バイオメディカル電顕リサーチサイト  BioMedical EM Research Site

厚切りパラフィン切片作製法
Preparation of Thick Paraffin Sections

宮崎大学医学部解剖学講座 超微形態科学分野
Department of Anatomy, Ultrastructural Cell Biology
Faculty of Medicine, University of Miyazaki



ウラン・鉛染色法
Heavy metal staining


 電子顕微鏡観察を前にコントラストを増強するためのウラン・鉛染色を施します。

 はじめに、厚切りパラフィン切片をキシレンに入れてパラフィンを溶出させ(=通称:脱パラ)、100%、90%、70%エタノールの順に通して、最後は流水で10分間ほど処理し、ブロワーで水を吹き飛ばして乾燥させます。




 次に、1%酢酸ウラニウム/70%メタノール溶液を適量、切片上に滴下して3分間染色します。




 3分経過後、1%酢酸ウラニウム/70%メタノール溶液を専用の廃棄容器に回収した後、蒸留水で洗浄します。



ブロワーで水を吹き飛ばした後、レイノルド鉛染色液を適量、滴下して3分間染色します。




 3分経過後、レイノルド鉛染色液をを専用の廃棄容器に回収した後、蒸留水で洗浄し、ブロワーで水を吹き飛ばして乾燥させて完了です



ウラン・鉛染色液調製法
Heavy metal solutions


 透過型電子顕微鏡観察を前に、超薄切片のコントラストを増強するためウラン・鉛染色を施します。

【 ウラン染色液 】 
 ウラン染色液は飽和酢酸ウラン水溶液をはじめ幾つかの変法もありますが、当研究室では染色性が高い1%酢酸ウラン/70%メタノール溶液を使用しています。

 15 ml の試験管チューブに0.1 gの酢酸ウラン(粉末)を入れ、70%メタノール10 mlに溶解させます。完全に溶解するには、振盪器に約20分間かける必要があり、念のためシリンジフィルター(Sartorius社製Minisart孔径=0.20 µmを通して使用します。





 数日間経つと再び酢酸ウランが析出してくることがありますが、その際はフィルターを通すことで使用可能です。


【 鉛染色液】
 鉛染色液には幾つかのレシピがあり、当研究室では一般的なレイノルド鉛染色液を使用しています。

 はじめに約60 mlの蒸留水に2.66 gの硝酸鉛を加え、パラフィルムで覆いながら溶解させます(鉛染色液が二酸化炭素と反応して白濁することを防止)。




 次にクエン酸三ナトリウム二水和物(MW 294.10)3.52 gを加えて白濁した後、パラフィルムで覆いながら約30分間攪拌します。




 ここへ1N NaOH 16 mlを加えると白濁が消えて無色透明になります。約1分間攪拌した後、蒸留水で100 mlにメスアップして出来上がりです。蓋付きのガラスビンに入れて、冷蔵保存します(白濁しない限り使用可能です)。





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