1 診   療   科

産科婦人科

【過去5年間の実績等】
1. 診療科の特色等
 産科、 婦人科に関して幅広い分野にわたって診療を行なっている。
 婦人科では腫瘍、 内分泌、 不妊症、 思春期、 更年期、 手術などが主な診療内容である。 婦人科領域では細胞診指導医のもと広く県内から癌患者が紹介されて来院する。 また不妊症に関しても県内各地から専門の医療を求め患者が集まっている。 ホルモン補充療法、 骨粗鬆症、 脂質代謝異常などの更年期にかかわる問題も幅広く取り扱っている。
 産科では、 一般的な産科診療に加え、 妊娠中毒症や妊娠糖尿病などの妊娠合併症、 内科的外科的合併症を持つ妊娠、 胎児異常、 多胎、 胎盤-臍帯異常などのハイリスク妊娠を取り扱っている。 正常分娩も含めて全ての分娩を胎児心拍数モニタリングで監視しており、 その解読、 臨床的有用性、 限界なども重要な研究テーマとなっている。
 Faculty に指導されつつ、 産科と婦人科にチーフ、 サブチーフ、 研修医がおり、 さらに student physician が加わったチームで実際の医療を担当している。 同時に教育の場ともなっている。
2. 診療体制
(1) 外来患者診療
 毎週、 月、 水、 金の午前中が外来である。 医師の数は初診1〜2名、 婦人科再診2〜3名、 不妊症1〜2名、 産科2名であり、 実習時期にはそれぞれ1〜2名の学生が加わる。 外来医長は外来全体と主に婦人科を担当し、 産科外来医長が産科を統括している。
 初診患者数は平成7年1,567人、 平成8年1,532人、 平成9年1,422人、 平成10年1,114人、 平成11年1,233人、 同様に再診患者数は平成7年18,536人、 平成8年14,258人、 平成9年13,683人、 平成10年12,793人、 平成11年12,743人である。 平成9年、 10年の病棟改修後、 徐々に増加傾向に転じつつある。
(2) 入院患者診療
 病棟医長を中心に、 産科チーム、 婦人科チームが入院患者の実務に当たっている。 重要な治療方針は毎朝のカンファレンスで決定されるが、 通常は faculty がそれぞれのチームからのコンサルトに対して適切な指示を与えている。
 入院患者数は平成7年660人、 平成8年668人、 平成9年754人、 平成10年713人、 平成11年616人である。
3. 高度医療
 胎内治療 (臍帯血採取、 臍帯血管内輸血、 胎児への薬物直接投与、 胸腹水の穿刺排液、 胎児へのシャント術など)
 超低出生体重児 (1000g 未満) に対する中心静脈栄養
 胎児水腫症例など出生直後に挿管困難が予測される症例に対し、 帝王切開時に臍帯循環を維持したまま気管内挿管を試みる治療法

4. 地域医療への貢献
 3県立病院 (宮崎、 延岡、 日南) をはじめ、 宮崎県内の9施設に約20名、 県外の施設も合わせると、 毎年約25名前後が地域医療に貢献している。
 県内外から患者紹介、 治療依頼、 コンサルトがあり、 また、 24時間体制で患者の搬送も受け入れている。 産科、 婦人科の研究会も毎年数回開催し、 一般臨床医へのフィードバックも行なっている。
 このような地域との密接な連携の結果、 平成11年度の宮崎県の周産期死亡率 (3.9/千分娩あたり) は全国で第一位となった。

【点検評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 産婦人科の一般的診療から特殊な治療まで、 宮崎県における産婦人科治療を幅広く担当している。 産科は周産期医療を中心にこの地域における診療体制の新機軸を作り上げ、 顕著な成果をあげつつる。 また、 婦人科においても着実に成果をあげつつある。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 婦人科の悪性疾患、 慢性疾患の治療が長期化しつつあり、 関連施設とのベットの有効利用、 良性疾患患者の振り分け等が必要となっている。
 関連施設での faculty development も重要な課題である。 また、 研修医が良性疾患や正常分娩に携わる機会を増やすことも大切で、 関連施設との連携が必要となっている。

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