であり、1回1回の侵襲が高いので、より難しく感じ緊張しますが、どうやったら上手くいくかを常に考えるようにしています。

何か研修中に印象に残っているエピソードはありますか。

東先生:初期研修医の時は、内科のある先生の研修が受けたくて、卒後の研修先を県立日南病院に選択しました。1年目は留学をされて会えなかったけれども、2年目に戻ってこられて基本的な身体診察から、患者さんを診療するにあたって、必ず押さえなければならいところを学べたことがすごく良かったです。内科研修もですが、どの診療科の研修も楽しかったですし、たくさん回れたことが嬉しかったです。

都築先生:最近の話ですが、金曜の夜、日をまたぐかまたがないかくらいに500gの超低出生体重児の小さい赤ちゃんが生まれて、新生児の先生はほぼ全員集まって、産科の先生も合わせて大集合でした。もうないだろうと思ったら、その次の日の土曜の夜、また日をまたぐかまたがないかくらいに、500gの超低出生体重児の小さい赤ちゃんが生まれるというのが続きました。小さな命を守るために、昼夜関係なく、多くの人が集まる、その全体の熱意みたいな雰囲気がいいなと思い、すごく印象に残っています。

指導医の先生方のご指導はいかがですか。

東先生:大学病院の先生だからかもしれませんが、いろんな人を教育されている経験があるから指導がすごく分かりやすいです。ちゃんとステップアップができそうな道筋を先生が指し示してくれて、またそれに乗れている気がして、安心できます。振り返ったら私も成長したなと思えますし、これできるようになった、あれできるようになったと数えていけるのが嬉しいです。

都築先生:私たちをすごく信頼してくれていると感じます。積極的に手技を経験させてもらえます。また見ていないようで必ず見守ってくれていて、些細なことでも相談しやすく、そういう環境がありがたいです。そういう指導医になりたいです。

産婦人科のカンファレンスについて教えてください(頻度や内容など)

東先生:毎朝8時から医局の先生が集まって行っているのと、毎週月曜日に県内外の8施設がテレビ会議システムを使ってハイリスクな症例をディスカッションするカンファレンスがあります。時系列ごとに患者さんの状態の説明があって、自分だったらどうするかな、この所見にはこういう判断をする、検査するだろうなと考えながら参加しています。

都築先生:曜日ごとに産科、婦人科、新生児の発表日が決まっており、毎週1回は自分が発表する機会があります。その準備のために勉強して臨むので症例の理解も深まり、プレゼンの練習にもなるので、カンファレンスはありがたいなと思います。

今後のキャリアについて、どのような方向性でキャリアを積んでいきたいですか。

東先生:まずは専門医を取得することを目指します。取得するのに必要な症例を経験するために大学病院と連携している病院を回らせてもらって、産婦人科もまだ幅広いので、その後のスペシャリティを専門医の資格を取るまでに方向を決めることができたらなと思います。

都築先生:私は手術をやりたくて産婦人科を選びましたが、婦人科の放射線治療、抗がん剤治療、内科的な管理も大切だと思いました。また新生児の全身管理も難しいけれど、少しずつ把握できるようになってきました。専門性をもちつつも、オールマイティに何でもできる産婦人科医になりたいなと思います。

後期研修病院を選ぶポイントを初期研修医に向けてお願いします。

東先生:私は研修医として回って、そのまま入局したのですが、他の施設で研修していて、行きたいと思っている病院の診療科があれば、一度見学をして、どんな人と一緒に仕事をするのかを見てから入局を決めたらいいのかなと思います。産婦人科の雰囲気を実際に見て、ここで働きたいなと思いました。自分が働くことがイメージできるところに決めたら良いのではと思います。

都築先生:宮崎大学出身だったら、学生実習で各診療科をまわるので、なんとなくのイメージをもって研修医になると思いますが、学生時代と初期研修医で回るのは、立場によってまた見え方が変わってくると思う。もし興味のある診療科がいくつかあり迷っているのであれば、その診療科を短期間でまわるのではなくて、ある程度1、2ヵ月と時間をとって回った方が診療科の様々な面が見えてくると思います。時間をとって、悔いのない診療科の選択をしてほしいです。 

最後に宮崎大学医学部附属病院のPRをお願い致します。

東先生:知り合いが多くなって、職種関係なく密な人間関係が築けますね。これだったらこの人に相談すればいいよねとか、この検査だったら検査室のあの人にとか、県立日南病院でもそうだったんですけれども、大学病院でもこうやって人間関係が築けるのかと思って、それがいつもありがたいなと思っています。

都築先生:私は出身大学が外で、初期研修も外で回ったので、今年初めて宮崎大学で過ごしましたが、すぐに馴染むことができました。宮崎県出身だけれども他大学に進学して、宮崎に戻るか迷っている方はぜひ1回は見学にきていただければなと思います。