2 中 央 診 療 施 設 等

放射線部

【過去5年間の実績等】
1. 施設の特色等
 放射線部は、 一般撮影部門、 CT検査部門、 血管造影検査部門、 核医学検査部門、 放射線治療部門、 MRI・US検査部門の6部門から構成され、 画像診断および治療を行っている。

(1) 一般撮影部門:平成8年度からX線撮影画像のデジタル化に向けて整備を始め、 平成11年度に (ICU、 手術部を除く) 当初の整備計画を終了した。 これに伴い、 一般X線撮影の90%にデジタル加算75点が請求できるようになり、 増収に貢献した。

(2) CT検査部門:平成9年度に超高速X線CT装置を導入して、 心臓及び大血管、 小児等の動きの速い領域の高精細画像の提供が可能となった。 平成11年度にはマルチスライスX線CT装置の導入を行い、 高精細な3次元画像の提供とともに患者のスループットが向上した。 これらハード面の整備と部内人員の効率的な運用により5年間で1,916人/年の検査人数増 (約5,300万円増収) を達成した。

(3) 血管造影検査部門:平成11年度に心臓血管造影検査装置および腹部血管造影装置の更新を行い、 画像のデジタル保管を実現した。 特に心臓血管造影検査においては、 県内唯一のアブレーション実施施設の環境を整えた。 新装置はシネフィルムレスを実現し、 シネ自動現像機の廃止 (本体、 現像液、 定着液、 光熱水道、 維持費等の不要) によるコスト削減を実現した。 腹部血管造影装置 (IVR-CT) は、 高画質画像の取得とIVRに優れた性能を発揮するとともに操作性が向上しており、 平成12年度以降の増収に期待している。

(4) 核医学検査部門:In−vitro部門を平成11年12月に外注検査に移行して、 人員の削減を行い合理化を行った。

(5) 放射線治療部門:平成7年度以降、 radiosurgeryとハイパーサーミアの研究と臨床に取り組んできた。 特にradiosurgeryは高度先進医療として臨床治療してきた。 現在は保険診療として、 年間845万円の増収となっている。

(6) MRI・US検査部門:平成8年度に2台目のMRI装置を導入した。 ここ数年のMRIのハードおよびソフトの開発は急速に進み、 高品質な様々なシーケンス画像を短時間に取得できるシステムとなった。 特に脈管画像描出に大きな威力を発揮している。 この多様な検査オーダーに対応するため、 人員配置の見直しを行い効率的な運用を図った結果、 5年間で2,530人/年の検査人数増 (約7,966万円増収) を達成した。

(7) 放射線部情報システム等:平成11年度にデジタル画像レポーティングシステム (CT・血管造影部門) を導入するとともに、 HIS、 RIS連携の構築を推進している。

(8) 研究協力:各診療科からの研究目的のデジタル画像情報の要請に対して協力している。
2. 診療体制
 人員構成は、 部長、 副部長、 助手 (各1名)、 診療放射線技師15名、 非常勤技師1名、 行政職1名である。 業務は6部門 (一般撮影部門、 CT検査部門、 血管造影検査部門、 核医学検査部門、 放射線治療部門、 MRI・US検査部門) の構成となっている。

(1) 放射線部患者数 (入院+外来)
   平成7年   平成8年   平成9年   平成10年   平成11年 
単純撮影 36,165 36,381 35,424 34,724 35,067
造影撮影 2,953 2,753 2,799 2,621 2,556
血管造影 1,130 999 1,028 995 981
CT検査 6,514 7,251 7,124 7,637 8,430
MRI検査 2,130 2,418 3,522 4,193 4,660
超音波検査 1,263 1,223 1,210 1,019 900
RI検査 (In Vivo) 2,720 2,808 2,566 2,489 2,362
RI検査 (In Virto) 18,302 17,843 19,229 16,950 16,265
放射線治療 7,544 6,946 6,413 6,013 5,888
3. 高度医療
(1) 高度先進医療の放射線治療してきたradiosurgeryは5年間で42人実施した。
(2) 高度医療のハイパーサーミアは5年間で274件の放射線治療との併用を行ってきた。

4. 地域医療への貢献
 地域の放射線技術の向上のため放射線技術研究会を3回/年開催し、 研究発表および講演と同時に希望者には当院設置の最新放射線機器の見学会も兼ねている。 この研究会の利点は最新技術の研究発表および情報収集に止まらず、 技術や運用方法を実機を操作しながら収得できる点である。 平成11年から核医学技術研究会を開催し、 インターネット上に情報公開し、 県内診療放射線技師の技術向上を図っている. このように地域へ積極的に技術情報を開示し続けている。

【点検評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
(取り組み)
 放射線部業務の効率的な運用に重点を置いて管理運営を行ってきた。 これらは、 装置の更新および増設、 人員配置の見直し、 院内検査の外注検査への移行の検討から成る

(成果)
 装置の更新および増設は、 CT、 MRI装置、 血管造影装置において実施した。 その結果、 CT、 MRI検査患者数は右肩上がりの実績を得た。 新規装置の増設に伴う人員の配置は、 業務の見直しおよびパート (6時間) で対応した。 また、 核医学部門のIn-vitro検査の採算を検討した結果、 全てを外注検査に移行した。 これに伴い非常勤職員の削減を行った。 これらの結果、 推定13,000万以上の増収を確保した。

(課題・反省)
 診療放射線技師の定員増確保なしに業務拡大を実施したために業務量負担が増大し、 年休自主規制を行いながら業務を行っており、 健康管理に不安を残す。
【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 今後とも放射線部業務の効率的な管理運営を最重点項目として努力する。
 第一に、 実際の機器操作を行う放射線技師の面からは、 特に右肩上がりの検査数を示すCT及びMRI検査と、 平成11年度に装置更新の完了した心血管造影装置、 腹部血管造影装置の効率的運用のために人員を投入して増収拡大を図りたい。 しかし、 現状の診療放射線技師定員15名は、 あまりにも少なく各部門の装置を有効利用できない状況である。 これらを改善するためには当面3名の増員が必要である。 将来的には、 現行の当直業務を挟み32時間連続勤務の体制を改善する必要がある。 現在、 長期連続勤務による睡眠不足が集中力に影響する報告と疲労の蓄積を訴える職員が増加している。 医療事故発生防止の立場からも、 早急な勤務環境改善が望まれる。
 第二に、 部門内ネットワークの整備と院内ネットとの統合をはかり、 検査オーダーの効率化、 院内画像配信による各臨床科の診療効率化、 医事会計の錯誤防止が期待される.
 第三に、 学外とのネットワークを進め遠隔画像診断の中隔施設として地域医療への貢献を目指している。

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