2 附属病院の管理運営

(1) 医療訴訟
本院が提訴された過去5年間の医療訴訟の事案は, 以下のとおりである。
提訴された損害賠償請求事件概要
(1) 心筋生検中の手技の過失及びそれと死亡との因果関係の有無について争う事案
 患者は, 昭和56年4月に心臓疾患の精密検査及び糖尿病の治療目的で入院し, 同年5月に心筋生検を施行した。 その際, 急性心タンポナ−デに陥り緊急に開胸手術を行ったところ, 右心室心尖部に生検鉗子による穿孔を認めたため, 穿孔部の縫合を行った。 術後は集中治療室にて濃厚治療を行い, 意識は回復傾向にあったが, その後状態が徐々に悪化し, 術後49日目にアスペルギルス感染症により死亡した。 相手方は, 心筋生検中に過失があったとして, 昭和57年5月に損害賠償請求を求めてきたが, 本院が拒否したため, 宮崎地方裁判所に提訴した。
対 応 診 療 科 第一内科
事 件 発 生 日 昭和56年7月17日
証拠保全実施日 平成2年3月29日
提 訴 年 月 日 平成3年5月29日
第1回口頭弁論 平成3年8月30日
判 決 の 要 旨 平成9年4月14日和解成立により終了
(2) 手術後の処置の過失及びそれと死亡との因果関係の有無について争う事案
 患者は, 平成3年7月に脳腫瘍の治療目的で入院し, 同年8月9日に頭蓋咽頭腫瘍摘出手術を施行した。 しかし, 手術翌日に全身痙攣発作を起こし, 診断の結果, 電解質バランス及び水分バランスの異常と判断し補正治療に努めていたが, 脳ヘルニアの発症により同年9月7日に死亡した。 原告側は, 患者が死亡したのは病院の術後の体液管理に過失があったとして, 宮崎地方裁判所に提訴した。
対 応 診 療 科 脳神経外科
事 件 発 生 日 平成3年9月7日
証拠保全実施日 平成5年6月25日
提 訴 年 月 日 平成6年5月11日
第1回口頭弁論 平成6年6月27日
判 決 の 要 旨 審理中
(3) 気管内挿管の手技及び挿管後の監視体制を怠った過失の有無について争う事案
 平成5年9月発熱と呼吸困難のため入院していた乳児に対し, 本院病室内において気管内挿管を行い, 酸素ボックスに収容し加療を行っていたが, 看護婦が訪室の際, 心電図モニタ−にて乳児の心拍数の低下に気づいた。 医師が早急に心拍の再開に努めたが, 虚血性低酸素脳症が疑われる後遺障害が残った。 原告側は, 脳に後遺症が残ったのは, 病院側の気管内挿管の手技及び挿管後の監視体制に過失があったとして, 大阪地方裁判所に提訴した。
対 応 診 療 科 小児科
事 件 発 生 日 平成5年10月3日
証拠保全実施日 平成8年9月11日
提 訴 年 月 日 平成9年3月31日
第1回口頭弁論 平成9年7月14日
判 決 の 要 旨 審理中
(4) 手術後の経過観察及び処置の過失並びにそれらと死亡との因果関係の有無について争う事案
 平成8年12月転移性腫瘍摘出手術のため入院した患者に対し, 平成9年1月頭蓋低部腫瘍摘出手術 (1回目), 同年2月経口的に残存腫瘍摘出手術 (2回目), 同年3月18日第5頸椎腫瘍摘出手術及び頸椎の前方固定・後方固定手術 (3回目) を施行した。 3回目の手術翌日に気管内チュ−ブを抜管し経過観察していたところ, 口頭痙攣もしくは気管痙攣疑いによるものと思われる呼吸障害が起こり, 医師は懸命に気道確保に努めたが, その後患者の状態は安定せず, 脳死状態となり同年3月27日に死亡した。 原告側は, 原因が抜管の時期・処置方法及び抜管後の気道確保の処置に過失があったとして, 宮崎地方裁判所に提訴した。
対 応 診 療 科 脳神経外科
事 件 発 生 日 平成9年3月27日
証拠保全実施日 未実施
提 訴 年 月 日 平成9年12月9日
第1回口頭弁論 平成10年3月6日
判 決 の 要 旨 審理中
(5) 大腸癌手術時の過失及びそれと死亡との因果関係の有無について争う事案
 患者は, 平成7年7月大腸癌に対する精密検査目的で入院し, 同年8月に大腸癌摘出手術を施行した。 術後2日目に縫合不全が発生したため, 医師は保存的治療で経過観察を行っていたが, その後 (3日目の朝) 腹痛がひどくなり, 縫合不全と腹膜炎に対する緊急手術を施行したが, 患者は肺血症, ショック等により術後5日目に死亡した。 原告側は, 原因が手術手技, 縫合不全確認後の対応に過失があったことと, 縫合不全の可能性についての説明がなく説明義務違反もあったとして, 宮崎地方裁判所に提訴した。
対 応 診 療 科 第二外科
事 件 発 生 日 平成7年8月27日
証拠保全実施日 平成8年2月28日
提 訴 年 月 日 平成9年12月25日
第1回口頭弁論 平成10年3月2日
判 決 の 要 旨 第一審において全面勝訴
判 決 年 月 日 平成12年11月10日

[ 戻 る ]