心臓血管外科

心臓血管グループは、古川貢之教授、石井廣人助教、阪口修平助教、森晃佑助教、櫻原大智助教らからなるメンバーで、日々の診療・教育・研究を行っています。また関連施設である宮崎県立宮崎病院心臓血管外科、宮崎県立延岡病院心臓血管外科、宮崎市郡医師会病院心臓血管外科と連携して緊急手術に対応しています。

診療について:全ての成人心臓大血管疾患、末梢血管疾患への外科治療に加えまして、小児科・産婦人科の先生と協力して未熟児動脈管開存症や先天性心疾患への小児心臓手術にも対応しています。以下のような治療を実践しております。

  1. 虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術:長期開存が期待できる両側内胸動脈を積極的に使用した完全血行再建を行います。人工心肺を使用した心停止下手術と人工心肺を用いない心拍動下手術(オフポンプバイパス)を患者様のリスク等に応じて選択し、最適な手術を実施します。
  2. 虚血性心筋症に対する外科手術:虚血性心疾患が高度に進行した結果心臓が拡大し、心不全症状を伴う状態を虚血性心筋症と言います。当科では患者様の病態に応じ冠動脈バイパス手術に加え、左室形成術や僧帽弁形成術を実施し、心機能と予後の改善に努めています。
  3. 心筋梗塞合併症に対する外科手術:心筋梗塞後急性期の合併症である心破裂、心室中隔穿孔、乳頭筋断裂による急性僧帽弁閉鎖不全に対する手術に対応します。
  4. 弁膜症手術:人工弁置換術と弁形成術を患者様の状況に応じて選択し、最適な手術を実施します。僧帽弁閉鎖不全症に対しては僧帽弁形成術を積極的に実施し、右側胸部小切開・開胸による僧帽弁手術も行っています。大動脈弁閉鎖不全症に対しても適応症例に弁形成術を実施しています。また人工心肺を使用することが困難な高齢者大動脈弁狭窄症に対しては循環器内科とのハートチームで経カテーテル的大動脈弁置換術を実施しています。
  5. 大動脈疾患に対する外科手術:胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤など全ての大動脈疾患に対して、開胸・開腹手術とステントグラフト留置術の適応を患者様の状況に応じ適切に判断して最適な手術を実施します。また致死率の高い急性大動脈解離症や大動脈瘤破裂などの緊急大動脈疾患に対して、県内の心臓血管外科施設と連携を図り緊急手術が迅速に行えるよう努めています。
  6. 1000g未満の未熟児動脈管開存症や心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、ファロー四徴症などの先天性心疾患への小児心臓手術のほか、成人先天性心疾患に対する手術にも対応しています。

教育について:宮崎大学医学部では医療人育成支援センターのもと、卒前・卒後・専門医取得までの11年間をシームレスな教育を行う体制が整っています。私たちはそのシステムをサポートし、その上で医師として求められる資質と能力を養い、医師にふさわしい人間性、倫理性、協調性を習得してもらうよう努めてまいります。そのために疾患の本質を理解し学習意欲や好奇心を掻き立て主体的な深い学びと実践につながるような教育講義と、医療人として患者さんの抱える問題に主体的に取り組み姿勢を身に着けてもらうような臨床実習となるよう努めます。そのような教育活動を通じて外科医、心臓血管外科医としての魅力を伝え、次代を担う若者を募り、成長させていきたいと考えています。

研究について:当科ではこれまで心不全や大動脈外科治療に関する臨床研究を行い、その成果を発表してまいりました。今後も関連施設や循環器内科の先生方と協力して、外科治療成績の向上につながる量と質の高い研究に発展させていきたいと考えております。また循環器の病態や治療の本質に迫る研究に基礎医学教室の先生方や本学の特徴である獣医学との連携を生かして、取り組んでいきたいと考えています。

最近5年間の当科における手術数

合計 198 216 233 252 211
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
成人心臓大血管手術* 124 142 140 169 126
小児心臓手術* 21 11 16 18 28
腹部大動脈・末梢血管等 53 63 77 65 57

*人工心肺使用相当症例の内訳

合計 145 153 156 187 165
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
成人人工心肺使用手術 105 105 109 115 75
心拍動下冠動脈バイパス術 3 10 2 5 3
胸部大動脈ステントグラフト挿入術 16 27 14 18 22
経カテーテル的弁置換術 15 31 26
小児人工心肺使用手術 11 2 6 8 17
小児人工心肺非使用手術 10 9 10 10 11

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