大学の使命の一つとして、 大学における教育・研究及び診療の成果を広く社会に還元することがある。 本学には、 宮崎県唯一の医育機関として良医の育成は元より、 地域の医療従事者の生涯教育のため、 本学の有する医学知識・医療技術等を還元することにより、 医療水準の向上を図り、 ひいては地域住民の健康の向上に寄与することが期待されている。

1 公開講座の実施

【過去5年間の概況】
 本学の公開講座は、 大学開放事業の一環として、 広く県民の健康増進に寄与すること目的とし、 平成元年度に宮崎市のMRT会館で開催されたのがその始まりである。 その後毎年開催しており、 平成6年度からは、 県北の延岡市にも拡大し、 宮崎市と併せて2会場での開催となった。 さらに平成10年度からは地域の看護職者の知識、 技術の向上を目的として、 看護部公開セミナーを開始した。 これまで宮崎会場で延べ1,346人、 延岡会場で延べ401人、 看護部セミナーで延べ123人が受講している。 過去5年間の開催状況は、 次のとおりである。
公開講座の実施状況
年 度 タイトル 講  師 講  演  内  容 受講者
7年度 「医療における最近の話題4」
7/25〜7/29
(宮崎市中央公民館)
江藤胤尚教授
内科学第一講座
高血圧、 脳卒中、 心筋梗塞など−脳卒中や心筋梗塞を予防する上で高血圧の治療の重要性− 121人
田島直也教授
整形外科学講座
骨の老化−骨を中心とした運動障害−
住吉昭信教授
病理学第一講座
血管の老化−動脈硬化とそれが関与する病気について (病理の立場から)
古賀保範教授
外科学第二講座
高齢者の外科−高齢者の外科手術の現況−
市来原紘美部長
看護部
高齢者の看護−高齢者の理解と看護の特徴
増本英男助手
内科学第三講座
高齢者の呼吸器疾患−気管支喘息、 肺気腫、 肺炎について−
「医療における最近の話題2」
7/8、 7/15
(延岡市社会教育センター)
増本英男助手
内科学第三講座
高齢者の呼吸器疾患−気管支喘息、 肺気腫、 肺炎について− 79人
古賀保範教授
外科学第二講座
高齢者の外科−高齢者の外科手術の現況−
住吉昭信教授
病理学第一講座
血管の老化−動脈硬化とそれが関与する病気について (病理の立場から)
江藤胤尚教授
内科学第一講座
高血圧、 脳卒中、 心筋梗塞など−脳卒中や心筋梗塞を予防する上で高血圧の治療の重要性−
8年度 「食と健康」
7/16〜7/20
(宮崎市中央公民館)
鶴 紀子教授
心理学
「躍動する心のために」 −生き生きした活動がどのように営まれているのか、 何が必要か− 152人
児玉裕文副部長
薬剤部
「たべものとくすりの相互作用」 −相互作用における食のかかわり−
菅沼龍夫教授
解剖学第二講座
「消化吸収の不思議」 −胃・腸のしくみを探る−
河南 洋教授
生理学第一講座
「脳と摂食・飲水行動」 −頭で食事するメカニズム−
山下紘子室長
栄養管理室
「成人病予防と食事工夫の実際」 −病気にならない、 病気にさせない−
濱田 稔教授
衛生学講座
「脳を若く保つ食事」 −脳を守る疾患−
「食と健康」
7/6、 7/13
(延岡市社会教育センター)
菅沼龍夫教授
解剖学第二講座
「消化吸収の不思議」 −胃・腸のしくみを探る− 98人
河南 洋教授
生理学第一講座
「脳と摂食・飲水行動」 −頭で食事するメカニズム−
山下紘子室長
栄養管理室
「成人病予防と食事工夫の実際」 −病気にならない、 病気にさせない−
濱田 稔教授
衛生学講座
「脳を若く保つ食事」 −脳を守る疾患−
9年度 「食と性にかかわる感染症」
7/14
7/16〜7/19
(宮崎市民文化ホール)
南嶋洋一教授
微生物学講座
腸管出血性大腸菌 (O157) 感染症とその周辺
−食べた毒に中 (あた) る−
100人
名和行文教授
寄生虫学講座
食品媒介性人獣共通寄生虫病−続・うまいものはこわい−
坪内博仁教授
内科学第二講座
A型−G型ウイルス肝炎−アルファベットはどこまで続く−
濱砂良一助手
泌尿器科学講座
最近の性感染症とその背景−新・ヰタ・セクスアリス−
岡山昭彦講師
第二内科
エイズ・HIV感染症の現状と展望−愛死病:愛と死をみつめて−
峰松敏夫助手
微生物学講座
輸入感染症の威嚇−感染症に国境はない−
「食と性にかかわる感染症」
7/5、 7/12
(カルチャープラザのべおか)
南嶋洋一教授
微生物学講座
腸管出血性大腸菌 (O157) 感染症とその周辺
−食べた毒に中 (あた) る−
40人
濱砂良一助手
泌尿器科講座
最近の性感染症とその背景−新・ヰタ・セクスアリス−
名和行文教授
寄生虫学講座
食品媒介性人獣共通寄生虫病−続・うまいものはこわい−
岡山昭彦講師
第二内科
エイズ・HIV感染症の現状と展望−愛死病:愛と死をみつめて−
10年度 「生活習慣病」
7/14〜7/18
(JA・AZMホール)
住吉昭信教授
病理学第一講座
高血圧と臓器障害−高血圧は脳、 心、 腎などに重大な障害を与え、 命を縮めます− 110人
坪内博仁教授
内科学第二講座
飲酒と肝臓−肝臓病にならない、 アルコ−ルの上手な飲み方−
鍋島一樹助教授
病理学第二講座
がん−生活習慣、 環境とがん−
江藤胤尚教授
内科学第一講座
心臓病−生活習慣病としての心臓病と、 生活是正により予防可能な側面−
黒瀬 健助手
内科学第三講座
糖尿病−その診断と最近の動向−
松倉 茂教授
内科学第三講座
喫煙の医学−たばこのいいとこ、 わるいとこ−
「生活習慣病」
7/4、 7/11
(カルチャープラザのべおか)
松倉 茂教授
内科学第三講座
喫煙の医学−たばこのいいとこ、 わるいとこ− 46人
鍋島一樹助教授
病理学第二講座
がん−生活習慣、 環境とがん−
黒瀬 健助手
内科学第三講座
糖尿病−その診断と最近の動向−
住吉昭信教授
病理学第一講座
高血圧と臓器障害−高血圧は脳、 心、 腎などに重大な障害を与え、 命を縮めます−
11年度 「あなたの医療は?」
7/13〜7/17
(JA・AZMホール)
三山吉夫教授
精神医学講座
現代社会とストレス −ストレスと上手に付き合う− 113人
坪内博仁教授
内科学第二講座
あなたの肝臓は大丈夫?−肝臓がんの早期発見と治療−
池ノ上克教授
産婦人科学講座
不妊治療の最前線−技術の進歩と倫理的側面−
鬼塚敏男教授
外科学第二講座
臓器移植−現状と今後の展望−
寺井親則教授
救急医学講座
らしの中でおこる不慮の事故−あわてず、 正しい応急処置を行いましょう−
「あなたの医療は?」
7/3・7/10
(カルチャープラザのべおか)
鬼塚敏男教授
外科学第二講座
臓器移植−現状と今後の展望− 49人
池ノ上克教授
産婦人科学講座
不妊治療の最前線−技術の進歩と倫理的側面−
坪内博仁教授
内科学第二講座
あなたの肝臓は大丈夫?−肝臓がんの早期発見と治療−
寺井親則教授
救急医学講座
暮らしの中でおこる不慮の事故−あわてず、 正しい応急処置を行いましょう−

看護部公開セミナーの実施状況
年 度 タ  イ  ト  ル 講   師 受講者
10年度 「看護婦が行う呼吸理学療法」 及び 「看護過程」
10/24 ・ 10/25
(宮崎県看護等研修センター)
長崎 玲子 (看護婦長)
弓削 郁代 (副看護婦長)
上森しのぶ (  〃  )
柚木崎智子 (  〃  )
楠見 和子 (看護婦)
大力 槇子 (副看護部長)
鑪ケ崎真理子 (看護婦長)
63人
11年度 「看護婦が行う呼吸理学療法」 及び 「看護過程」
11/23 ・ 11/24
(宮崎県看護等研修センター)
長崎 玲子 (看護婦長)
小田 浩美 (副看護婦長)
上森しのぶ (  〃  )
楠見 和子 (  〃  )
柚木崎智子 (  〃  )
中迫貴美子 (  〃  )
鑪ケ崎真理子 (看護婦長)
嶋元 和子 (副看護婦長)
山崎 晴美 (  〃  )
60人
【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 公開講座の実施に当たっては、 従来教授の中から世話人を立てて企画・立案していたが、 平成11年度からは広報委員会の所掌とした。 テーマは、 一般市民が関心を寄せているその時々の社会情勢を反映した話題を取り上げており、 受講生からも好評を得ている。 会場は、 交通の便、 駐車場、 広さ等を考慮して設定しているが、 必ずしも満足できるものではない。
 また、 近年の受講生の減少については、 受講料が高すぎるとの声もあることから、 6コマ12時間で実施していたものを、 平成11年度からは5コマ10時間に変更し、 受講料を低額に抑えることを試みた。 さらには、 報道関係各社への後援依頼、 TVニュースでの各講義の概要紹介、 開催地の拡大を視野に入れたアンケート調査を県内44市町村の教育委員会に実施するなど、 受講生の確保に努めている。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 上述の県内44市町村の教育委員会へのアンケート調査の結果では、 1市2町から共催の希望が寄せられた。 これを期に他市町村へも積極的に働きかけ、 開催地を拡大することが肝要である。
 また、 受講生の確保の観点から、 現在宮崎市において5日間連続で開催している形態を、 曜日を決めて週一回開催するなどの試みも必要である。
 さらには、 一般市民を対象とした講座だけでなく、 看護部が実施している看護職者のための講座のような、 医師を含めた医療従事者へのリフレッシュ教育を、 医師会等と連携し、 積極的に推進すること、 現在の講義形式の講座のみでなく、 新聞・TV等を通して定期的に医学・医療に関する話題や情報の提供をすることが必要である。

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