7 中 央 診 療 施 設 等

手術部

【過去5年間の実績等】
1. 施設の特色等
(1) 教育の特色等
 手術部として独自に卒前教育は行っていない。 麻酔科の臨床実習の中で、 毎週4時間を得て、 手術部の役割、 消毒と滅菌、 感染症患者への対応などを、 現場をみせながら解説している。 学生の手洗い実習は、 外科系各科に依頼して行っている。 手術部としては、 学生の手洗い、 手術介助に積極的である。
(2) 研究の特色等
 周術期管理に関する研究の中で、 特に痛みに関する基礎研究と臨床研究を行っている。
 基礎研究では、 ラットの坐骨神経結紮モデルを、 アロデイニア発生モデルとして使用し、 免疫組織化学的手法を用いて研究している。 同モデルを用いて、 行動学的評価も行い、 神経栄養因子が傷害後の神経の回復に影響することを発表している。 さらに局所麻酔薬の神経毒性についても研究を行っている。 臨床で頻繁に使われる塩酸リドカインのくも膜下投与が、 一過性の神経症状を発症することから、 当部の教員は、 この問題に関してアメリカ、 カリフォルニア大学サンフランシスコ校の麻酔学講座と共同研究を続けている。
 臨床研究では、 硬膜外脊髄刺激療法で痛みが軽減することから、 その適応領域を明確にし、 的確に施行するための技術の開発に努力している。
2. 共同研究
(1) 学内 (他の講座等)
 手術部には研究施設がない。 よって、 麻酔学講座、 生物学教室と共同研究することで実施施設を確保している。
(2) 学外 (外国、 他の大学等)
 アメリカ、 カリフォルニア、 カリフォルニア大学サンフランシスコ校麻酔学講座の K Drasner 教授と、 局所麻酔薬の毒性の研究について共同研究を続けている。
3. 地域との連携
 平成11年11月14日に第36回全国国立大学病院手術部会議を宮崎市ワールドコンベンションセンター・サミットで開催した。 前日には、 会議の出席者に当部を見学してもらった。 部長は、 当会議の常任幹事を努めている。
 毎年、 県内の医師、 薬剤師、 臨床工学技士、 検査技師、 看護職員などを300〜400人集めて、 医療材料滅菌管理研究会を開催している。 手術部における滅菌と消毒、 感染対策について、 県内関係者のレベルアップを目指している。

4. 国際交流
 諸外国からの見学者は多数受け入れたが、 長期の留学生は受け入れていない。 教員を1人、 海外留学させた。 教員数が少ないため、 留学中の業務のやりくりが大変であるが、 実行している。

5. 外部資金の導入状況
資金名  平成7年度  平成8年度  平成9年度  平成10年度  平成11年度
科学研究費 2 件 1 件 2 件 2 件
 1,400千円  1,600千円  3,200千円  1,600千円
奨学寄附金 3 件 4 件 3 件
400千円 1,300千円 400千円

【点検評価】 (取組・成果 (達成度) ・課題・反省・問題点)
 手術部教員は、 専用の研究室を与えられていない。 研究のための施設もない。 これまで、 麻酔学講座ならびに生物学教室と共同研究をしながら、 施設を利用させてもらっている。
 このような劣悪な研究環境にありながら、 研究の独創性から年に1, 2件の科学研究費の補助を受け、 研究を継続している。 周術期管理のひとつとしての痛みの研究は、 神経科学研究の盛んな昨今、 当を得た研究テーマである。 主にラットの坐骨神経結紮モデルを用いて研究しているが、 安定した動物モデルを提供でき、 研究成果も出ている。
 これまで、 卒前教育および卒後教育に消極的であったが、 今後、 改善の余地がある。 中でも医師の卒後教育は、 特に重要である。 さらに、 手術部内の医療従事者の教育が、 医療事故を起こさないためにも重要になるであろう。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 卒前教育について、 手術部医学として、 大学のカリキュラムの中での明確な位置付けが必要になる。 それにより必要な講義、 実習時間が割り振られるべきであろう。 教員以外の職種に対する教育もきわめて重要である。 だが、 看護職員は独自に教育システムを組み、 実施しているので、 教員側から立ち入る隙はない。 効果的な教育を期待したい。 それ以外の医療従事者 (非看護職員) への教育体制の整備が急がれる。
 研究では、 施設が最重要課題である。 10年間も要求し続けているが進展はない。 共同利用施設を利用するか、 どこかの講座と共同研究するしか路はない。 研究は、 教員がきわめて少人数であることから、 現状のように1, 2のテーマに限って進める以外にない。 若年教員を登用して、 進展を図りたい。

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