2 中 央 診 療 施 設 等

リハビリテーション部

【過去5年間の実績等】
1. 施設等の特色等
 リハビリテーション部は、 昭和52年開院と同時に業務が開始され、 昭和53年に運動療法施設基準施設の認可がおりた。 平成2年には学内関係者からなるリハビリテーション部運営委員会が発足し、 運営されている。 本リハビリテーション部は、 院内措置であるため、 独立した予算は認められていない。 人員構成は、 院内措置のため部長は整形外科の科長、 副部長は整形外科の副科長が兼任 (併任) しており、 専任職員としては、 2名の理学療法士のみである。 平成12年1月から病院の非常勤職員が1名配属され、 円滑なリハビリテーションの実施が可能になってきた。 整形外科術後患者のリハビリテーションが中心であったが、 最近では他科からのリハビリテーション部への依頼も増加している。 以下に本リハビリテーション部の特徴的な業務内容と医療機器を示す。

(1) 特徴的な業務内容・整形外科疾患に対する理学療法、 スポーツ整形外科疾患に対する理学療法、 呼吸器疾患に対する呼吸理学療法、 精神科疾患に対する理学療法、 肥満疾患に対する理学療法、 乳癌に対する理学療法、 発声療法を行っており、 主な対象疾患としては、 変形性関節症、 RA、 脊髄損傷、 膝内障、 脳血管障害、 パーキンソン病、 神経筋疾患などがある。

(2) 特徴的な医療機器・各年度の予算整備にてリハビリテーション前後の客観的評価および治療に役立つ医療機器が整備されている。 ・トレッドミル装置 (リトルレオナルド社:BM−1000) ・筋力測定装置 (チャタヌガ社:KINCOM, AP−2) ・三次元動作解析装置 (ピーク社:モータス) ・フォースプレート装置 (AMT社) ・足底圧分布装置 (ニッタ社:F−SCAN)
2. 診療体制
(1) 外来患者診療
 各科のリハビリテーションの必要な症例はまず整形外科にコンサルトしていただき、 リハビリテーション外来担当医の診察の上、 リハビリテーションの指示をだすシステムにて運営している。 リハビリテーションは理学療法士のみで対応しているが実際には、 作業療法の必要な患者の紹介も多く作業療法士の増員も望まれている。 当病院の性格上、 急性期の患者が主体である。 言語療法については兎唇患者を対象として歯科口腔外科の先生により行われている。
(2) 入院患者診療
 入院患者の診療も同様に行っており、 担当医・理学療法士の数の問題から入院患者を主に対象として行っている。
 症例数はこの数年ほとんど変わっておらず (平成7年度、 7,803名、 8年度、 8,410名、 9年度、 7,169名、 11年度、 6,050名)、 理学療法士2名で対処する本部門の受け入れ可能な患者数の上限に達していると考えられる。 実際に患者数が増えすぎた場合には、 新規患者のリハビリテーション開始を待っていただく事態も年に数回起こっており、 現在のスタッフと老朽化した機器では、 手一杯のところである。 多い患者数、 高いリスク、 月に1/2の患者の転院などで、 職員の負担は大きなものになっているため、 その一助として指定時間受療制とし、 セラピストが個人指導をゆっくりし、 しかも患者の待ち時間を少なくし、 1日中平均してきめ細かい治療を行うことができるとともに、 能率的に運営できるように協力を御願いしている。
3. 高度医療
 整形外科の術後のリハビリテーションに関し、 早期リハビリテーションが行われており、 またアスレチックリハビリテーションには前述の医療機器が客観的評価に用いられより科学的なリハビリテーションを行っている。

4. 地域医療への貢献
 毎年リハビリテーション研究会を開催し成果の発表や講演会を行い自己研鑚に勤めている。 国体選手、 高校生や企業のメディカルチェックも行っている。 また、 一般市民、 医師、 理学療法士などを対象とした講習会などで指導を行っている。

【点検評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 取組や成果に関し、 患者数の増加や質の点では現有する職員数を考えると達成していると考えられる。 課題として、 複雑の訓練を含め質の評価には、 自己研鑽を図りまた、 現有する機器も利用してより客観的な評価および訓練ができるようにする。 また、 機器を十分活用するようにする。 但し現実問題としては、 マンパワー不足は否めない。 反省すべき点としては、 ベッド数や専任職員数の問題からリハビリテーションのゴールを設定しても十分達成できないまま転院や退院となってしまうことが多い。 可能な限りその後の経過観察も行うようにする。 問題点として、 保険診療を行う以上、 専任職員数の数が問題となり、 また作業療法士がいない場合、 作業療法などの診療は保険上行うことができない。 現実的には理学療法士および医師が中心となり各種のリハビリテーションを行うことで対処している。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
(1)  診療体制への改善
目標 (1)中央診療部への昇格 (2)専任職員の増員 (3)施設の拡大
計画 (1)現在院内措置としてのリハビリテーション部であるため、 毎年繰り返し予算請求を行う。 (2)現在専任職員は、 理学療法士2名である。 専任職員の予算請求を行う。 (3)占有面積がリハビリテーション承認施設基準) を満足するよう拡充する。

(2)  高度先進医療の推進、 開発
目標 (1)バイオメカニクスを応用したアスレチックリハビリテーション
計画 (1)現有する解析装置を用い、 基本的な動作解析を行いその結果をもとに外傷・障害後のアスレチックリハビリテーションをより安全に効果的に行えるよう応用する。

(3)  地域医療への支援
目標 (1)重症の患者の受け入れ (2)定期的カンファレンスの広報
計画 (1)現在の理学療法士2名では、 限界があるため早急の定員増加の予算請求を要求する。 専門職員の配置により徐々に可能になる。  (2)毎月一回の定期的なカンファレンスを実施する。

(4)  患者サービスの向上
目標 (1)希望患者全てに対応する (2)機器の更新および新規要求
計画 (1)厚生省の保険請求を満足するには専任の職員数を増加させない限り困難であるので専任職員の予算請求を行う。 (2)技術の進歩によりより安全で効果的な機器も開発されているので購入を希望する。

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