1 診   療   科

第三内科

【過去5年間の実績等】
1. 診療科の特色等
 外来診療日は月曜日と金曜日に新患と再診を、 予約検査を水曜日と木曜日に行っている。 第三内科の診療分野である内分泌・代謝系では間脳下垂体疾患、 糖尿病、 副腎疾患、 甲状腺、 副甲状腺疾患、 性腺疾患などの専門性の高い疾患の診療と、 慢性代謝性疾患における患者教育を行っている。 神経内科では、 変性疾患、 末梢神経疾患、 脱髄性疾患、 筋疾患、 脳血管疾患、 痙攣性疾患、 先天性奇形などを診療している。 神経難病を含む神経疾患や電気生理学的検査などの専門性の高い検査を行うとともに、 厚生省特定疾患の診断・治療や、 国内外の施設からの遺伝性神経疾患の遺伝子診断の依頼も受けている。 重症神経疾患の診療においても地域医療の基幹病院として迅速に対応し、 高度専門診療の実績を挙げている。 呼吸器系では、 肺癌の診断あるいは化学療法を中心とした内科治療を目的とした紹介や、 問質性姉炎、 寄生虫疾患、 びまん性汎細気管支炎など地域医療機関からの紹介は多岐におよぶが、 的確な診断と治療により多くの成果を挙げている。 症例検討会やスタッフおよび大学院生による臨床セミナーを通じ、 医学・医療の研鑽を積んでいる。 英文誌や各学会機関誌あるいは学会発表を通じて臨床研究上、 重要な症例を報告している。
 医療設備として肺機能測定システム、 気管支鏡、 睡眠時無呼吸モニタや診療設備を充実した。 重症、 隔離および逆隔離患者の病室を充実し、 診療が機能的に行えるようにするとともに、 すべての患者が入院生活における不便さを軽減できるような病室に改築した。
2. 診療体制
(1) 外来患者診療
 外来診療日は主に月曜日と金曜日であり、 火曜日には学外からの紹介による初診外来を行い、 水曜日と木曜日に予約検査外来を行っている。
(2) 入院患者診療
 病棟では、 月曜日の午後は当科外来にて、 呼吸器、 内分泌、 糖尿病それぞれのグループ個別に症例カンファレンスを行い、 入院患者の診断、 治療方針の検討を行う。 火曜日は午前8時30分より、 病院6階カンファレンスルームにて入退院患者の紹介後、 教授による病棟回診、 画像カンファレンスを行い、 入院患者の診断、 治療方針を決定する。 火曜日午後3時より、 各診療グループ持ち回りで約1時間症例検討会を行い、 その後スタッフおよび大学院生による臨床セミナー、 学会予行などを行っている。 金曜日は午後3時より、 神経内科グループによる症例検討の後、 助教授による神経回診が行われている。 過去5年間の1年間における入院患者数は約380から400名程度である。 また、 患者教育の一環として主として入院患者を対象に糖尿病教室を毎週水曜日の午後に約1時間、 当科外来にて行っており、 さらに主治医、 看護婦により個別指導を指導カリキュラムに沿って行っている。 び慢性汎細気管支炎などの慢性呼吸器疾患の患者に対して、 看護婦が中心となり排痰を中心とした呼吸器リハビリの指導も行っている。
3. 高度医療
・運動野磁場刺激による錘体路機能の評価
・甲状腺癌の組織化学診断
・123I−MIBG 心筋シンチによる糖尿病性心臓交感神経機能障害の診断
・びまん性汎細気管支炎の免疫異常に関する解析
・神経内科における水平性滑動性眼球運動異常の定量的解析
・神経・筋疾患の遺伝子診断
・副腎白質ジストロフィー症の遺伝子診断
・Kennedy-Alter-Sung 病の遺伝子診断
・異所性 GRF 産生腫瘍の診断
・内分泌腫瘍の遺伝子診断
・遺伝性代謝性疾患の遺伝子診断
・海綿・下錘体静脈洞採血による下垂体腫瘍の局在診断

4. 地域医療への貢献
 地域医療の中核となっている国立療養所宮崎東病院、 国立療養所日南病院、 県立宮崎病院、 県立延岡病院、 宮崎市郡医師会病院、 延岡市医師会病院、 都城市郡医師会病院、 済生会日向病院、 千代田病院、 市民の森病院、 古賀総合病院、 野崎病院、 迫田病院へ医師を派遣している。 また、 高千穂町土呂久地区の慢性砒素中毒検診を継続的に行っている。

【点検評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 第三内科では附属病院開設以来担当していた内分泌・代謝疾患および神経内科疾患の診療に加えて平成2年4月より長崎大学第二内科の協力により呼吸器疾患の診療を開始した。 その理由は呼吸器疾患は患者数も多く、 内科の中でもメジャーな分野の一つであるが本学ではもちろん宮崎県内においても呼吸器内科医が少なく、 本学での学生の教育ならびに診療に不都合が多かったからである。 最近は、 当科では呼吸器疾患を専門とするスタッフも2名となり、 また呼吸器内科を志望する医師数も増加し、 本学での呼吸器内科の教育、 診療も充実してきた。 従って、 当科ではこれらの3つの診療分野各分野での医師の育成および専門医の県内病院への派遣も少しずつ可能になり、 宮崎県の医療レベルの向上に貢献している。 また現在当科は、 これら3分野での宮崎県における最も充実した医療機関の一つとして難治性症例や重症例の紹介患者を積極的に受け入れている。 学生の臨床実習においても学生は外来実習および病棟実習によりこれら3分野の多数な疾患を経験している。 ただ、 本院で指摘されている外来患者数が少ないことについては今後とも宮崎県民および医師会員に対する PR やコミュニケーションをより強力に改善すべきであると考えている。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 当科の内分泌・代謝、 神経内科および呼吸器内科の分野での高度医療の開発・充実を含め、 今後とも宮崎県で最終的に患者さんが紹介される信頼される診療科になるように努力してゆきたい。 そのためにはこれまで以上に宮崎県内の各病院へ医師派遣も含めて地域医療との関連を強める必要がある。 そうすることにより、 患者の紹介や逆紹介が増加し、 宮崎県の医療レベルがさらに充実する。 また若い医師が当科の担当する分野での研修を希望し、 それぞれの分野の専門医が増加する要因になり、 ついては地域医療へ貢献することができることになり、 外来患者数の増加にも有用である。 また当科の診療では本院の外科、 脳外科、 眼科、 整形外科など多くの診療科と協力して進める疾患が多く、 今後とも協調関係を密接にするよう努力してゆきたい。

[ 戻 る ]