宮崎大学医学生が『シムリンピックにいがた2015』で見事入賞しました!

 平成27年7月26日、新潟大学主幹開催の日本医学教育学会のポストイベントとして、『シムリンピックにいがた2015』が新潟医療人育成センターで開催されました。
 このイベントの開催経緯について少しだけ説明させていただきます。良い医療者には、優れた知識・技能・態度がバランス良く備わっていることが望まれます。医学生も、良い医師になるために、医学部の6年間で膨大な医療知識や医師として備えておくべき技能・態度を学びます。しかし、特に技能については、最初から実際の患者さんで訓練を積むことは安全性の面でも問題があり、これまで十分な学生教育がされてきたとは言えませんでした。10年ほど前より、学生および医療職の技能訓練・医療安全教育の観点から、人体に模したマネキン等を使って採血やチューブ挿入、内視鏡検査などを訓練する「医療シミュレーション教育」の重要性が医学教育の中で認識されるようになりました。宮崎大学でも2009年より約30種類の医療シミュレータを備えた「臨床技術トレーニングセンター」を開設し、年間延べ4000名程度が利用しています1)。
 しかし、調査の結果、全国80校の大学医学部では、この医療シミュレーション教育の実施方法や内容にかなりの差があることが分かってきました2)。そこで、昨年よりシミュレーション教育への理解と医学生教育への普及および教育方法の標準化を目的に、シミュレーション教育の経験豊富な指導教員が全国から集結し、1年がかりの準備をして企画したのが、このシムリンピックです3)。
 シムリンピックは、”Medical Simulation Olympic” を略した造語で、全国の医学部から医学生3名1チームでエントリーしていただき、実際の医療現場を想定した6つの場面(①身体診察と基本手技、②急変対応、③臨床手技を伴う医療面接、④心臓聴診と循環器疾患、⑤救急蘇生、⑥肺音聴診と呼吸器疾患)について、総合的な医療技能を競っていただく企画です。一定の競技性はありますが、それよりもこの企画で最も大切なことは、参加した医学生が現在の自分のレベルを知り、今後の学生実習や臨床研修でのより良い患者診療に繋げていただくことです。
 今回は、全国の大学から応募多数の中、12チームがエントリーされ、宮崎大学からは原尾拓朗さん(医学科6年生)、内田修平さん、吉丸峻さん(医学科5年生)が「Team Miyazaki」として参加しました。その結果、「心臓聴診と循環器疾患」部門で第1位を獲得し、6種目総合でも4位入賞を果たしました。
 全国から意欲ある医学生が集まった大会で、本学の医学生が好成績を収めたことは大変良かったと思います。今後、本学でも、より良い医学教育方法の一つとして医療シミュレーション教育がますます充実していくよう、指導担当の教員医師、医学生一体となって取り組んでいければと思います。

【投稿者】 小松 弘幸(医学教育改革推進センター/卒後臨床研修センター)           

 

(左より、内田さん、原尾さん、丸山医学部長、吉丸さん)

 

 

【参考文献】
1) 小松弘幸、河原勝博、舟橋美保子、ほか:宮崎大学医学部臨床技術トレーニングセンター開設後の医療シミュレーション教育の現状.宮崎県医師会医学会誌 38: 132-138, 2014.
2) 石川和信、菅原亜紀子、小林 元、ほか:医学教育におけるシミュレータ活用に関する全国調査2012.医学教育 44: 311-314, 2013.
3) 石川和信、首藤太一、小松弘幸、ほか:医学生イベント・シムリンピックについて シミュレーション教育の理解と臨床能力客観評価のための教員連携.医学教育 46: 259-271, 2015.

 

 

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