2 中 央 診 療 施 設 等

材 料 部

【過去5年間の実績等】
1. 施設の特色等
 医療の進歩と共に、 材料部が果たす役割も大きく変化して来た。 従来の材料部は、滅菌物品供給業務が主であったが感染症が問題となっている今日、 材料部も避けては通れない。 まず、 医療現場で使用した、 汚染器具の搬送と洗浄、 滅菌物品の管理、 医療用消耗機材の管理、 ME機器管理 (材料部が取り扱うかどうかは未定であるが) 等多くの課題が山積している。 今後は、 医療現場で一次洗浄(原点処理)を行なっている作業は院内感染防止、 環境汚染防止から材料部で行なう必要がある。 又、 医療用消耗機材に関してAID S、 MRS A、 その他の感染症の増加によりディスポーザブル医療材料の使用頻度は増加の一途を辿っており、 経済面、 保守管理面から効果的な物流管理システムとME機器管理は、 中央保守管理システムを構築し、 医療の安全にサポ ートしていく必要性があると同時に病院経済の一翼を担っていかなければならない。
 そこで、 当材料部は、 平成7年度に老朽化した高圧滅菌機と酸化エチレンオキサイドガス滅菌機を更新、 又、 エアレーターの増備を行った。 滅菌管理は、 滅菌確認に生物学的及び化学的滅菌モニタリングを実施、 安全に管理するために既消毒室はHEPAフイルター1立方フト10,000以下まで除塵し、 更に空気清浄装置、 紫外線殺菌灯により室内の消毒効果を高めている。 既消毒室からの払い出し口は、 二重扉であり両方の扉が同時に開放しない設備、 又、 室内はダンパ-で自動的に陽圧に保たれている。 室内で勤務する職員は、 手洗いを行い、 キャップ、 マスク、 予防衣に身を包み、 履物を履き替えて作業し安全な医療器具の供給を行なっている。
 再使用滅菌器具・リネン類の供給は、 効率よく使用できる定数補充方式、 臨時請求はその都度要求に応じて行い、 且つ、 各診療科が保有する特殊物品は洗浄と委託滅菌に応じている。 医療用消耗機材は、 平成7年〜8年にかけ機材保管室の増設を行い720品目の医療用消耗機材を扱って来た。 又、 医療用消耗機材供給は経済的で効率よく使用出来る定数カート交換方式とオーダーリング方式を採用して来た。 今後も、 病院が高度医療機関としてその機能を果たし、 医療の安全と材料にかかる経費節減を実践するためには、 材料部と各診療部門の医師、 看護婦、 事務局との連携と、 円滑な協力体制が不可欠であることを強調したい。
2. 診療体制
(1) 各科共通の医療用器具及び各診療科保有の特殊医療器具の分別作業と洗浄 (2)洗浄後、 器具の点検とセットアップ及び包装と滅菌 (3)既消毒物品の管理と供給 (4)リネン類の管理と滅菌及び供給 (5)医療用消耗機材、 特定消耗機材 (一部) の供給と在庫管理 (6)医療現場へ教育指導
3. 地域医療への貢献
 材料部は病院が担う地域医療に貢献する医療現場が、 より安全な医療サービスが提供出来るために重要な部署であることを認識し、 安全な医療材料と効率的な物品供給を行なっている。 今後も、 地域の非常災害時にも対応でき地域医療機関との連携及び危機管理体制も重要であり、 検討課題である。

【点検・評価】
目標と課題
(1)安全な医療材料の供給と品質管理を行い院内感染防止に寄与する (2)物流システムの充実と改善 (3)病院経費の節減 (4)医療事故防止のための機材の検討
実施と評価
(1) 安全な医療材料の供給と品質管理を行い院内感染防止に寄与する。
 平成9年度及び10年度は、 ガーゼと鑷子の単包化を推進し、 平成11年度はガーゼ缶及び鑷子カスト、 鉗子立は全診療科で廃止し、 それに伴い滅菌綿棒及び滅菌ガーゼ、 滅菌予防衣等を採用した。 又、 ガラスシリンジ等は、 浣腸器を除きディスポ化を実施した。 ガーゼと鑷子を単包化する事で安全な滅菌物品を供給することが出来、 滅菌バッグのコスト削減に繋がらないため安価で丈夫な滅菌バッグに変更した。
(2) 物流システムの充実と改善
  2000年のバージョンアップにより必要な集計データーの構築を検討
(3) 病院経費の節減
1) 医療用消耗機材は平成2年度より10年間の死蔵品リストから84品目を材料部倉庫から削減し適正在庫とした。
2) 平成11年度は周産母子センターの開設に伴い定数カートの増備と物品補充方式を実施、 中央放射線部と内視鏡へカート交換方式を実施した。 結果、 平成9年から平成10年度は定数カート搭載中の死蔵品金額は、 1,649,343円、 平成10年から11年度は721,787円であり927,555円の節減をした。 医療用消耗機材年度別供給金額比較は図に示した通りである。
3) 手術部から譲渡されたリネン類を小敷布に縫製 (370枚) し材料部購入予定の小敷布、 207,200円の削減を実施した。
4) 各診療科に供給した器具の未使用返却率を示し過剰在庫の削減を呼びかけた結果、 平成11年4月から翌年3月まで、 約20.76ポイント削減が出来た。
5) 材料部の非常勤職員、 看護婦が平成10年度と、 平成11年度で計7名が削減され周産母子センターの看護婦採用に当てた
(4) 医療事故防止のため機材の検討
1) 患者誤認事故防止の識別バンド、 結核防止用の (N−95) 微粒子マスクの採用
2) ラテックスアレルギー防止のため膀胱内留置カテーテルをシリコンカテ-テル (フォリーラブカテーテル) に変更
3) 注入用栄養点滴ルートにおける器具類の検討をメーカーに依頼し、 新製品に向けて検討中である。

医療用消耗機材供給金額比較


【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
(1) 安全な医療材料の供給と品質管理を行い院内感染防止に寄与
1) 院内感染防止と環境汚染防止の立場から医療現場で行なっている薬剤消毒を廃止し、 材料部で回収、 洗浄を実施する。 そのためには除染付き超音波洗浄装置を設置し熱処理を行う。 それにより、 消毒薬剤の使用コストや消毒を医療現場で行なう労力の削減ができる。
2) 酸化エチレンオキサイドガス滅菌機の残留ガスにより毒性と発癌性が指摘されているため、 患者の安全と材料部職員の健康管理を含めて、 これに代わる低温プラズマ滅菌装置の導入も考慮に入れた設備充実も早急に検討が必要である
(2) 物流システムの充実と改善
  物流管理システムを構築することにより効率的な物品管理が実践出来る。
1) 在庫管理、 各診療科別供給物品管理、 物品払い出し集計と分析が可能な情報管理を行なう。
2) 実務レベルの医療用消耗機材選定委員会を発足させ材料部在庫倉庫物品の選定に当たる。 この事は臨床現場に沿った物品の準備が出来、 且つ、 効率的で無駄がない。
3) 何時でも、 請求出来る現在の伝票制を廃止し、 物品は選定委員会に提案、 2診療科以上使用する物品とする。 (共通化)
(3) 病院経費の節減
1) ME機器管理室の設置と臨床工学士の配置
 現在、 各臨床現場では、 人工呼吸器、 シリンジポンプ、 HRモニター、 輸液ポンプなど使用頻度も高い上、 医師、 看護婦が業務の片手間に整備し使用している。 中央管理と臨床工学士の配置により患者の安全と医師、 看護婦が業務に専念出来る事により病院全体として経費節減に繋がると考える。
2) を実践することで経費節減に繋がる。
(4) 医療事故防止のための機材の検討
(5) その他
 従来の材料部職員は、 特別な資格なしに永年の経験により実践した看護婦、 スタッフである。 しかし、 今後は、 専門的知識と技術を学習習得し、 技士としての資格が評価されることを期待したい。 又これらにより患者の安全が守られと同時に材料部スタッフも患者に一番近い重要な位置にいることを認識したい。

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