2 中 央 診 療 施 設 等

医療情報部

【過去5年間の実績等】
1. 施設の特色等
 診療面における医療情報部の活動は、 総合医療情報システムの開発、 保守が中心となっている。昭和63年ホストコンピューターが搬入されて、 医事システム、 給食システムが稼動し始め、 オーダリングシステムは平易なものから順次稼動を開始し、 現在にいたっている。
 さらに、 平成12年より、 大幅なリプレースを行い、 10月には電子カルテ機能を持った新システム (PHOENIX2000) が稼動する。
2. 診療体制:現在稼動中もしくは稼動予定のシステムは以下の通りである。
(1) オーダリングシステム
・給食、 患者移動 (入退院、 転棟・転科)、 再来予約、 処方 (麻薬処方は10月稼動)、 注射、 病名、 放射線、 検体検査 (外注検査は10月稼動)、 生理検査、 手術、 輸血 (10月稼動)、 病理 (10月稼動)、 処置 (12月稼動)

(2) 部門システム
・医事、 放射線、 検査、 輸血、 病理、 薬剤、 物流、 病歴 (カルテイメージ登録)、 給食、 看護

(3) 電子カルテおよびその他のシステム
・検査歴システム、 電子カルテ (10月稼動)、 看護電子カルテ (10月稼動)、 患者プロファイル (10月稼動)、 熱型表 (12月稼動)、 後利用システム (10月稼動)、 経営分析システム (10月稼動)
3. 高度医療
 診療面における高度な活動としては、 電子カルテシステムと経営分析システムの開発が挙げられる。
(1) 電子カルテシステム
 新システム (PHOENIX2000) は、 いわゆる電子カルテと呼ばれる診療録の電子化機能を備え、 さらに、 地域情報連携を目指したものである。 クライアント端末の画面設計としては、 カルテ文書の一覧表示ウィンドウ、 文書表示ウィンドウ、 エディタウィンドウを基本とし、 入力ツールとして、 定型文書作成、 テンプレート、 シェーマ、 電子カルテ辞書などの機能を備える。 プログレスノートからのオーダーが可能であり、 従来のオーダーエントリーシステムに比べ、 紙カルテの電子化をより意識したものとなっている。 入力された文書情報は、 XML (eXtensible Markup Language) の形式で保存される。 さらにXML形式で保存された情報は、 active dataとして活用される一方で、 日毎のバッチ処理によりMML (Medical Markup Language) 形式に変換され、 長期保存用データベースに永久保存される。
(2) 経営分析システム
 経営情報分析システムは、 各施設固有の経営分析情報を全国国立大学附属病院共通の経営情報共通フォーマットに変換し、 共通化された情報に対して、 流通性の高い情報抽出、 解析システムをアドオンし、 効率の良い経営分析システムの開発を行おうとするものである。 今回開発したシステムの特徴として、 次のものが挙げられる。

(ア) 収入、 支出の両者を網羅し、 収支 (利益) を計算できる。ア: 収入、 支出の両者を網羅し、 収支 (利益) を計算できる。

(イ) 収入、 支出とも、 日毎、 患者ごとの粒度で情報を抽出する。細かな粒度で情報を保持しているため、 多様な集計に対応できる。イx 収入、 支出とも、 日毎、 患者ごとの粒度で情報を抽出する。細かな粒度で情報を保持しているため、 多様な集計に対応できる。

(ウ) 全ての情報は、 共通フォーマットに変換されているため、 施設間の違いを比較するのに適す。ウX 全ての情報は、 共通フォーマットに変換されているため、 施設間の違いを比較するのに適す。

(エ) 共通フォーマットに変換されているため、 今後共通フォーマットに対応した分析システムを開発することが容易であり、 また、 開発したものを他施設へ流用可能である。エ掾@共通フォーマットに変換されているため、 今後共通フォーマットに対応した分析システムを開発することが容易であり、 また、 開発したものを他施設へ流用可能である。
4. 地域医療への貢献
 宮崎県では平成10年度に広域的地域情報通信ネットワーク整備促進モデル構築事業として、 「VPN技術を用いた広域的健康福祉システム」 の開発を行っており、 これにより構築されたセキュアネットワークと地域連携用データベース (MMLStore) を用いて、 宮崎医科大学と地域の情報連携を目指す。 上述の電子カルテシステムが中心的な役割を演じる。

【点検評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 稼動開始して10年余となる総合医療情報システムは、 大きなシステムダウンを起こすこともなく安定稼動している。また、 他大学に比べ多くのオーダーを稼動、 運用しおり、 電子化が進んでいる。さらに、 電子カルテシステムへの取り組みも早く、 最も早く稼動を迎える国立大学の一つである。課題としては以下のものが挙げられる。
・総合医療情報システムに蓄えられた医療情報の後利用促進
・地域連携の強化
・附属病院経営改善への貢献

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 上記課題への方策として、 以下の構想を実現すべく活動している。
・総合医療情報システムに蓄えられた医療情報の後利用促進
 新システムでは、 学術的な後利用を図るために、 EG-LDAPと呼ばれる後利用システムを導入する。
・地域連携の強化
 上述のMMLを用いた地域連携システムを稼動させる。また、 地域医療情報連携を目的とした体制作りを本格的に行う。
・附属病院経営改善への貢献
 上述の経営分析システムを用いて、 経営分析を行うと供に、 経営改善活動に積極的に参画していく。

[ 戻 る ]