5 附 属 教 育 研 究 施 設

感染部門

【過去5年間の実績等】
1. 部門の特色等
 学内共同利用施設感染センターを前身として、 平成6年に実験実習機器センター感染部門として発足した。 部門長として発足時から平成9年10月まで微生物学講座教授南嶋洋一 (現副学長、 教育担当)、 平成9年11月から平成10年3月まで実験実習機器センター助教授川井恵一、 平成10年4月から寄生虫学講座教授名和行文が就任し、 感染部門技官として吉田朱美が発足時より任ぜられ現在に至っている。
 当部門では病原体を取り扱うという観点より、 利用に際して事前の申し込み登録が必要である。 当部門にはバイオハザードの物理的封じ込めレベル P2および P3の実験室があり、 病原体のバイオハザードレベルに応じて、 実験室の利用が可能になっている。 夜間・休日の使用については、 原則として事前の申請により鍵の貸し出し等を行っているが、 緊急時には微生物学講座において対応をしている。
2. 機器設備の整備状況
 研究用機器として以下の機器の購入を行った。
年 度 機   器   名 導 入 理 由
平成7年度


平成8年度

平成9年度


平成10年度

平成11年度
超音波ホモジナイザー〈Model250〉
バクテリア・ルミカウンター〈東洋測器V-70〉
コロニーカウンター〈東洋測器PC-10N〉
In situ PCR system〈パーキンエルマーIS1000〉

純水製造装置〈ミリポアシステム Elix-5〉
Milli−Q Synthesis〈ミリポア ZMQS000KT〉
UVサンプル撮影装置〈東洋紡 FAS-3mini〉
薬用冷蔵ショーケース〈三洋 MPR-161D〉

超低温フリーザー〈三洋 MDF-592AT〉
デジタルプリンター
 〈フジフィルム PictroStat Degital400〉
細菌培養における利便性のため


組織中の病原体核酸の局在検出のため

核酸診断に利用可能な純度の水を得るため

デジタル処理が可能となるため
研究材料・試薬等の保存の利便性のため


病原体等の画像の処理・プリント出力が容易に行えるため
3. 利用実績
  利用講座及び利用者数については以下の通りであり、 年間50名以上が利用している。
年  度 利用講座数 利用者数
平成7年度 15講座 54名
平成8年度 18講座 59名
平成9年度 18講座 67名
平成10年度 17講座 56名
平成11年度 17講座 55名
 また、 平成11年度の主な利用講座と研究テーマは以下の通りである。
講座名 研   究   課   題   名
解剖学第一 精子先体内分子と卵子側分子の相互作用の解析
解剖学第二 昆虫ゴルジタンパク質の精製と分析
病理学第二 大腸癌細胞株L-10のHGF/SF刺激による運動能の亢進とIQGAP-1の細胞内分布の変化に対する検討
微生物学 HIV感染症患者におけるCMV感染症の迅速診断衛生学カロテノイド類の感染抵抗性に及ぼす影響
寄生虫学 新しい内臓幼虫移行症としてのブタ回虫人体感染の実態解明とその対策
内科学第一 腎疾患におけるメタロプロテアーゼの測定
内科学第二 肝癌への遺伝子導入と遺伝子治療における肝癌の選択的除去のための基礎的研究
内科学第三 感染内分泌腫瘍における遺伝子解析
外科学第一 Differential display で見いだされた novel gene に関する研究
泌尿器科学 泌尿器科入院患者における MRSA 感染症の発症に関する検討
産婦人科学 胎盤組織トロンボキサン産生能に及ぼすアンチトロンビン3の効果

【点検評価】 (取組・成果 (達成度) ・課題・反省・問題点)
 病原体を扱うための施設として設営されている関係上、 利用者のバイオハザードに対する意識向上に取り組んできた。 部門技官は基本的なバイオセーフティ技術を修得するために、 バイオメディカルサイエンス研究会主催のバイオセーフティ技術講習基礎コース 『病原体等安全管理技術者養成講座』 を受講している。
 現時点まで、 当部門において感染事故は報告されていない。 しかし、 基本的なバイオハザード対策については利用者個人の実技・判断に依らざるをえない。 今後は利用者一人一人が病原体等の安全管理をより一層徹底できるように対応したい。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 近年、 核酸診断技術の進歩により、 感染性を無くした状態での病原微生物等の診断・解析が可能となった。 しかしながら、 薬剤耐性病原体の出現、 新興・再興感染症への対応等を考慮すれば、 当部門の存在意義は極めて大きい。 そのためには、 バイオハザードに対する高度な知識をもった専任技官は不可欠であり、 また、 当部門の占用面積の広さ、 機械・器具や利用者の数を考え合わせれば、 専任技官の定員を増員することが望ましい。
 現在、 病原体等の取り扱いについての法令等による規制はないが、 当部門では国立感染症研究所の規定に準じた安全取り扱いを徹底させており、 今後とも事故防止に努めたい。

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