2 中 央 診 療 施 設 等

手 術 部

【過去5年間の実績等】
1. 施設の特色等
 外科系全診療科のあらゆる手術に対応する設備、 医療機器、 および職員を有している。 設備としてバイオクリーンルーム1室と、 普通室7室を保有し、 バイオクリーンルームには手術台を1台、 普通室に手術台を9台有し、 合計で10台を稼働させている。 バイオクリーンルームは、 人工関節や人工内耳など、 人工物の植え込み手術に利用している。 そのほかにも高度な手術に使用する種々の医療機器を保有している。
 職員として、 教員、 臨床工学技士、 医療技術員、 看護職員、 看護助手、 事務補佐員が運営に携わっている。 これらの組織で、 昼間勤務帯は手術台を7台、 準夜勤務帯と深夜勤務帯は手術台を1台稼働させることを原則として、 24時間いつでも手術に対応できるようにしている。
 手術部の麻酔業務は、 手術部の教員と、 麻酔科の教員および研修医で対応している。 手術中だけでなく手術後も患者が痛くないように、 また患者が早期に回復するように、 手術中の麻酔に積極的に局所麻酔を利用している。 手術中の出血に対しては、 貯血式、 希釈式および回収式自己血輸血を積極的に利用して、 同種血輸血の回避に努めている。 また輸血部との連絡を密にして、 無駄な交差適合試験検査を少なくするよう努めている。
2. 診療体制
 朝8時から手術台を7台稼働させてきたが、 手術を消化しきれなくなったため、 平成11年5月17日から、 月曜日と水曜日だけ8台稼働させている。 これは、 平成11年度から手術用鋼製小物の保管にコンテナシステムを導入し、 自動洗浄除染乾燥装置を整備したことにより、 看護職員を患者看護に振り向けることができるようになったためである。
 年間手術・検査件数は、 3,100件前後で推移してきたが、 平成11年度には3,250件に、 前年度に比べて4%増加している (図)。 この中のおよそ13%が緊急手術である。

3. 高度医療
 当手術部では次のような高度な手術を実施している。 角膜移植を主体とした臓器移植術、 体外循環装置を用いた心臓・大血管手術、 超音波手術装置を利用した肝臓手術、 脳腫瘍手術、 レーザー手術装置を利用した肺や口腔内手術、 バイオクリーンルームを使っての人工内耳植え込み手術、 膝関節や股関節の人工関節への置換手術、 腹腔鏡や内視鏡を用いた腹腔内手術や後腹膜腔手術、 未熟児などの新生児の手術、 さらに顕微鏡下に脳動脈瘤や脳腫瘍の手術、 脊髄の手術、 鼓室の手術などがさかんに行われている。 それぞれの手術件数については、 各診療科の報告を参照されたい。

4. 地域医療への貢献
 手術部の診療業務に支障のない範囲で、 県内の主要病院で手術ならびに麻酔の指導を行い、 県内の医療レベルの向上に努めている。

【点検評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 開院以来20年間使ってきた手術台、 無影燈、 電気メス、 人工心肺装置などを平成10年度に更新した。 さらに手術用鋼製小物の保管にコンテナシステムを導入し、 同時に自動洗浄除染乾燥装置を整備したことにより、 看護職員を本来の看護業務へ振り向けることができた。 それにより手術件数は増加に転じ、 平成11年度は前年度より4%増えている。
 手術は昼間勤務時間帯だけでは終わらない。 どうしても準夜勤務帯へ延びる。 現状では看護職員だけが3交代勤務で、 そのほかの職員、 例えば教員、 臨床工学技士、 医療技術員に交代勤務はない。 手術が増加すれば、 これら職員の時間外勤務、 過重労働が問題になる。 また手術部教員は4人であり、 4日に1日は当直を行わなければならない。 月に10日以上の当直は労働基準違反とされる。 さらに夜間に業務を行っても、 翌日は休みでない。 リスクマネジメント以前の問題であろうか。 臨床工学技士、 医療技術員は人数が少なく、 要求の声は届かない。 労働環境は、 看護職員より、 はるかに悪い。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 手術台1台の稼働には看護職員3人が必要である。 婦長を除いて23人の看護職員では、 7.4台の現状の稼働台数を増やすことは難しい。 稼働手術台数を増やすためには、 看護職員を増やさなければならない。 稼働手術台数を増やせば、 手術件数は増え、 病院の収入増に結びつくであろう。
 稼働手術台が増えたり、 夜間業務が増えてくると、 教員、 臨床工学技士、 医療技術員の業務も限界に達する。 現状でも働き過ぎのようにみえる。 病院の非常勤教員 (医員) の算出は、 入院患者、 外来患者を基にしているため、 中央部門は一部の例外を除いて算出に組み込まれていない。 手術部に医員の配置はない。 今後、 改善の必要がある。 手術件数を増やすためには、 看護職員を増やすばかりでなく、 教員 (非常勤医員)、 臨床工学技士、 医療技術員を増やすことも一緒に考えなければならない。
 手術部には高額な医療機器が配置されているので、 昼間だけこれらを使用するのではなく、 夜間も使用したほうがよいという意見がある。 深夜勤務帯は別にして、 準夜勤務帯の利用は将来可能かもしれない。 そうした場合、 教員も交代制勤務を考えなければ、 手術と麻酔の安全は保てない。

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