【過去5年間の概況】 医学部附属病院の管理運営体制の中枢機関は、 病院運営審議会であり、 病院の管理運営上の最高決議機関として機能している。 病院運営審議会は、 宮崎医科大学医学部附属病院規程第13条にその設置が規定されており、 会議の審議事項、 組織については、 宮崎医科大学医学部附属病院運営審議会規程において定められている。 具体的には、 病院運営審議会は、 附属病院の管理運営に関する事項を審議し、 病院長、 診療科の各科長、 中央診療施設等の各部長、 薬剤部長、 看護部長、 総務部長及び業務部長をもって組織し、 毎月1回を定例として開催している。 また、 附属病院には、 病院運営に係る専門的な事項を審議するため、 38の委員会 (表−1) を置き、 病院の管理運営に当たっている。 さらには、 平成11年度に総務庁から出された国立大学附属病院に関する行政監察結果に基づく勧告」 で 「経営管理面で病院長を補佐する機能の充実方策を検討すること」 との指導を踏まえ副病院長制を敷いた。
これまで本院は、 医師等の育成のための教育機関、 新しい医療技術の研究・開発を行う研究機関、 地域医療における中核医療機関としてその役割を果たしてきた。 近年、 文部省の21世紀医学・医療懇談会、 前述の総務庁行政監察結果の勧告にもあるとおり、 病院管理運営体制整備、 病院経営の改善が強く求められている。 このような答申等を踏まえ、 平成11年6月に病院長の私的諮問機関として設置していた 「附属病院経営改善検討会」 の見直しを図り、 「病院経営改善委員会」 に改め、 附属病院の各種委員会のーつに位置付け、 病院改革に着手したこと、 さらには、 病院長を補佐する体制として副病院長2名 (卒後臨床研修担当、 病院経営改善担当) を発令し、 管理運営面の強化を図ったことは評価してよい。 【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】 国立大学附属病院を取り巻く情勢は年々厳しくなり、山積する諸問題に対処するためには、病院長のリーダーシップが益々重要となってきている。このため、病院の管理・運営体制の強化、病院長の施策方針の決定やリーダーシップの発揮の体制作りのため、病院長の諮問機関としての病院管理運営会議(仮称)の設置、副病院長への権限委譲、各種委員会の統廃合及び権限・機能の強化を図る必要がある。 また、中央診療施設等の各部長は、大半が関連診療科の科長の併任となっているが、実務に最も詳しいその部門の専任教官を充て、併せて病院運営審議会の構成員となるよう見直す必要がある。 近年、医療や人権に関する国民の意識が高まり、より質の高い医療を目指すには医療提供者と患者が診療情報を共有することや、患者による自己決定が不可欠であり、また、患者の個人情報は本人によってコントロールされるべきであるとの考え方などから、患者自身に診療情報を提供することの重要性が叫ばれている。このような中で、平成11年2月には国立大学医学部附属病院長会議において「国立大学附属病院における診療情報の提供に関する指針(ガイドライン)」が作成された。また、平成11年4月には日本医師会が独自の「診療情報の提供に関する指針」を作成し、診療情報の開示を開始した。本院でも、病歴委員会を中心に診療情報の開示に向けての検討に着手し、所要の手続規定の整備を図リ、平成12年7月1日から開示を開始した。今後は、開示を前提とした診療録の作成のための教育も必要となってくる。 さらには、相次ぐ医療事故の発生が社会的な問題としてクローズアップされてきている。医療事故の防止には、医療従事者の質(知識・技術・人間性)の向上と事故防止のための院内体制の整備が不可欠であるとの観点から、平成12年6月にその整備を図ったところである。今後は、医療従事者の医療事故に対する意識の高揚のための研修、インシデント報告書内容の分析とその結果の医療現場へのフィードバックが肝要である。 平成12年9月からは、新病院情報システムの導入に伴い、これまでの手書き診療録の一部をコンピュータによる電子カルテ化することが決まっており、カルテ管理の省力化、診療情報の共有化に資するものと期待しているが、一方で個人情報のセキュリティの確保など充分な配慮が必要である。 |