1 診   療   科

整形外科

【過去5年間の実績等】
1. 診療科の特色等
 整形外科も全国的に細分化が進んでいる。 当科においても科長を中心に、 脊椎・脊髄外科グループ (頚椎〜腰椎、 仙椎までの疾患、 側彎、 腫瘍、 外傷、 脊髄損傷等)、 下肢グループ (下肢の変性疾患、 RA、 腫瘍、 外傷等)、 スポーツ整形外科グループ (スポーツ外傷、 Overuse syndrome 等、 各チームドクター)、 上肢グループ (肩関節〜手指までの疾患、 外傷、 腫瘍、 先天奇形等) に分かれ、 より専門的な医療を提供できるように努めている。 手術療法として、 顕微鏡下髄核摘出、 各種 Instrumentation、 側彎矯正、 PAO、 人工関節、 HTO、 患肢温存手術、 ACL再建、 鏡視下手術、 関節機能再建、 手の外科・マイクロサージェリー、 各種形成術、 複合組織移植等を行っている。
 研修医は原則として大学病院にて脊椎、 下肢、 スポーツ、 上肢それぞれのグループを6カ月単位でローテーションする。 この期間に整形外科診断学、 保存療法、 手術療法の基礎を学ぶ。 診断学として一般的診断法および整形外科的診断法に加え、 X線、 CT、 MRI、 RI、 などの各種画像診断や、 電気生理検査、 骨塩定量、 歩行分析などの生体力学的検査法を取得する。 手術療法、 保存療法の基礎的事項を修得する。
 卒後3年目以降の医員は大学病院および関連病院にて、 受け持ち患者の所見を的確に把握し、 検査を実施し、 診断を行い、 手術療法を含めた治療法を実践し、 知識および技術の修得に努める。 また、 リハビリテーション、 医療の社会的側面への対応などの点についても研修を行う。
 また、 6カ月間の麻酔科研修を行い、 術中・術後管理、 全身管理などの研修を行う。
整形外科では、 日本整形外科学会認定医試験が入会後7年目に行われる。 当教室では認定医取得は必須項目と位置づけており、 卒後6年間で認定医試験の条件をふまえて、 研修指定病院での研修期間を満足し、 かつ十分な実力が備わるように研修を行っている。 その他、 スポーツドクター (日本整形外科学会、 日本医師会、 日本体育協会)、 日本整形外科学会認定リウマチ医、 日本リウマチ財団登録医、 日本リハビリテーション認定医などの取得も可能である。
2. 診療体制
(1) 外来患者診療
・一般外来 (初診、 再来) :火、 水、 金曜日の午前中
脊  椎: 脊椎、 脊髄疾患
関  節: 上下肢疾患
手の外科、 股関節外科、 膝関節外科、 足関節外科、 慢性関節リウマチ
腫  瘍: 骨軟部腫瘍
検  査: 関節造影 (水曜日午後)、 筋電図 (水、 金曜日)、 骨密度測定 (水曜日)、 脊髄造影、 椎間板造影 (水曜日)、 ギプス、 装具・専門外来
脊椎外来: 水曜日午前
側彎症外来: 金曜日午前
スポーツ外来: 金曜日午前
(2) 入院患者診療
 病棟診療は大学病院としての教育面を考慮し、 ほとんどすべての整形外科的疾患を担当している。 病棟診療の特徴として、 入院患者は手術を要する症例が9割を越えている点が挙げられる。 また疾患を脊椎、 下肢、 上肢、 スポーツに分類し、 より専門的治療を心がけている。
3. 高度医療
 最小侵襲手術手技に基づく顕微鏡下髄核摘出、 脊椎 instrumentation、 膝関節鏡視下手術、 肩・肘・手関節鏡視下手術、 人工関節を用いた関節機能再建術、 マイクロサージェリー技術による再建術等を行っている。

4. 地域医療への貢献
 外部に対する診療活動として宮崎県内外の国公立・民間の関連病院に教室から医師派遣を行っている。 現在、 宮崎県内24施設、 県外6施設の関連病院派遣を行っている。
 一般市民を対象にスポーツ医学、 整形外科的変性疾患、 骨粗鬆症、 リウマチ等に関する各種講演を行っている。 また宮崎県健康スポーツ委員会、 宮崎県体協スポーツ科学委員会等を通じて地域活動を行い、 宮崎県国体選手や高校スポーツ選手のメディカルチェックを行っている。 更に宮崎県予防医学協会を通じて側彎症検診にも協力している。
 教室の主催する研究会として、 宮崎整形外科懇話会、 宮崎県スポーツ医学研究会、 宮崎リウマチ研究会、 宮崎リハビリテーション研究会などがあり、 研究発表のほか特別講演として各分野での一流の講師による教育講演も行っている。 また、 毎月1回関連病院、 開業医を含めた症例カンファレンスを開催し、 症例の検討、 情報交換を行っている。

【点検評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 (取組) 整形外科全般に対する診療において、 より高度で最新の医療が提供できるように努めている。 (成果) 医師派遣を行っている関連病院を中心に、 県内・外からの紹介患者が多くなっており、 大学病院の特徴を生かした医療が定着してきていると思われる。 (課題・反省・問題点) 病床数、 手術数の関係上、 時期によっては入院待ち期間が半年以上になる場合もみられた。 とくに入院患者数においては満床の時と空床が多い時期とで大きな差があり、 より効率的に稼働できなかったかという反省点が挙げられる。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 病床数は約40床と限られいるため、 稼働率を上げ、 入院待機を減少させることが求められる。 そのためには各地域の関連病院等に協力を求め、 それらの病院で対応できる患者については可能な限り対応してもらい、 また大学病院で手術が必要な患者においても患者にも充分な説明を行い同意を得た上で、 術前の一定期間および術後リハビリテーションを関連病院で実施できるよう協力を依頼する必要がある。
 今後、 大学病院の使命として高度な先進医療のさらなる充実が必要である。 そのためには国内のみならず海外の学会への積極的な参加や、 必要であれば短期間でも研修を行い最先端の知識・技術の修得に努めなければならない。

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