8 薬   剤   部

【過去5年間の実績等】
1. 薬剤部の特色等
(1) 教育の特色等
 平成7年度〜11年度にかけて、 医薬品を処方する際における必要な基礎知識を習得させるための教育、 ならびに相互作用、 有害作用を回避する教育を行ってきた。 医学部学生に対する薬剤処方学の講義や実習では処方する立場から薬物動態学の基本的な知識を理解させ、 患者に最適な薬剤を選択する能力を養うことに努めてきた。 薬学部学生や薬剤師の卒後研修生に対しては、 実務実習経験が少ないことを踏まえ、 現場での実習を通じて必要な薬学的知識を身につけさせることを目指した。
(2) 研究の特色等
 平成7年度〜11年度にかけて日常の業務の中で薬学的見地から薬物治療に貢献できるようなテーマを、 薬剤部単独、 あるいは他診療科と共同研究を行ってきた。 以下に具体的なテーマを示す。
・ 「薬物の消化管分泌に関する研究」
・ 「消毒剤の微生物学的処理に関する研究」
・ 「薬物の血清蛋白結合性に関する研究」
・ 「放射性画像診断薬及び治療薬の蛋白結合の定量的評価と置換現象を利用した投与設計」
・ 「乳化型DDS製剤の粒子設計及び体内動態に関する研究」
・ 「肺表面活性物質分泌の内因性促進物質に関する薬理学的研究」
・ 「消化管内薬物移行動態に基づく経口投与後血漿中薬物濃度の予測」
・ 「速崩錠の品質試験の評価に関する検討」
2. 共同研究
(1) 学内 (他の講座等)
・平成10年〜実験実習機器センター、 放射線科 「放射性画像診断薬及び治療薬の蛋白結合の定量的評価と置換現象を利用した投与設計」
・平成10年〜実験実習機器センター 「乳化型DDS製剤の粒子設計及び体内動態に関する研究」
・平成10年〜実験実習機器センター、 放射線科 「消化管内薬物移行動態に基づく経口投与後血漿中薬物濃度の予測」
(2) 学外 (外国、 他の大学等)
・平成11年〜熊本大学医学部附属病院薬剤部 「プロテアーゼ阻害薬の血中濃度変動に対する諸要因の解析」 (平成11年度科学研究費補助金 (基盤研究C))
・ 「放射性画像診断薬及び治療薬の蛋白結合の定量的評価と置換現象を利用した投与設計」
・平成9年〜熊本大学薬学部 「ネフローゼ患者におけるフロセミドの利尿耐性に対する蛋白結合阻害薬での改善の可能性」
・平成10年〜宮崎県工業技術センター 「乳化型DDS製剤の粒子設計及び体内動態に関する研究」 「インターフェロン乳化製剤の安定性と体内挙動に関する研究」
・平成7年〜熊本大学薬学部 「肺表面活性物質分泌の内因性促進物質に関する薬理学的研究」
・平成9年〜岡山大学薬学部 「消化管内薬物移行動態に基づく経口投与後血漿中薬物濃度の予測」
3. 外部資金の導入状況
資金名  平成7年度  平成8年度  平成9年度  平成10年度  平成11年度
科学研究費 1 件
1,200千円
奨学寄附金 51 件 48 件 54 件 14 件 34 件
 5,650千円  4,950千円  4,950千円  3,690千円  7,040千円
受託研究費 1 件
650千円

【点検評価】 (取組・成果 (達成度) ・課題・反省・問題点)
教育面:
医学部学生に対する薬剤処方学の講義や実習では医薬品の適正使用により、 薬物による有害反応を回避する能力を養い、 薬物代謝や薬物動態学の基本的な知識を理解させることに努めてきた。 限られた時間では導入部分しか達成されなかったと思われる。 今後、 薬剤処方学講義の時間数の増加、 技官から教官への振り替えによるスタッフの充実などが課題となる。 薬学部学生や薬剤師の卒後研修生に対しては、 実務実習経験が少ないことを踏まえ、 現場での実習を通じて必要な薬学的知識を身につけさせることを目指した。 薬学部学生の実務実習に関しては積極的に受け入れているが、 職員各々が時間的に余裕がなくなっており、 業務だけでなく教育に対する時間的確保が今後の課題になろう。
研究面:
薬物治療に関するテーマに積極的に取り組んできた結果、 数多くの知見を見いだし学会で発表した。 今後、 これらの成果を雑誌に投稿して業績として残し、 さらに研究が継続発展する必要がある。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
教育面:
薬剤処方学の講義では医薬品の適正使用を行うための必要な基礎知識に加え、 日進月歩で発展している医療に対応できるよう毎年内容を検討する。 臨床実習では実際に処方箋調剤から患者への交付までを体験させ、 処方した薬がどのように調剤され情報が付加されているかを習得させる。
研究面:
薬剤管理指導業務を通じて薬物治療に関する問題点をみつけ、 それを薬剤部で解決できる研究体制の構築が望まれる。 将来的には薬剤部を基盤とした臨床講座を設置し、 教育・研究体制の整備を要望し、 医学教育における医薬品適正使用に関する教育・研究の充実をはかりたい。

[ 戻 る ]